火の鳥 4 鳳凰編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 739
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041851043

作品紹介・あらすじ

永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は奈良時代。仏像彫り師の茜丸と、生きるため多くの人間を殺してきた片目片腕の我王、2人の男のお話。彼らはいわば「善」と「悪」で対比されるかの様に描かれていくのですが、我王は速魚(我王に救われたテントウムシの生まれ変わりの女性)の愛に触れ、僧正の輪廻転生の話に心を動かされ、仏像を彫ることで初めて他人から感謝される喜びを知り、変わっていく。
    一方茜丸は鳳凰の像を完成させた後、後世に自らの名を残すことだけを考える様になります。我王との彫り物勝負で負けるも、我王の過去を引き合いに出し自分の勝利を手にする。

    理不尽な理由で簡単に人が死んでいきます。また、この巻で初めて輪廻転生についてハッキリと言及されます。
    「なんになるかはだれも決められん…ただいえることは前世でどんな生き方をしたのかの報いが来世にかかわるのじゃ」

    茜丸は今後この世が終わるまで人間に生まれ変わることは無いと火の鳥に告げられます。一方我王は、苦しみ続ける業を背負いこれから何度も人間として転生し続ける…。これはどちらもキツいです。最終的に我王が善の心を持ったとしても、彼がこれまで人を殺してきた罪は消えない。火の鳥に我王は苦しみ続ける自分の子孫を見せられるのですが、その中には未来編の猿田博士も出てきます。

    自分の人生は怒りで満ち溢れていたと振り返る我王に、火の鳥は
    「お前だけでは無い。人間はすべていかりにつつまれた人生を送った」
    「いかりをその苦しみを力いっぱいに訴えなさい!」と語りかけます。

    理不尽なことばかり、怒りでいっぱいの人生の中で、その苦しみを生きる力に、何かを作り出す力のエネルギーにしろと読みとれました。
    両手を失った我王は太陽の光を受け、世界の美しさに涙します。
    読み終わって何とも言えない気持ちになりました。茜丸だって悪人ではなかった。

    ブクログで発見したのですがファミコンゲームで「火の鳥~我王の冒険~」というソフトがあるらしく興味をそそられました…笑

  • 人間の業と輪廻転生の物語。ふたりの主人公の生き様がいい。

  • 言わずと知れた超名作。
    中でもこの鳳凰編はマンガのひとつの完成型だと思うのです。

    速魚の死と、茜丸の死の場面の美しさといったらもう。

  • 初めて読んだのは小学校の近くの児童館で、ぼくはたしか小学4年生だった。それ以来何度読み返してきたことか。

    『火の鳥』は、小学生向けに整えられた勧善懲悪、友情努力勝利的なキレイな本ばかり読んできたぼくに衝撃を与えた。

    未来編もかなり面白いし、他にも手塚治虫本はたくさん読んだけれど、一冊から受けた影響の大小で言えばこの鳳凰編と比べられるものはなく。

    ぼくの人生観は茜丸と我王の2人によってつくられたと言っても過言ではない。

  • 鳳凰編
    仏師茜丸と、盗賊我王の二人が対比される形で描かれる。
    茜丸は、右腕が使えなくなったことで逆に精神性を取り戻すが、のちに芸術性にとらわれて心をなくす。
    我王は、人を信じず残虐な男だったが、速魚や良弁上人に触れて少しずつ変わる。
    単純な対比ではなく、二人それぞれに揺れ動き、迷い、考える、その部分の深みがものすごいと思った。
    仏教の輪廻思想がかなり色濃く押し出されており、誰も救わない奈良時代の政治と結びついた仏教への皮肉もある。
    なんとも複雑で、単純には言いつくせない深い作品だ。

  • 盧舎那仏の時代。
    善人らしく思われていた茜丸は権力に溺れ、明らかに悪人だった我王(サルタヒコの系譜)は怒りの仏師になる。
    そして我王が世界の美しさに気づく場面には、火の鳥はいない。独自に気づくわけだ。

    いやすごいねこのシリーズ。

  • 「生きる? 死ぬ?
     それがなんだというんだ。
     宇宙のなかに人生など いっさい無だ!
     ちっぽけな ごみなのだ!」

  • 鳳凰編
    奈良時代。権力に翻弄され苦しむ2人の仏師、茜丸と我王の人生を吉備真備と橘諸兄による奈良東大寺の大仏建立を絡めて描く。火の鳥は、我王には彼の悪行のせいで子孫が持つ事になる宿命を語り、怒りを奮起させる事で彼の腕をより上達させる。一方、悪党だった頃の我王に腕を傷つけられた過去を持ち、その事実を暴露して、我王に罰を与える事で栄華を得た茜丸には、二度と人間には生まれ変わることができないという残酷な運命を、彼の死の直前に告げる。
    苦しみに耐え続けながらも生き続け、最後にはそれを肯定する我王と、権力の庇護を得て慢心に陥ってしまった茜丸の対比。人間の名誉と権力を望む醜さ、そして人間とは何か、宗教とは何かといった深い題材を取り上げている。ただし史実では橘諸兄によって重用されている吉備真備が、この作品では政敵として対立するなど、史実と異なる点も多々見られる(良弁が即身仏になるくだりは、身代わりを立てたと解説されている)。

  • 我王は事実殺人鬼だけど最初から最後まで殺人鬼とは思えなかった。仕方ない、というかやむをえない感じ。人を敬うとか忍耐とかそういったことを学んだ。

  • 有名作『火の鳥』であるが,この「鳳凰編」は,出色の出来と思う.
    正直なところ,手塚治虫氏の作品は濃厚とは思うがちょっと優等生的にも感じられて,クレイジーさや予測不可能さでは他の作家のほうが好きだ.でも,この作品はとても好き

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著者プロフィール

1928年、大阪生まれ。漫画家。戦後漫画界の巨匠にして日本TVアニメの始祖。1989年没。代表作に『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『火の鳥』『ブラック・ジャック』他多数。全400巻の個人全集を持つ。

「2018年 『いばら姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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