ステーシーズ 少女再殺全談 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 937
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041847176

作品紹介・あらすじ

近未来、いかなる存在の意志によるものか?15歳から17歳までの少女たちが突然、世界中で狂死を始めた。少女の屍は立ち上がり、人肉を求めてさすらう無数の大群と化す。屍少女"ステーシー"殱滅のために完全武装の再殺部隊が組織されるが、戦いは血まみれ、泥沼の様相を呈し、涙は枯れ、心は凍りついていく…。大槻ケンヂの音楽も含めた全作品の中でも、最も狂気性に満ちた名作に、外伝2編を加えた完全決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 初大槻作品。彼の音楽世界と共通するような破天荒であるのに繊細に哀愁を織り込んだ世界観だった。
    突然世界各地で15〜17歳の少女が死に、その後に起き上がっては人肉を求めて歩き回るようになった世界。起き上がった少女はステーシーと呼ばれ、肉親または恋人、大概の場合再殺部隊の手によって156以上に切り刻まれてはじめて動きを止める。
    死を運命付けられた少女たちも彼女たちを切り刻む周りも悲しみに壊れながら、神様の気まぐれが過ぎるのを待っている。『ステーシー』『ステーシー異聞 ゾンビリバー』『ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想』の三つをまとめたお得完全版。

  • 元ナゴムギャルのワタシの意見として、筋肉少女帯の『ステーシーの美術』は傑作だと思うし、その中の「再殺部隊」、「リテイク」は名曲だと思うし、長田ノオトのコミックス版も読んでいたが、この本は積読したままになっていた。筋はわかっていたが、終章で世界がこういう風になったとは…。正直途中まではおもしろくない、と、思っていたが、よかった。文体がオーケンの歌詞そのままなので、歌の合間に入る「語り」のように何故かオーケンの声で脳内再生されてしまう(笑)。

  • うーん、なんかただのグロい文章にしか思えなかったな…嫌いじゃないんだけどな…

    オモイデ教と違って登場人物が多すぎるのと、それぞれのキャラがあんまり立ってないからかな…

  • "ロコ!思うままに"を読んで、他の作品にも興味がでて買ってみた作品。
    偉そうなことは言えないけど、読んでみて、
    人間の狂気と、狂気ではごまかしきれない弱さが描かれているのが
    とても面白いと思った。
    恐怖やグロテスクも全部ひっくるめて、
    最高にロマンチック。

  • 不道徳なのに、美しくてどこか切ない。ひっそりと映画化されていたり。

  • オーケンの著作を読むのは初めて、彼は音楽が本業だと思っているので特に期待もせずに読みましたがやはり可もなく不可もなくといった作品でした。
    B級映画を見ているような、作品としてはバトル・ロワイヤルや山田悠介作品に近いものを感じました。
    何となく偏見かもしれないけれど、作家業が本業ではない人が小説を書こうとするとスプラッターやグロ系に走りやすい傾向があるのではないかなあと思いました。
    少女再殺、その中に人の愛だとか、抗いようの無い運命に巻き込まれる人間だとかを書こうとしたのだろうし、ただのグロでは終わらせない正統性を保持するためにそのようなエピソードを投じたのだろうけれど、いかんせん文章力が稚拙でうまく書き切れていない感は否めませんでした。

  • 誰かに殺されたいと思っている女子は読むべし。

  • 無くしてたと思ってたら見つかりました。やった!ステーシーの完全版です。外伝が二篇、収録されています。

    本編に関する感想は角川ホラー文庫の『ステーシー』に書いたので省きますが、とにかく外伝の『ゾンビ・リバー』が好きで、一時期狂ったように読んでいた記憶があったので、また読みたいなぁと思っていたのです。
    『ゾンビ・リバー』もやはり残酷さやインモラルな感じは否めませんが、個人的には「ステーシーの津波」というイメージに、どこか崇高なものを感じ、心を鷲掴みにされたのでした。そう言えば、会田誠さんの作品に『灰色の山』や『ジューサーミキサー』がありましたっけ。あんな感じですかねぇ。『ゾンビ・リバー』の実写化、私は待ってますよ(笑)

  • 15歳から17歳の少女達が突然死んだ後にゾンビとなって生き返る。それは「ステーシー」と呼ばれ、何故そうなるのか何も分からない。165分割されなければ死なないステーシー達は再殺の権利を愛する人に託す。せめて最期は愛される人に殺されたいという狂的な純愛。再殺を愛する人に託すことが禁じられているとしても。また託された、残される側も約束を果たしたいと思う。それは違法行為であり、ステーシーを再殺する特殊部隊に殺されると解っていても。全体的にB級ホラー的な内容で、楽しめました。映画も気になります。

  • おーけんのホラー小説。ものすごくスプラッターで純愛物語。
    15歳~17歳の少女が突然死の後、ステーシーと呼ばれるゾンビとしてよみがえる。
    ステーシーは165分割以上バラバラにして再殺しないと滅びる事がない。
    この状況に世界は…
    ざっくりあらすじ。
    筋肉少女帯のステーシーの美術と多少リンクしている。
    漫画を先に読んでいたので内容は頭に入っていたけど、原作の方がそりゃもうよりグロイ。
    グロイのに泣ける。
    オーケン節全開なので、嫌いでなければ良いかと。
    加藤夏希主演で映画にもなっているようですが、血がどばー系は苦手なので、たぶん見ることはないかと。

  • うーむ、、、どうしてもB級エンタメホラー感が抜けずな印象でした。もっと激烈な狂気と病みが必要なんじゃないかなあと思いましたが商業誌での連載だったということでこのくらいがちょうど良かったのでしょうかね。。。

  • こういう耽美というか、雰囲気系小説はもう年齢的にも響かないのかもしれない。いや、もともとあまり得意ではないか。15〜17歳少女がゾンビになってしまう世界、ちーと都合が良すぎると思ってしまう自分が穿ってて残念。

  • 切ないゾンビ物

  • 8/21 読了。

  • グロいグロい…と覚悟して読んだせいか、全く平気だった。猟奇色強めの幻想怪奇小説というか美しいエログロナンセンスというか、とにかく好み。一年前にモーニング娘。で舞台化してる<ステーシーズ‐少女再殺歌劇‐>が好きすぎて結局原作も買っちゃった…という流れなんだけども、ラストの違いも含めて原作・舞台版どっちもすごく好き、で落ち着いた。(それにしてもオーケンも舞台化した脚本演出家の男性も、男性でありながらこんな話を完成させるなんて少女内蔵型なのか恐ろしくマゾヒスティックなのか。素晴らしいなぁ。)

  • 「モモちゃん、哀しいのかい?」
    約使としても、戯れに問いかけてみただけのこと。
    しかし、モモという名のステーシーが、その時コクリと頷いたように、約使には見えた。
    2014/09/24-09/28

  • 大槻ケンヂさんの歌は聞けども小説を読むのは初めて。耽美っぽくてグロテスク。少年少女はただひたすら美しく、世相は退廃的無常観溢れ、言い回しが古ぶるしいこともあり、さくさく読めることも含め、色んな意味で「初期のJUNE小説処女作」を見ている気分だった。CD『ステーシーの美術』はもちろんですが、 CD『レティクル座妄想』を聞くともうちょっと楽しい(こちらは世界が繋がってる感じではない)。モモという名前にどんな思い入れがあるのか?
    起承転結の転がすっ飛んでいたのが気になる。

  • 割と衝撃的なのだが読んでみるとなかなか良かった。
    何かしら作る側の人間がインスパイアされるのも頷ける。

  • 近未来、世界中で少女達が狂死を遂げた。
    少女達の屍は、人肉を求めてさすらう『ステーシー』となる。
    少女達はやがて『再殺』され、百六十五分割されたグチャグチャの肉片になる運命にあることを理解しながらも、なぜか喜びに満ちた微笑み[ニアデスハピネス]を見せた。


    グロテスクで
    どうしようもなく悲しくて
    なのに、なぜか
    美しいと感じる。

    何度も何度も読み返している大好きな一冊。



    最初の詠子と渋さんの話がたまらなく好き。


    「ありがとう。ごめんな。大好きだ」

  • 舞台から。
    少女の一瞬の美しさ、鬱くしさ、はかなさが描かれた作品。
    可愛らしく笑いながら死んでステーシー(ゾンビ)になる少女と、それを切り刻んで殺さなければいけない男たち。対比。
    最後の話が一番好き。

  • 冒頭のミルクコーヒーダンスの夢を見ていた文章がとても好きです。
    この物語は、全体的に暗くて悲しい。悲しさの中にある優しさが切ない。

  • 気持ち悪いのに美しくて悲しい。
    少女たちの笑い声が耳から離れなくなる作品。

  • オーケンの作品は、くるぐるに然り楽曲とリンクしているものが多いので、物語を読んで、曲を聞きその世界に浸れる、そんなおいしい楽しみ方ができる。本作とのリンク曲では再殺部隊を改めて聞いたけど、悲しくなる。壊れた世界設定だけど、そんな世界の物語。個人的にはゴシックロリータ幻想劇場の方が好き。

  • 知人の勧めで読みました。
    グロテスクで気持ちが悪いと思うような描写ばかりのはずなのに、なぜだかとても美しい。
    それはステーシーになる少女たちがたまらなく美しいからではないでしょうか。

    私は序章と、モモのお話が好きです。
    序章は、詠子がとにかく愛らしい。渋川に対する言葉があたたかい。
    最後の渋川の言葉も涙が溢れます。

    モモのお話も素敵でした。
    全部許してあげるよ。というモモの言葉が印象に残ります。

    それ以外はうーん?という感じだったので☆3

  • 不条理とカルマと露悪の話。記憶が確かなら初めて買った小説がオーケンの『新興宗教オモイデ教』だったのだが、当時受けた「何だコレ!?」という衝撃を思い出した。惨たらしい方法で少女たちを虐殺する描写が目立つが、狂気の中の官能性だとか再殺の権利を通じて描かれる想い等、色々と感じる部分はある。ホラーとしての見方としては映画やアニメに毒されて走るゾンビに慣れてしまったせいか、じわじわと忍び寄るステーシーに対して恐怖は少ない。不気味だけど

  • 15歳~17歳の少女が突如ステーシー化(いわゆるゾンビ化)してしまうという現象が頻発して、それを掃討する再殺部隊、ステーシー化する前の少女、再殺権を押し付けられた男、などの視点から一連の騒擾を描いている。

    なんというかいろいろ喚起されるものがある作品だった。
    男も女も露悪的じゃなくとも自然と悪意なく「モノ」として扱ってしまっているような価値観が蔓延している、と私は勝手に思っていて、それを潔く認めた作品だと感じた。
    そしてその中から湧き出てくる恋愛は美しいです。
    ただし渋川さんのとっかえひっかえはどうかと思います。
    最終章の「春」の理屈が狂ってるやつの一歩手前みたいな雰囲気でよかった。

  • ステーシーズの表現がエロティックで可愛い美しい少女達が化け物になるなんてなんて耽美なのでしょうね!
    ステーシーズの津波は地獄の少女立ち直りなのでしょうかそれとも地獄の亡者が少女の姿を与えられたのでしょうか。

  • 猟奇的、とでもいいますか。
    鮮やかな発想力です。
    一種変態的な嗜好の持ち主には持ってこいな世界だったのではないでしょうか?
    けれど、
    私的には少々浅かったかなぁ。という気がします。
    深読みすればこそなんて言われてしまうかもしれませんが、
    そこに存在する物語を、世界を、
    あるが如く淡々と、
    単調に語られたような作品で、
    イマイチ深味に欠けたのです。
    ただ、
    読み易さは素晴らしいものでした。
    想像力を働かせるにはグロテスクな作品でしたが。
    語り口調がどことなくコミカルなので、
    不思議と嫌悪感はありませんでした。
    少年少女の黒歴史のお伴にぴったりな一冊です。

  • ファンタジーならこれくらいにとことん趣味に走って書いて欲しい。音楽を聞くと余計盛り上がる。再殺部隊、切ない感じ。

  • モーニング娘。の舞台からの流れで。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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