海の鳥・空の魚 (角川文庫)

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  • 角川書店
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本棚登録 : 548
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853016

感想・レビュー・書評

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  • 鷺沢萠さん作品を読むのは初めてだ。
    日常の中でふとした一瞬を切り取ったような短編集。

    冷たくてかたいのに暖かくてほっとしてしまうような、不思議な文章。
    コンクリートに囲まれた街中で、足元のアスファルトを割ってたんぽぽが花を咲かせているのを見つけた時の気持ちに似ている。

    「グレイの層」と「金曜日のトマトスープ」が好き。

  • 20篇の掌編集。ふっと気分がよくなるような硬質な優しさのある話が多い。「明るい雨空」はイイ話というわけではないが、折りに触れて思い出す。

  • 表紙の絵が素敵なので手に取りました。

    萠 鷺沢
    めぐむ さぎさわ
    という名前
    にも驚きを感じました。

    群ようこ
    さんが解説を書いていますが,納得できました。

    内容は,すべて短編で,21あるので一度読んでみるのがよいと思います。

    最初の「グレイの層」

    著者の姉かもしれない登場人物。
    最後のページをめくると,ただ一行。
    「ねえ,わたし、あなたと結婚したい」

    すごい。ここまで余韻を残して断言できる展開に唖然とした。
    この人の本をたくさん読んでみようと思いました。

  • うまくいかないことも多いけど、いいこともたまにある。どん底ってわけじゃない。わるくないよね、今も。ちょっとがんばってみようかな。

    そんな気持ちになった短編集。
    どの話も、希望に満ち溢れているわけではないのだけど、何となく過ぎていくような毎日を明日も続けようかな、と思えてしまう。
    もしかして、それは私も海の鳥だったり、空の魚だったりするからなのかもしれない。

  • 巻末に記された、著者本人の「あとがきにかえて」と、群ようこの解説を読むと、この短編集に著者がこめた想いを感じとれるような気がして涙が出てくる。「どこかちょっと、世の中がひいたラインからはずれている人たち」「思いどおりにいかないことがあっても鼻の頭にシワを寄せてちょっと笑ってみせることで済ませてしまう彼ら」、そんな彼らは著者自身の姿だったのかもしれない。

  • ほんのちょっと世の中からずれてしまった(1ミリくらい)の心の痛みと、そんな人たちがぱっと一瞬輝く瞬間を切り取った短編小説。何気ない日常を丁寧に毎日生きていくのも、なんだかいいものだなぁと。愛おしくて暖かいお話20篇*

  • 高校生の頃、新刊で読んでいた。
    当時ものすごくこの短編集が好きで、繰り返し読んだ。
    十数年ぶりに読み返したら、やっぱりすごく好きだった。
    そして、そうか、今の私のこの考え方は、この小説からきているのかもしれない、と思うところがいくつもあった。
    亡くなってしまったのがおしい。
    まだ読んでいない本があるので、探して読みたい。

  • 鷺沢 萠の【海の鳥・空の魚】を読んだ。

    ショート・ストーリーが20編収められた短編集。

    ひとつの物語が10ページくらいで終わるので、次々とテンポよく読むことができる。

    しかし、そのひとつひとつの物語は、確実に読む者の心を捉え、切なさだったり、共感だったり、小さな

    幸せだったりを、ひっそりと残していくのだ。

    【海の鳥・空の魚】というタイトルの短編がこの本の中に収められているわけではない。これはあとがき

    のタイトル。あとがきの中でこの言葉の意味を著者が説明しているが、その真意、思想、僕はものすごく

    好きだ。

    普通に考えれば【海の魚・空の鳥】。けれど、ここでは【海の鳥・空の魚】。

    ちょっとした弾みで本来の居場所ではないところにきてしまい、けれど、そこでもがきながらも何とか上

    手く生きていることを指す意味合いだ。

    順風満帆に人生が進んでいる人なんてほんの一握りだろう。ほとんどの人が「何か違う」「もっと自分に

    あった場所があるんじゃないだろうか」と思い、悪戦苦闘、自問自答の日々を過ごしているはずだ。だ

    が、嘆き、悩むだけが人生ではない。その中でも喜びや幸せを感じ、希望を見出した瞬間があるだろう。

    そんな瞬間を描ききったのがこの【海の鳥・空の魚】に収められた作品の数々だ。

    重く、先行き不安な毎日の生活の中で生まれる一筋の希望や安らぎ。そんな温かさがどこかにあるからこ

    そ、僕たちは毎日を頑張れる気がする。

    著者は言う。

    「思いどおりにいかないことがあっても鼻の頭にシワを寄せてちょっと笑ってみせることで済ませてしま

    う彼らのことが、大好きである」(あとがき より抜粋)

    そう、悪いことばかりなんか続かない。必ず光の当たる瞬間がくる。ちょっとした心の持ち方ひとつで、

    毎日の見え方は変わるはずなのだ。

    【海の鳥・空の魚】は、そんな前向きな気持ちと、優しさを与えてくれた作品だった。

  • outofthisworldさんの本棚のコメントの言葉にひかれて手に取りました。
    そしてとても深く心に感じました。
    題名の意味、解説を読んでなるほどと。
    この本でもどこか不器用な生き方をする人たちが愛情を持って描かれていますね。
    とくに「グレイの層」と「柿の木坂の雨傘」が好きでした。
    じんとしました。
    素敵な本を教えていただいてうれしいです。

    • outofthisworldさん
      手に取っていただいたんですね。うれしいです。
      感想を読んで、さらにうれしいです。
      鷺沢さんには2度お会いしたことがあります。
      まっすぐ...
      手に取っていただいたんですね。うれしいです。
      感想を読んで、さらにうれしいです。
      鷺沢さんには2度お会いしたことがあります。
      まっすぐなまっすぐな方で、この短編集にはそんな彼女の優しさがあふれているように思います。
      「グレイの層」、私も好きです。
      読んでいただいて本当にうれしいです。
      2009/04/02
    • lovefigaroさん
      いい本を教えて下さってありがとうございました。
      少しずつ読んでゆきたいと思います。
      これからもどうぞよろしく!
      いい本を教えて下さってありがとうございました。
      少しずつ読んでゆきたいと思います。
      これからもどうぞよろしく!
      2009/04/17
  • 鷺沢萠の本はどれも面白く読んでいるけど、特に短編とエッセイが好き。この短編集は彼女のファンの中でも特に評価の高い一冊ではないかと思う。優しさにあふれたこの本が手元にあるというだけで、どこかしら安心した気持ちになれるのです。

    • lovefigaroさん
      本日読み終えました。
      よかった。
      ほんとうに。
      素敵な本を教えて下さってありがとうございました。
      私の本棚にも並べさせていただきまし...
      本日読み終えました。
      よかった。
      ほんとうに。
      素敵な本を教えて下さってありがとうございました。
      私の本棚にも並べさせていただきました。
      2009/04/02

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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