グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2577
感想 : 269
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041847077

作品紹介・あらすじ

五千四百七十八回。これは大橋賢三が生まれてから十七年間の間に行ったある行為の数である。あふれる性欲、コンプレックス、そして純愛との間で揺れる”愛と青春の旅立ち”。青春大河小説の決定版!

感想・レビュー・書評

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  • まず、簡単に感想を書けるようなレベルの本じゃないと思った。

    もちろん純文学ではない。
    どちらかというとエンタメ小説、大衆小説だと思う。
    でも、アートだと思う。

    下らないことがたくさん書いてある。無駄な言葉の垂れ流しにも見える。(前半にオナニーという言葉がどれだけ出てきたことか、ギネス認定される数だと思う。)
    ストーリーも大したこと起こらないし、男子高校生が女の子に片思いしていて、バンド組みたいと思っている。というだけの話。

    前半はバカバカしいなと思いながらも、ページをぐいぐいめくってしまう自分に不思議を感じる。中盤、主人公が山口美甘子に映画館で会うあたりからマジックが効きだし、物語は最後まで疾走し、私はもう主人公たちの一員になったように、わくわくしてしまう。

    この小説は、すべてのイケていない野郎どもを肯定する暖かさに満ちている。
    かけがえのない純粋さを持て余す、永遠の無駄遣い。そこに優しい目が向けられている。

    ロジカルに表せない何かを、下らないおしゃべりで見事にフレッシュに表現している、オーケンの小説表現の偉大さに脱帽。

    食わず嫌いで、ずっと存在は知っていたけど読まなかった本。「なんてもったいないことをしていたのだろう。」というのが正直な感想。

    もともと私は10代の頃、筋肉少女帯の大ファンで、オーケンのオールナイトニッポンも聞いていたし、筋肉少女帯の歌詞カードも一生懸命読んでいた。
    そのオーケンが、小説を書いたと聞いたとき、なんだか気取った純文学のようなもの、もしくは少し暗いアングラの江戸川乱歩のバッタものみたいなのを書いたんではないかなと、偽物感がただよってそうだな、と思い込み、読みたくないとずっと思っていた。

    読んでみて上記の思い込みとまるで違う小説であることに驚いた。
    「当時のオーケンのオールナイトニッポン聞いているみたい。」と思いつつ、それが小説になっているということの新しさに気付く。

    書いてある内容は「文学的」に表現しようと思えば、他に上手い人はいくらでもいるだろうし、実際そういう才能に恵まれた人たちが小説家になっていると思う。
    だけど、オーケンはそこを目指しているわけではなさそうだ。

    このわらっちゃうようなしゃべり口調が、このお話しに最適なのではないかと思う。真摯に、青春の、人間の大切さなスピリット、人のぎこちなさを描き出す。

    オーケンは自分のダメさ加減などをある程度演出して、面白おかしく話すのが上手いから、自分のみじめさを売り物にするヒモのような口のうまい人間のような気もする時がある。昔TVで芸能人たちが議論する番組で、オーケンが自分のウツのような状況をしゃべっていたら、大貫妙子が「私、こういうこと言う人、大っ嫌いなの」と嫌悪感丸出しで怒ったのをよく覚えている。
    大貫妙子が嫌いなのも、わかるなーと。当時思った。

    でも、この小説にはそんなエグみが、感じられない。なんだか水墨画の様に(内容は全然そんなに清くないが)、スーッと入ってきてしまう。

    私の好きなロックと映画に情熱かける話だし、趣味がグッとくるところだったり、世代が私よりは上だけど、何となく空気感が近しく感じるところだったりも、大きく惹かれる要素だと思う。

    ロックバンド、映画名などは、クスっと微笑んでしまうような小ネタが満載でそこも楽しめるところ。ただ、「なんとなくクリスタル」や村上春樹などの固有名とは違うあまり意識的ではない、固有名の使い方ですが。

    とにかく「食わず嫌いで一生読まない」なんてことにならなくてよかった。
    この本を貸してくれた人に感謝。

    しるこドリンク、知ってるけど、飲んだことない。
    いつか飲もう。
    そして、主人公たちに近付けるといいな。
    おっさんにも、そう思わせられる、貴重な小説。

  • 秋葉原で連続殺傷事件の時に伊集院光さんが、
    「オナニーしてればいいんだ、死ぬほどオナニーしてたらそれでいいんだって、それでいいんだって大きな声で言ってやれば良かったんだ」
    というような事を、凄く凄く悔しそうに噛みしめるように言っていた。
    大槻ケンヂも多分、そういう事を言う人だと思う。
    青少年もそうでない人も、ぜひ。
    読んで、布団にくるまって悶絶した方、きっと同志です。

  • 前半部分はテンションについていけずあまり楽しめませんでしたが、登場人物の人となりがわかり、それに親近感を抱くことが出来てからは終わりまですぐでした。
    文学としての文章とは程遠いながらも、若い時の自分は他の人とは違う、違うはずだ、違っていてくれという自意識過剰が力ずくで表現されていて主人公達と同じようにもんもんとしていた自分の若い頃を思い出しました。
    終わったと思ったら続きが2作もあるんですね。
    今度は最初から楽しめそうです。

  • まとまった感想はパイン編に書きたいが……。

    なぜグミ・チョコレート・パインなんだろう?
    自分の地域ではグリコ・チョコレート・パイナップルだったが。
    想像。
    グリコは商標にひっかかるから?
    チョコレートとパイナップルの数が同じで劇的じゃないから、
    チョコレートをぶっちぎり一位にするために、パインにした?
    グリコ・チョコレート・パイナップル=3・6・6
    グミ・ショコレート・パイン=2・6・3

    とりあえず美甘子はいい女だ。
    カーペンターを知っている女子と話ができるなんて……!!
    カーペンターズじゃないよ、ジョン・カーペンターだよ! 
    賢三、おまえ勘違いしているんじゃ!? 
    美甘子みたいな子はそういう間違いをして名画座に来たりするんだよ!
    と胸中叫んだものの、
    美甘子はなんとC級ホラー好き、映画全般に詳しく理論派、
    ハーシェル・ゴードン・ルイスなんて知っているという!
    しかも「ともだちはみんな下らない人ばかり」というメンタリティを持っている!! 
    俺と同じだ!

    こういう女性と、私も出会いたかった。

    • GMNTさん
      ジョンカーペンターもヒッチコックホークス主義だから、ヌーベルバーグと近いからオシャレなんだよね〜と女の子をだまくらかして観せたいと常々思って...
      ジョンカーペンターもヒッチコックホークス主義だから、ヌーベルバーグと近いからオシャレなんだよね〜と女の子をだまくらかして観せたいと常々思ってますが、観たあと100%嫌われますよね笑。
      2016/07/14
    • knkt09222さん
      GMNTさんへ
      要らぬうんちくをついつい出してしまいたい欲求ってありますよね!わかります!
      んで女の子に引かれるという。いつものパターン...
      GMNTさんへ
      要らぬうんちくをついつい出してしまいたい欲求ってありますよね!わかります!
      んで女の子に引かれるという。いつものパターン。
      2016/07/14
  • "あいつらが簡単にやっちまう30回のセックスよりも
    『グミ・チョコレート・パイン』を
    青春時代に1回読むってことの方が
    僕にとっては価値があるのさ
    現実なんて見るもんか!
    現実なんて見るもんか!!

    アンチ!愛と平和!
    アンチ!愛と平和!
    アンチ!ウッドストック!
    アンチ!乱交パーティー!
    I hate myself and I want to die.
    だいっきらい!ぼく自身!!

    じゅうななさーい!
    じゅうななさーい!

    あいつらが簡単に口にする100回の「愛してる」よりも
    大学ノート50ページにわたってあの娘の名前を書いてた方が
    僕にとっては価値があるのさ
    現実なんて知るもんか!
    現実なんて知るもんか!
    ワンワン ワンワン
    ワンワン ワン・・・
    犬人間 ワンワン"

    "必要ない
    しょうもない
    人間を
    Let's go! hunting
    さあ、狩りに出掛けましょう!

    ただし!
    狩りに行く前に
    自分が頭がいいという
    証拠を提示してください
    君たちが
    まわりのくだらない人たちとは
    自分はちがうと言うのならば
    その証拠を見せてください

    証拠なき者は
    犬人間とみなし
    狩られる側にまわってもらいます
    君たちが
    くだらないかそうでないかを決める
    素敵な審査員のみなさんを御紹介します

    ルイス・キャロル
    アリス・リデル
    フーディーニ
    バーニー・ヒル
    トーマス・F・マンテル
    ライヒ
    ケネス・アーノルド
    フェデリコ・フェリーニ
    マリリン・モンロー
    マーク・ボラン
    ジム・モリソン
    カスパー・ハウザー
    エルヴィス
    ザッパ
    ツタンカーメン
    コナン・ドイル
    芥川龍之介
    そして風船おじさん、以上
    順不同、敬称略で御座います

    え~飼い犬が手を噛むので
    私ここで帰ります

    ハハハ ダメなヤツはダメなんだ!
    おまけの人生に向かってGo!Go!Go!
    ダメなヤツはダメだよぉー"


    いわゆる'90年代の筋少にはハマってなかったんですが
    (最近ちゃんと聴いたら仏陀L~シスベリぐらいが好き)
    いま「ニチアサ」といえば平成ライダー、プリキュアですけど

    違う!

    20年前のニチアサといえばブルースワット、ママレードボーイ
    飛んでボイズンガルズでオーケンと水野美紀、菅野美穂
    水野美紀といえばストIIの春麗のCM、といえば筋少
    丁度その頃出た本です。
    今考えたら日曜の朝からオーケンって濃いよなあ。。
    それが普通だった'90年代。

    10年ほど前、失恋しまして
    その後に銀杏BOYZを狂ったように聴いてました。
    でもまだ読まなかった。

    5年ほど前、今の彼女がこの本をくれました。
    そして今ようやく読んだ。

    たぶん、筋少を好きな人たちはこの本や曲から
    教えてもらった映画や音楽が多かったんじゃないでしょうか。
    1ミリも知らんかったですが、全部自分で知ったあとにこの本読んだら全部載ってた。なんじゃそら。


    序盤は青臭い(イカ臭い)感じの表現で始まるんですが
    (昭和軽薄体ってゆーそーです、懐かしくてこっ恥ずかしい)
    読み進めるにつれてのめり込みました。

    最近の作品で言うと、『桐島、部活やめるってよ』(映画版)と
    『惡の華』を足して2で割ったような感じ、
    いやそれらの作品より20年も前にやってますね。

    最初に書いた銀杏の峯田くんなんかは
    「そんな時、僕はグミ・チョコレート・パインに出会った。夢中になって読んだ。不思議と僕の中にあるドロドロが怖くなくなっていった。自分の汚くて怖いとこ、全部認めてあげたいと思えるようになっていったきっかけ。そんな不思議な本。
    ドロドロは消えない。けど、なにかに夢中になれたという事だけは誇りてーよな。主人公のケンゾーが山口美甘子に恋する時、僕だって山口美甘子にドキドキしたもん。僕だってバンド組みてえって思ったもん。
    大槻さんのおかげでそれまで知らなかった色んな世界を知れた。知っちゃったら抜け出せなくなっちゃった。責任とってよー大槻さん(笑。」

    と書いてますが、ほんとそうだよね。
    「自分とまったくいっしょだ!」と思ったもん。
    そこには高校~大学時代の僕がいた。
    鏡を見るようで青臭くてこっ恥ずかしいのが半分だけど
    峯田くんと同じく、この本を読むと自分のコンプレックスの原因がはっきりわかってきた。

    そんなわけで若い人には是非読んでほしいです。

  • 十代のうちに読めなかったのは残念だけど、時代が違うんだよね。カッコ悪い青春は好きだけど、暗い友人とバンドをやって周囲を、自分たちを変えたいって、あんまり感情移入できなかったのが残念。あと、性にかける情熱みたいなんもなかったし。ひいてしまった。もっと落ち着いた夢のない時代に育ったなあと実感。

  • 大貫ケンヂの自伝的な小説でもあり、ロックや映画に対する思いが伝わってきます。

  • 面白かったです。
    あまりにもカッコ悪くて、若くて青いから、読んでいるこっちもオープンマインドになってすごく好感が持てて、不思議な感覚がしました。
    若いって眩しいなぁ…

  • 私のバイブル。この本でこじらせ方を学びました。

  • 3部作の1部目だからか、話が動き出すのに時間がかかって、せっかちな私にとっては退屈な場面が続いていたが、終盤はかなりおもしろい!
    特に終わる直前は衝撃的だったので、チョコ編を読むのが楽しみ!

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2017年 『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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