くるぐる使い (角川文庫)

  • 角川書店 (1998年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784041847053

みんなの感想まとめ

独特な世界観と深い人間理解が詰まった短編集で、読者は心に残る余韻を楽しむことができます。特に「憑かれたな」では、元役者の主人公が持つ演技力を通じて、個人のイメージが現実に与える影響を描写しており、占い...

感想・レビュー・書評

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  • 星雲賞収録短編集
    解説 綾辻行人(!

    そもそもオーケンの歌自体ものすごく歌詞先行を僕は感じるのだけど「憑かれたな」なんてタイトルで短編書かれると素直にこの人すげえなと思ってしまう
    歌だと有名な「香菜、あたまをよくしてあげよう」なんてまったく背景を説明していないのに人間性とか価値観とかまで踏み込んでいて余韻で飯食えそうだし
    「221B戦記」なんて多分ホームズの住所からなんだろうけど歌自体は(更に多分)大人になれよ!みたいな意味なんだと僕は受け取った。そんなこと歌では一言も言ってないけど
    作家性が高すぎて文字を読んでフムフムってより
    こうなのか?とか考えながら読む(読める)作品なので合わない人にはとことん合わないのだろうなあ
    僕は面倒くさい人間なので好きです

  • オーケンの小説は、僕にとてもよく馴染む。
    どのくらい馴染むかというと、小説の文字を全部吸い出してミキサーに入れてドロドロにし、僕の脳みそを型取った型に流し込んでできたものを、そっくりそのまま、今頭蓋骨の中にぷかぷか浮いている脳みそと取り換えっこしたとしても、今日も明日も変わらない日常を送れるんだろうな、というくらいには馴染む。

    そんな本書に収められた五つの短編の中で、一番好きなのは「憑かれたな」だ。

    心霊的な能力など皆無の主人公が、元役者という経験を活かし、演技力によって“悪魔と本人が思い込んでいるもの”を祓うという話なのだが、これは占い師の自分からすると、あるあるというか、結局、人はその人なりのイメージの世界で生きているのだと思う。

    その人が持っているイメージの世界にまったく存在しないものは、現実の世界でも認識できないか、仮に認識できたとしても、すぐに忘れられてしまう。少なくとも、人生に大きな影響を与えることはない。

    だから、相手の現実を本当に動かしたかったら、できるだけその人のイメージを読み取り、その人の世界観に適合する人物として関わらなければいけない。

    その中で、相手が「こうあってほしい」と思っている理想と現実の乖離を見極め、「こういう人に話を聞いてもらいたいんだろうな」という自分を、設定し直す。

    実際、占いの現場でも「当たっているかどうか」より、「この人なら信じられる」と思ってもらえた瞬間に、相談者の表情が変わり、その後の占いも、より“当たる”ようになる。

    そういう要素は少なからず、いわゆる占いのスキルだけでなく、必要だと思う。

    そのために読書はとても有用だと思うし、いろいろなジャンルの、いろいろな作家の作品を読んだ方がいいんだろうけど、結局戻ってきちゃうんだよなぁ。
    オーケンに。

    そりゃあ、「脳みそを大槻小説的脳に取り替えるのもアリかもなぁ」とか考えるくらいだもんなぁ。

  • 世にも奇妙な物語的な短篇集。オカルトで怪奇でドロドロしていて・・・登場人物の誰もが痛みを抱えていて、でもその中に微かな希望が合って。その希望が客観的に見ると全然希望ではなくむしろ絶望なのだけれど、なぜだか”生”を感じて感動する。

    とにかく現実離れしているのに、リアルを感じさせられて、人間臭さにあふれた短篇集。どの話も切なくて泣きそうになって、悲しくて苦しくなる。

    「人生楽すぃぃぃ!」というタイプの人にはまったく響かないけど、響く人には響く本。自分のことをどちらかというと、マイノリティーだと思っているの人におすすめ。

  • 狂った若い女の子がこの人はとても好きなんじゃないかと勝手に邪推してしまう短編集。筋肉少女帯の方なんですよね。小説も巧いなんてすげぇな。そこはかとなくエロく、薄っすらグロイ。くるぐる使いが切なくて好きです。「おにいちゃん」ってのにこの本で初めてときめいた。いいな、妹!

  • 「この世なんて、白黒写真にゴテゴテ色をぬりたくった程度のシロモノだと思っていた」

  • 大槻ケンヂの初期短編集。大槻ケンヂの著作を読むのはものすごく久しぶり。持ってはいるんだけどね…。大学の頃以来か。

    病院に入院していた老人が、「実は昔、くるぐる使いをやっていて、人を殺したことがある」と告白する。くるぐる使いとは、気の触れた、しかし未来や真実を見通す能力を持つ女性を連れて各地を巡り、予言などで儲ける職業である…。

    1作め『キラキラと輝くもの』は読みかけて、ああ、大槻ケンヂだ。こういうのがずっと続くのは苦手だナアと思ったのだが、2作目以降は楽しかった。筋肉少女帯の歌詞やPVにも表れる、江戸川乱歩的なアナクロニズムと退廃をまといつつ色彩に富んだ作品群である。

    昭和初期の乱歩時代にはよく見られた、「狂う」という感覚が段階的に、または突然現れる作品は、1990年代前半を最後にタブー化されている。一方で、「芥川龍之介の母親は狂死した」なんていうのが文献として普通に残されているわけで、単純に医学の進歩で別の表現になっただけではなく、やはり目をそらせようとする社会的抑圧があるのではないか。この本では、そういった物を正面から捉えようとしているように見える。

    低年齢の主人公の作品では、狂気と復讐というところが重複しており、『キラキラ』はその間くらいに挟んでほしかったなあ。読後感からいえば。まあでも、この本で面白いのは、その狂気と復讐の2作である。『グジグジ』は、ナンセンスなギャグも交えた名作だ。

    筒井康隆の読者あたりなら、もう当然のように読んでいるのだろうが、最初に読んだ『グミ・チョコレート・パイン』の印象があまり良くなかったので避けていた。もう一度読み直そうかと思っている。

  • 【由来】
    ・星雲賞受賞作品が2つも収納されてるってことで。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • 超常現象に出会った少年少女の精神異常と青春を描いた短篇集。どれも筋が通っていてオチであっと驚かされ、かつ大槻ケンヂの言語的センスが炸裂している傑作。長編も読みたい

  • オモイデ教とセットで

  • 2013.09.23 読破。

  • 古本で購入。

    大槻ケンヂの言葉のセンスと小説のもつ雰囲気にやられた。
    “ミュージシャン”大槻ケンヂの曲はあまり数を聴いたことはないけど、「再殺部隊」「風車男ルリヲ」あたりはちょっと尋常じゃない。
    この短編集も、気の狂った少女「くるぐる」の発する予言や過去透視を芸として見せる「くるぐる使い」だった男が己の外道の所業を告白する表題作を始め、独特の世界観がみっしりと詰まってる。たまらん。

    意外と重要な1編と思えるのが、現実世界と妄想世界の狭間でぐらついている少年を描いた「春陽綺談」。
    少年から異常体験を聴かされた男が彼に言う

    「ヘラヘラ生きるコツを教えてやる」

    という言葉は、収録作品のすべてに共通する、精神の平行棒に立つ脆く危うい少年少女への、大槻ケンヂの想いなのかもしれない。
    その一方で、この短編には作者の敬愛する江戸川乱歩へのオマージュが溢れてる。少年・春陽(はるひ)からして、江戸川乱歩文庫を出版している春陽堂書店が元ネタっぽい。

    他の作品も想像以上にすごかった。
    特に「くるぐる使い」のやるせなさやエグさ、どことなく漂うエロスがすごい。
    “作家”大槻ケンヂはエッセイの評価も高いそうなので、1冊読んでみよう。

  • ★1.5だがおまけで。
    大槻ケンヂって好き嫌いがはっきり分かれると思うが、当方はどちらかというと後者。
    ラジオとかもちらっと聞いた記憶があるが、何か詰まらんあんちゃんだなぁと感じていた記憶あり。
    この本も大槻ワールド全開かな?当方には何か合わないな、理由を説明しろと言われても難しいのだが。

  • 大槻ケンヂのお話はどれも迫ってくるのがいい。
    「憑かれたな」など、設定としては星新一のカウンセラーのお話その他でみる類型なのだけれども、より身近でイメージしやすい印象。
    正常である状態と気狂いとなる境がなめらかなので、自分は大丈夫かな?という錯覚を安全な娯楽として味わえるのもいい感じ。

  • ドグラマグラ的な奇書の類いかな、というのが最初の感想だったけれどその考えはキラキラと輝くものを読んで一変した。それぞれの話の中の少年少女は確かに狂っていて、描写にもグロいものがあったりするけれど、読むうちそれが普通、身近なことのように思わされて、次には自分の中に共感が生まれて、最後には切なくなるこの感じは一体なんだ、すごく面白い。話は荒唐無稽なように見えてきちんと作られていて、中毒性がある。大槻ケンヂ恐るべしと改めて思った作品でした。

  • 青春時代のバイブル。
    今読むとどう思うのか。

  • すっごい、おもしろかった・・・!!なんていうんだろ、ロックでいかれてる話ばっかりなのに、全部悲しくて、いやな気分になって目もそむけたくなっちゃうのに、結局見ちゃう、みたいな。
    やっぱり表題作が最高です。「泣き死ぬ」って、いい表現だなぁ。ほぼ造語でここまでキャッチーな言葉もないと思います。
    全部どこかしら心理的要素がからんできて面白かったです。逆に言うと心理で説明できるものでここまで怪奇的に話を作れるのはすごい。加えてときおり出てくる“説明できないもの”の怖さが引き立つ。
    「憑かれたな」はすごく舞台でやりたいですね!最後の笑いまでググッとやりたい。
    そんなこと言ってわたしは「キラキラと輝くもの」が好きなんですけどね。
    若い人に読んでほしいなぁ。この本はこれからの糧になりました。糸井さんとの会談もおもしろかったー!

  • 自分の想像をはるかに超えた世界。衝撃的なシーンが脳裏に焼きつきこびりついた。人の悲哀というものが心を静かに流れた。ロッカーでありエッセイストであり、小説家でもある。凄すぎる。

  • 人生一度は
    精神病に
    なりたいな。

    酔う。
    この凄絶な
    この壮絶な
    物語に。

    せっかく今生きているのだから、
    大槻ケンヂにあってみたいな。
    よっこの天才といってみたい。
    智恵子抄の如く、くるぐる

    くるぐる…………―――

  • 久しぶりに読み返したら、中学から高校ぐらいの鬱屈した気持ちをほじくり返されて泣きたい

  • むかーしに読んだのだけど。話の内容をあまり覚えていないのでもっかい読みたい

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。ロックバンド「筋肉少女帯」のボーカルとして活動を開始。物語性とユーモア、狂気を併せ持つ独自の歌詞世界で特異な存在感を示してきた。
音楽活動と並行して、エッセイ、小説、詩など文筆活動も展開。著作は各方面で高く評価され、星雲賞を2年連続して受賞。歌と文章のあいだを自在に行き来する表現は、多くの読者に支持されている。

「2026年 『幻と想 03-25 大槻ケンヂ自選詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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