ゴシック&ロリータ幻想劇場 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.77
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本棚登録 : 731
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041847183

作品紹介・あらすじ

エリザベス・カラーを首に巻いた少女たちがこの世に解き放たれた-。少女ファッション誌「ゴシック&ロリータバイブル」に掲載された傑作短編に、単行本未収録分を加えた決定版!怪奇、不条理、恋、愛、夢、妖精、ロック…、とびきりロマンティックでスイート、だけど可笑しくって、ときどきどこか哀しい20編。オシャレでキュートな物語をめいっぱい詰め込んだ、大槻ケンヂの幻想劇場へようこそ。

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌「ゴシック&ロリータバイブル」に掲載されていたSSを収録した短編集。エミキュ、ロッキン、パニエ等……物語の中に散りばめられたお洋服の描写から、読みながら自身の少女時代の記憶が少しずつ呼び起こされるようだった。デスノートのミサミサや下妻物語の深田恭子に憧れて、初めてBABY.のワンピースを購入したこと。ただ大学に行くだけなのに、わざわざパニエを仕込みスカートを膨らませていたこと。靴擦れを我慢しながら履いたロッキンホースバレリーナのこと。どれも今思うと若干痛々しくも感じるが、当時はあれがわたしの思う至上の「かわいさ」だった。かわいさに貪欲に、好き勝手に振る舞い生きていた日々は、気恥ずかしさもあれど大切で眩しい思い出のひとつである。

    個人的には「ゴンスケ綿状生命体」「ボクがもらわれた日」「二度寝姫とモカ」が好き。わたしにはどうしても人外生物やペットが人間と心を通わせて奇跡を起こすみたいな話に弱い傾向がある。
    また、「戦国バレンタインデー」は戦国時代の合戦真っ最中のところに神様のいたずらでゴスロリ女がトリップしてしまうというオタクが大好きな要素がてんこもりの話だが、この話は読了後の爽快感がすごい。ここで出会う城主のお姫様のキャラクターが快活で思わず好きになってしまうし、お姫様とその部下である侍が身分違いの恋に苦しむ様はクレヨンしんちゃんの映画「アッパレ!戦国大合戦」を彷彿とさせられる。(わたしはこの映画が大好きです。)

    あとは事故で亡くなった恋人のもとに愛用していたギターを届けるべく投身自殺を試みる「ギター泥棒」もなかなかドラマチックで良かった。「ロックは人から人へ受け継がれるもの。そしてロックで受け継がれた最高の瞬間が次の担い手へと転がり落ちていくことをロックンロールと呼ぶんだ」という台詞が胸に沁みた。数年前、コロナ禍のインタビューでオーケンが「楽しいことがない今の世の中だからこそ、僕らミュージシャンは楽しいことを歌いたい。それで人々を楽しくさせることが、音楽や今の僕らにできることだと思う」と語っていたのを思い出す。これは実際に音楽をやっているオーケンだからこそ書けた言葉なのかもしれない。

    トラメは亡き恋人から受け継いだ虎目模様のギターを手に、これからどのように生き、どのように歌い、どのようなロックンロールを残していくのだろう。この話の続きはないと知りながらも、その先を想像してしまう自分がいる。

  • 3/10.
    軽い。

  • はい、大槻さんの作品の中で一番好きな作品です。どのくらい好きかと言うと、ワイルドの童話くらい好きです(笑)。中毒性がすごくて、抜け出せなくなるんですよねぇ大槻ケンヂワールドに。
    登場するのはゴシック・ロリータな女の子。ちょっぴりグロテスクなお話もありますが、基本は幻想的、童話みたいな読後感のある温かい世界です(個人の感想)。クスッと笑っていて気を抜いていると「やられた〜」と泣きそうになります。とてもいい意味で情緒不安定。それが大槻さんの描く幻想だと、私は思っています。
    また、私の読書傾向はどうやら大槻さんと近いようで、作中の細かいネタにも過敏反応! 思わずニヤニヤしてしまいます。ファッション描写にも敏感! です。
    なかんずくお気に入りの作品は『妖精対弓道部』『おっかけ屋さん』『ぼくらのロマン旅行』になります。

    「お前は画家になった」
    「うん」
    「俺だけがダメだった」
    「夢だけが人生じゃないんだろ」
    「表現意欲を持って生まれた者には夢だけが人生のすべてだ」
    「だったら諦めるな」
    「うん、俺はやっぱり小説家だ」
    「わかってるさ」
    (p64『夢だけが人生のすべて』)

  • 確か小学生の時にお小遣いで買ったのよね
    ジャケ買いだったけれど大好きな本になった
    いまだに何回も読み返してる

  • 若い頃に追っかけていたアーティストや作家は、こっちの勝手な事情で突如お別れを告げたり告げなかったり(忘れたり)、オオケンもその中の一人。とはいえ初期の頃の本はかなり持っているし、筋肉少女帯はオオケン脱退までは追いかけてたしで、なんとなく懐かしい&照れくさい想いで手に取ってみた一冊。
    高校生の頃の甘酸っぱい想い出が一気によみがえります。いい意味で変わってないな。こっちも若かりし頃の感覚と今の自分の感覚を行ったり来たり。
    単純に肌の合う作家なんだと思います。
    やさしい文体の中にグロ、妄想…諸々入ってますが、とある思春期に嵌るとずっと嵌ると思います。
    短編集なので読みやすいかと。

  • 短編なのかいつもよりオーケンこだわりの世界観がストレートにわかりやすい。

  • サブカル女子から推薦されたので読んでみました。

    大槻ケンヂは筋肉少女帯も聞いたことがないし、グミ・チョコレート・パインも読んだことがなくモヒカンのパンク系な印象しかなかったのですが中々良かったです。
    つまんねーって感じの短編も混ざっていましたが、繊細で優しくてちょっとウルっとしてしまうような作品もあり。ミュージシャンが書くような詩っていうよりあぁ、作家さんなのだなーと思わせるような文章でした、個人的に。

  • 痛いと分かっててもろりーたはかわいいだもん..

  • 面白くない。

  • 仰々しいタイトルに気後れしながらも手に取った一冊。ところが・・。なんてピュアな物語たち! 逆境にいようと目一杯おしゃれして明日を夢見る無垢な少女が愛おしい。オーケンならではの毒とか倒錯といったテイストが逆にスパイスとなって効いている。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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