- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041851296
作品紹介・あらすじ
呪われた出生を背負い、運命にもてあそばれる奇子。地方旧家、天外家の人々を核に、激動の戦後史を背景に、哀しくもたくましい奇子の運命を描いた感動巨編。
感想・レビュー・書評
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何とも気がそがれる作品…わかっていたけれども…
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『#奇子(上)』
ほぼ日書評 Day620
手塚治虫の問題作、Kindle Unlimitedにて。
1972年の作。迷宮入りとなった、戦後の国鉄総裁失踪・轢死も題材としながら、地方の名家におけるタブーに切り込む。
下巻は、意外な結末が待っているそうなので、これも楽しみだ。
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人のエグいとことか、怖いとことかが出過ぎてて怖かったです。
登場人物全員がやばい人なのに、自分は他のキャラに比べたら正常やと思ってる感じが、めっちゃ不気味でした。ぎょえー -
久々読みだが、鮮やかに人間と時代を描き出していて、本当に見事。手塚作品でも、一番好きな作品の一つ。歴史ものに終始しないのがすごいよね。
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地下牢で成長する奇子。
暗く黒い汚れきった家族。
恐いけど読み進めてしまう問題作。 -
観ていたドラマにこの作品と下山事件が出てきて
久しぶりに読みたくなった。
とてつもなく面白い
ミステリーとインパクトのある絵と奇子という悲劇の少女の怪しい美しさと何もかも面白い -
個人的に黒い手塚治虫の代表作だと思ってる。大人向けと言い換えてもいいが……横溝正史や江戸川乱歩、松本清張の作品に親しんだ読者には馴染み深い世界観。
地方の旧家を牛耳る父、嫁を寝取られる長男、復員兵の次男、そして生まれる不義の子……扱われる題材は愛憎泥沼ドロドロのごった煮。
ウチの高校には奇特なだれかが寄贈した手塚治虫コレクションがあり、「奇子」もその中に含まれていたのだが、学生の時に読んで衝撃を受けた。
余すところなく人間の醜悪さや業の深さを描き切った作品であり、本作中もっとも無垢な存在たる奇子を襲う惨たらしい運命には胸が痛む。奇子という名前がまた象徴的で、常道から外れた出生への皮肉すら感じる。
この作品の登場人物(特に男性陣)の身勝手さたるや、目を瞠るものがある。
時代性も関係するのだろうが、各々が各々の大義や欲望に忠実に動いた結果、奇子は翻弄され続ける。だがこれはただ奇子が可哀想なだけの話じゃないし、単純な悲劇では終わらない。
大人たちの、もっと言ってしまえば男たちの欲望に振り回され続けた末にいたいけな幼子はファム・ファタールへ変貌を遂げ、今度は男たちを振り回す側にまわる。勧善懲悪ではないが因果応報ではある、この構造が劇的に見事。
地下に閉じ込められた奇子が一人で用を足すシーンや、天窓の小鳥にはしゃぐシーンは胸が詰まる……
深読みすれば奇子の無意識下の復讐ともとれるが、ラストの坑道のシーンで、ただ一人奇子だけがまるで母の胎内に回帰したような安らかな微笑みを浮かべてるのを見ると、なんとも形容しがたい感情がこみあげてくる。
やるせなさ、切なさ、悔しさ……ざまあみろと運命を嘲笑いたくなる痛快さ。
この底知れない読後感をぜひ味わってほしい。 -
NHKの「100分で名著 手塚治」で知って初めて読んだ。なんとおぞましい家族だろうか。復員兵の仁朗が暗殺事件に関与したことをきっかけに、天外(てんげ)家の中で殺人事件が次々起きていく。家族の犯罪や淫らな親子関係の秘密を隠ぺいするために、4歳の少女、奇子(あやこ)が土蔵に23年も閉じ込められて育つという物語だ。親兄弟や親戚、天外家のことを思ってとったはずの登場人物のそれぞれの行動が、ことを悪い方悪い方へ導いてしまう。このマンガは、戦後日本のどこにあってもおかしくない家族を登場人物にした、手塚治虫らしい人間の闇を描いた物語だ。
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手塚治虫さんの漫画なので
一応読んではみたけれど
暗いなぁ。人殺しの描写も普通に出てくるし
何ともいえない悲しい気持ち。 -
国分寺の、とある古い名曲喫茶店は窓があまりないせいか、昼間でも店内はほの暗い。
私語や携帯が禁止の店内なので、静かに考えごとや執筆をするのにぴったりで、それに飽きると店内にある小さな本棚に手を延ばす。
そこで見つけたのが「奇子(あやこ)」。
戦後の下川事件、松川事件、三鷹事件を発端にし、戦後のアメリカと日本の従属的?関係を描きながら、惑わされる天外家の人々の話である。
地方旧家である天外家の父親、傲慢で淫乱な作右衛門。
戦争から機関し、のちにGHQ秘密工作員となる、次男、仁郎。
家を継ぎ資産を受けつぐことを狙う長男、市郎。
長男の嫁、悲しい女、すえ。
次女 志子は明るい性格でムードメーカだが、家に黙って「アカ」の活動に加わっている。
弟、伺郎はしっかりとした理論家。
そして奇子は、すえが義理の父親との間にもうけさせられた娘。
奇子は存在を隠され土蔵で育つ。
一度読み進めると、読むのが止められない麻薬のような本。
昭和史をしらないのでいまいち掴みにくいところがあり、学び直さなくてはと思いました。