火の鳥(角川文庫版) ヤマト・異形編 (3) (角川文庫)

  • 角川書店 (1992年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784041851036

作品紹介・あらすじ

永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。

感想・レビュー・書評

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  • ヤマト編も異形編心に響きまくった!
    色々考えさせられました。
    生きるとは何か。
    生き物の命とは。
    異形編が特に好きです。
    こんな超大作を描けるなんて本当に手塚治虫先生天才です!

  • 火の鳥の短編の中では
    「異形編」が1番好き
    すっきりしていて分かりやすい

    ブックオフにて取り寄せ

  • 今回スポットを当てられたテーマは「生きる意味」について。
    ヤマトの国の王は自らの権威を示すため大きな墓を建設し、多くの人間を人柱にしようと計画します。その子供で第5王子のオグナは、葛藤の末「父を欺くための偽の墓造り」を自らの生きる意味としました。折角作った物も偽物だとバレたら壊されるだろうし、自分も殺されるだろう。しかし父が死ぬまでの時間稼ぎができれば、人柱に捧げられるはずだった人達を救える。結局父の死後オグナは人柱として生き埋めにされてしまうのですが、愛する女性カジカと土の中で満足して死んでいきます。

    「こわくないよ ぼくは満足してる ぼくの一生はちからいっぱい生きてきたんだ 
     悔いは無いよ それに…きみがここにいっしょだから」

    オグナの願いが聞き届けられ、その後は墓には人柱では無く土偶を代用することになりました。
    また、ヤマト王は死ぬ時になって初めて、これまでの自分の人生を「墓を作るためだけの人生だったのか。なんてくだらない人生だ」と後悔します。
    私自身、もし今死んだら何のために生きていたと言えるんだろうと考え恐ろしくなりました…。

    黎明編のラストで1人穴の外へ出た子供が、クマソの国の最長老として出てきます。
    「お若いの 人間はな 死なないことがしあわせではないぞ 
    生きているあいだに…自分の生きがいを見つけることが大事なんじゃ」


    異形編は因果応報のお話。これまでのシリーズとは少し毛色が違う印象を受けました。火の鳥は罰を与えるために現れる。
    病気の父に死んでほしいと願った左近介(女)は、父の病を治す力を持つ尼御前を殺そうと決意する。左近介が尼御前を殺すと、その罰として時間が戻り、左近介自身が尼御前として生きることとなる。彼女は火の鳥の羽根を使い、長い年月人々の病を治すことに従事する。そして最期、左近介は過去の自分の手で切られ死んでいく。途中で逃げようと思えば逃げられたのに、あえて罰を受けることを選んだ彼女。これもある種永遠に生きるということなんでしょうか。逆行する時間の中で、一人の人間が生まれて死んでを繰り返すというのは数奇で新しいパターンです。

    「あなたは人殺しの父を憎んだ 
     それなのにあなた自身人を殺したではないか?」
    「…でも父が助かれば もっともっと大勢の人間が殺されたわ」
    「だからしかたがなかったというのですか?罪は同じです!
     だから裁きを受けるのです」

  • ヤマト編と異形編の火の鳥の性格が違っている。1、2巻の火の鳥のタイプとも違っている。ヤマト編は人懐っこくて親切。異形編は結構、酷だ。異形編の因果応報は子供のころ読むと「業」という恐ろしさを感じたが、大人になって改めて読んでみると、少し、何となく引っかかるのは、子供心が失われたということなのか。30年閉じ込められ、妖怪たちを治療し続けてもなかなかの償いだと思う。輪廻がもたらす不可思議な物語。妙に心に残る。

  • 異形編について。
    人を殺すってのはこれだけの罪なんだ。無限に償い続けないといけない。
    世の中の人はみんなこれを読めばいい。

  • 「ヤマト編」
    ヤマト VS クマソ
    王子オグナ → 兄タケル・妹カジカ
    「正史」古事記 VS 残されなかった歴史

    「異形編」
    時代は応仁の乱あたり、八百比丘尼を殺した女の話。
    時が逆行し繰り返す。
    罪の命題。
    「未来編」よりも身に迫る恐ろしさ。

  • 1巻と2巻を読んだときほどの衝撃はなかったが
    それでもやっぱり面白い
    2作入ってたが特にヤマト編のラストは
    やるせない思いになった

  • 何故か小学校の頃から好きなのが異形編。
    しかし、因果応報の意味はわかってなかったと思う。

  • まず思うことは1、2巻と同じで「デカい判で読みたい」。たぶんこれは最終13巻きまで変わらないだろうな(笑
    ちなみに読んでいるのは平成4年(1992)に発行された角川文庫版。
    この年はバブル崩壊で不況が深化し、就職氷河期元年である。千代の富士は引退するわ、佐川事件が発覚するわ、天皇陛下は訪中なさるわ、風船おじさんはどっか行っちゃうわ、ミリバールはヘクトパスカルになるわ、なかなか暗い世相である。
    日本に、現在に至る「翳り」のようなものが覆う中で『火の鳥』は刊行された。それが偶然なのか意味があるのかは知らない。
    というわけで「ヤマト編」。「黎明編」で穴をよじ登った男はああなっておったのか……ずいぶん長いサーガなのである。
    そして「異形編」。八百比丘尼の話なわけだが、人魚伝説は世界各地にあるけど、「人魚を喰った」という話は八百比丘尼くらいらしい。
    ナマコでさえ喰ったんだもんな。海に囲まれた日本人の食への探究心はすごい。
    浦沢直樹氏の「漫勉」でも指摘していたが、4コマ目、雷が横からのギザギザではなく、俯瞰、つまり真上から描かれている。すごい。
    「異形」はサブキャラの可平の存在が秀逸。オサムシすごい。


  • ヤマト編の生き埋めシーン、閉所恐怖的なトラウマ。異形編は単体だとつまらないが、後の伏線となっている。

  • 火の鳥で一番好きなのが、異形編の時間が逆行するやつ。小学生のころこればっかり何回も何回も読み返していた。

    無作為に獣たちを助けてゆく尼の姿が印象深くて、小さいころから優しい気持ちになれないときこの尼を何処かで思い出してたと思う。

  • 歴史の中に火の鳥を違和感なく介在させつつラストそこに繋がるのかという驚きもあり面白い。

  • ヤマト編はメタ表現がどうしても気になる、1巻と同じ弱点を持っている話だった。
    ちょっと時間的に無理があるような気もするが、そうかそこと繋がるのかという意味ではいい話だったかな。
    ラストもぬるい終わり方はしていない。
    ただ話としては短編の異形編の方が好きかな。

    火の鳥が何をやろうとしているのかは益々わからなくなった。
    たまーに妙に人間臭かったり冷たかったり。気分屋にも見えてきた。

  • 20211231

  • ヤマト・異形編。
    文字数が多く、読むのに時間がかかってしまいましたが、内容が深かったです。竹宮惠子さんの解説「DNA手塚治虫」も良かった。

  • 異形編をお薦めします。この作品を読むと、因果論と自由意志について考えさせられます。ベンジャミン・リベットの実験(https://ja.wikipedia.org/wiki/ベンジャミン・リベット)と合わせて考えると、人が感じる主体性とは?という問も生まれます。噛めば噛むほど味が出る作品です。

  • 語部 きっと大陸系の顔だわ毛沢東みたいのかしら 熊襲クマソ 川上タケル ヤマト王朝の古事記とか日本書紀なんかには あきらかに侵略 ナニワという浜へ辿り着けます 密葬 宝物殿ほうもつでん 埴輪 シュプレヒコール 生贄の塚 殉死の風習は廃止された 奈良県明日香村に石舞台古墳と呼ばれる剥き出しになった出来損ないの墓があります ほうらい蓬莱寺 八百比丘尼 琵琶湖の北の見崎 彦根 大津 他人の空似 びがん鼻癌 悪性の腫物 功徳くどく 因果応報 尼御前あまごぜ 百鬼夜行絵巻 総ての都市が地底都市となってしまった汚れた地球 手塚治虫はベーシックなのだ カリカチュアライズされたキャラクター設定されたキャラクター設定もパーツの一面でしかない 哲学は「ことば」を用いて語る究極の抽象的根本理念である 「かなしい」という感情は、言葉知る前にはないのだそうな。 隔世遺伝 中井貴一 陽だまりの樹 不義理なほど動揺しなかった 竹内恵子 テラ地球へ

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  • 定期的にやってくる再読ブーム。

    今回は正順で読もうと気がついたらもう三巻め。そうか、「どの順で読むのがベストか」みたいな観点で全13巻をひと回りしてみるのも良いかも。そういや「手塚が描いた順に収録した単行本はまだ存在していない」なんてWikipedia記述も見かけたりした。とはいえそのためには記憶が鮮明に残るようペース上げねばならんなぁ…。

    本巻はヤマト編、異形編とも関西を舞台にした作品。おっとこの頃には関西という言葉はなかったはずか。近畿という言葉はいつごろから定着したのだろうという素朴な疑問もふと浮かぶ。

    異形編は特に舞台としてふるさと琵琶湖が出てくることもあり親しみがわく。蓬莱寺はどこにあったのだろうとか想像するだけでも楽しく、彦根を眺め大津を語っているところからは長浜あたりの北東部湖岸だったのかとも想像できるし、そもそも蓬莱山というのは比良山系にあるぞ、ということは湖西なのか…等々夢想は尽きない。あ、それとこれにつながる太陽編も待ちきれなくなったり。

    ヤマト編はつい先日読んだ黎明編からも直結しており、ヤマトの王のイメージが一変してしまっているところなんかも楽しい。この夏の帰省時には石舞台古墳、訪ねてみようかなぁ…なんて気にもさせられる。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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