見仏記 (角川文庫 い 28-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041846025

作品紹介・あらすじ

小学生時代から、詳細なスクラップブックを作ってしまうほど、仏像に魅せられてしまったみうらじゅんが、仏友・いとうせいこうを巻き込んで、二人の"見仏"珍道中が始まった!セクシーな如意輪観音に心を奪われ、千手観音のパフォーマンスに驚愕し、十八神将像の逆立った髪型を考察する。さらに、みやげ物にまで、目配りを怠らないという、充実ぶり。抱腹絶倒の見仏珍道中記、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 懐かしの「見仏記」、角川文庫で、再購入しました。
    読みかけ本が、たまっているので、読書感想は、またのちほど……。( うふふ、ページをめくるたびに、嬉しさのあまり 笑みがこぼれる ♡ )



  • 「仏像は ピースな人の 味方でしょ」

    「釈迦も仏像見たかったろうね。見たら驚いたと思うよ。これ、俺かよ?って」

    いとうせいこう と みうらじゅん の仏友(ブツユウ)による仏浴(仏を浴びる)の旅の記録。
    小学校の時から仏像ノートを作っていたくらいに仏像好きの みうらじゅん が絵を描き、いとううせいこう が文章を書いて仏像から色々考えを巡らせている。

    二人の仏像を見ての思考は自由自在。
    物を見て何かを考える、違う方から見てみる、当時の人の気持ちになって考えてみる。
    そのため仏像そのものの作りから、寺と観光の歴史、仏像の大きさによる感じ方の違い、仏像を伝来か由来かで分けてみたり、仏像に本気で恋したり、大きな仏像を見るために足元に寝っ転がったり、仏像を感じるために周りを走ってみたり、日本の地域の仏像の違いの根本を考えたり…。

    仏像の地域の違いは、仏教の玄関である福岡、時代最新である京都や奈良、そしてそんな中央都市から見様見真似で伝わった奥州により、伝わり方が違うんじゃないか、と考えるなど、当時の人たちの事情まで想像が膨らんでいる。

    お寺の構造や配置、そして仏像の表情や体格やポーズをみて「格好良さ、色っぽさの基準は変わらないね」などと思っている。
    これは、仏像の並べ方が現在の音楽グループと同じ並びだったり、説法ってスターのコンサートや民間から生まれたラップだよねと思ったり、現在の特撮の根本こそ仏像じゃないか?と思ったり、当時の金ピカこそ仏像で侘び寂びは不要だよねと思う反面でも現在でも汚しを入れると格好いいから時間が立ってるからこそ良いのか?などと考えているのだが、たしかに何千年経っても人間がバランスが良いとか、粋だなと思うものは変わらないのだろうか。

    そして二人が神仏像巡りで感じたことは「六道を司る仏様なら死んだら俺達会えるじゃん。仏って自分のリーダーじゃん、てことは自分自身じゃん」という結論にたどり着いていて、なるほどあの世で会える存在だと思えば仏像は気負ったりせず身近なものだと感じられるかもしれない。
    神仏と言われると背筋を伸ばして見たり学んだりしなければいけない気持ちになってしまうのだが、宗教が救いであるなら気持ちをゆったりと自分が気持ち良い見方、感じ方を各自で自由に感じて良いのだろう。

    この本では対象が仏像ですが、何かを見てそこから思いを巡らせてゆく、思考遊びが広がってゆく様という意味でも面白い本でした。

    さて、この「見仏記」最後の方で「三十三年後にまた三十三間堂で会おう」と約束してこの本は終了している。しかしこの企画が始まったのは1992年。その後見仏記の続きは出るし、テレビ放送もされるし、そうやって仏を浴びつづけてもう30年経つではないか。それなら数年後に「最初の企画の約束通り、三十三年後にに三十三間堂にやってきました!」企画が出るのだろうか。

  • ちょうど奈良旅行へ行ってきたばかりだったので読みましたが、旅行行く前に読めば良かったです。でも面白すぎて、とても電車の中では笑いが止まらなくて読めません。笑いだけでなく、真面目なことも書いてあります。オススメです。

  • 読了。
    みうらじゅんさんと いとうせいこうさん2人で仏像を見てまわり、それぞれの感想が綴られている。
    そんなに仏像に詳しくなくても、好きじゃなくても、2人の解説を読むときっと仏像を見に出かけたくなる。そんな本です。
    みうらじゅんさんの見方はさすが仏教系の学校で学ばれてただけあるというか、学術的でもあり独創的でもあり。東北の仏像のバランスの悪さについては、写真のない当時は見上げて書き写したためと、なるほどと思い確かめてみたいという思いが込み上げてくるほど。そんな2人の熱き仏像への思いが詰まった本。

  • ずっと馬鹿にしながら、しかし何となくリスペクトしていた、仏像を見る二人。単行本が出たのが93年だから、27年前の記述を読む。興福寺、法隆寺、立石寺などなど。

    小学生の時に仏像をスクラップブックにしていたみうらじゅんの天才。

    「私はみうらさんの正直さに嫉妬していた。彼はいつでも現在に生きていて、瞬間瞬間に集中することが出来る。観念に逃げ込むことなく、事実を感じとることが出来る」

    というようないとうせいこうの言葉による描写とみうらじゅんのイラストで二人の仏像を見る旅を知る。面白かった。ただ寺に行って何となく仏像を見たような気になっていたけれど、それだと単に行っただけであって、何も感じた事にはならないんだと分かり、ハッとした。

  • 楽しい。
    実際にこの仏像たちを見たくなります。
    見る前に読み直したい。

  • 【仏像鑑賞におススメしたい本5選②】ちょっと仏像って気になるかも、でもよくわからないっていう方に、絶対オススメ。「うわーカッコいいー!知り合いに似てる!」なんていう気持ちでも仏像を楽しんでいいんだ、と思わせてくれる「見仏」の記。最近の仏像オタクのバイブルであると同時に、単にエッセイとしても面白い。私のきっかけの一冊でもあり、ぜひ毛嫌いせず手にとってみて欲しい。

  • 著者の肩に力が入っている感じで、前半はちょっと読みにくい。最後半くらいからいい具合に力が抜けてきて、読みやすくて楽しい。
    最後、あんなセンチメンタルに終わる、はず、だったんだね。

  • 映像の見仏記は見ていたけれど、元祖ともいえるこの本は読んだことがなかったので今更ながら。
    掲載の京都・奈良の仏像はほぼ見仏したことがあったので、記憶をたどりながら楽しく、ときどき吹き出しながら読んだ。
    現在の見仏ブームのはしりともいえる本ですね。

    (ちなみにいとうさんと同じく、わたしも大報恩寺の六観音は如意輪がリーダーです)

  • 前半は比較的行ったことのある場所だったので読みやすかった。行ったことのない場所でも、二人の仏像に対する想いと表現が面白すぎて、いつか見に行きたい!と思わせてくれる。

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著者プロフィール

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。

「2020年 『ど忘れ書道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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