バイバイ (角川文庫)

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  • 角川書店
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853054

感想・レビュー・書評

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  • 「人に嫌われたくない」けど「人を信じるのは狂気の沙汰」だと思っている主人公。自分の居場所とか立ち位置とか身の置き場がわからないまま、曖昧に浮かんで流されてふわふわしてる、そんな人を書くのがやっぱうまいなあ……

  • サヨナラを言えない、この主人公キライ。でも、ここまで極端じゃなくても、男の人はこういう面がある気がする。

  • 3股男、ショーリの物語。

    はたから見て、ひどい男とされる彼だが
    どうしてもそうは見れない。

    相手の事を観察して、相手が求めている事を感じ
    そのために全力を尽くさなければならなくなってしまった
    そんな男は
    多くの女に気に入られるだろう。
    当たり前だ。
    自分が求めていることをしてくれる人がいたら
    その人といたいと思ってしまうのは。
    人間の正直な気持ちだろう。

    きっと、女たちは素晴らしく幸せな体験をしたことと思う。
    人を信じるというのは確かに快楽かもしれない。
    それを味わわせてもらったという事実だけで
    幸せだと思うんだけどな。

    そんなことは、一般常識では思われないんだろうけれど。
    他に人の感想を見ていても
    納得できない意見のほうが多数だし。

    でも、私は
    ショーリにはその後も
    沢山の女と仲良くなって欲しい気がした。
    朱実を不幸から引き上げたのはショーリだ。
    きっと彼に出会っていなかったら
    彼女は不幸を引きずり続けたことと思う。
    その後、ショーリによってより傷ついたとも言えるけど
    事実、彼女は一時は幸せを味わっている。

    残念なのは、ラスト。
    よくわかんない。
    もっとすっきり終わらせればいいのに、と思ってしまった。

  • 鷺沢 萠 著   角川文庫

    人を信じるということはそれほど難しいことなのだろうか。愛する人を信じて生きるということは、

    それほど難しいことなのだろうか。この作品はそんなことを深く考えさせてくれる小説である。

    主人公の男「勝利」は、祖父が言った「人間なんで、信じるもんでねえぞ。」という言葉が忘れられず、

    それ故に人を心から信じることが出来ずに生きてきた。人に嫌われることを恐れ、相手を喜ばせることが

    自分の居場所を確保する唯一の方法だと悟り、人の顔色を伺い、相手が求めることを瞬時に理解して、

    求められたものを完璧に提供してきた。それが勝利にとっては生きる術であり、当たり前のことだった。

    誰に対してもいい顔をしてしまう。誰からも好かれたい、嫌われたくないという気持ちが、言動判断基準に

    なる。仕事だけに限った話ではない。女性関係も・・・。

    と、小難しい言葉で説明してみるとそんな内容の話だが、ざっくばらんに説明すると、三股を掛けている

    最低な男の話である。そんな最低な男の話のどこに深く考えさせられるところがあるのかというと、

    そこは天才・鷺沢 萠である。単なる好いた惚れたの恋愛小説ではない。見事な人格描写と心理描写で、

    登場人物たちの心の闇と光を引き出していくのだ。

    この三股を掛けている勝利という男は、けして悪巧みをもって三股を掛けていたわけではない。根本的

    には「嫌われたくない」という自己中心的な思想のもとに「誰にも優しく接している」うちに、そういう

    関係になってしまったのだ。この手の優しさは世間では優しさとは呼ばないのだろうが、僕には共感でき

    る部分があって、ちょっとばかり心が痛んだりする。『優しさだけじゃ、人は愛せないから』なんて、

    ブルーハーツの歌じゃないけど、そうなんだよな、なんて思ったりもして、余計に心苦しくなる。

    勝利という主人公の深層心理は僕の深層心理と共通する部分が多々あるのだ。

    すべての糸が切れたり解けたりしたとき、三人の女性の行動が三者三様で興味深いのだが、これほどの

    修羅場を越えた後での「人を信じる」という行動はかなり重たいものがあって、信じるという行為その

    ものが純真ではなく呪縛に思えてならない。僕的には、人を信じるということはもっと明快で単純で

    いいのではないだろうかと思う部分もある。

    『愛する人を信じて生きる。それでいいじゃねぇか、人はよぉ』って、THE・茶番ってバンドが昔

    歌ってたけど「それでいいじゃねぇか」って言葉に含まれる部分が大切なんだと思うわけで。

    考えすぎたり、背負い込みすぎたりすると、だいたい碌な事がない。人生なんてそんなものだと思うわけ

    です。

  • わたしが、
    きみを、
    しんじる。

  • 主人公に絶対感情移入できないし、
    読後感も悪いけど、
    なんかすごく心にひっかかった本。

  • 一番共感出来た登場人物が二股どころか実は三股をかけていた最低男の主人公だったんだが…。
    男じゃなくて本当に良かった…女って怖いし面倒くさいと思ってしまった私は本当男ではなくて良かった…。まぁ、主人公が女でその逆もある気もするが。

  • なんだか軽い感じがした。

  • 二股、三股をかけていた男とかけられていた女の話。表紙がきれいで手にとって読み始めた。鷺沢作品には大きく2通りあって、それは作品の内容も文章の力の入れ具合も老練していて、とてもとても30代の女性が書いたとは思えないようなものと、そうじゃないものに分けられる。
    これはそうじゃないものに入るんだけど、この「バイバイ」は何ていうか、わざとに若い女性受けするような作品を書いているんじゃないかしらって思わせるような作品。「スタイリッシュ・キッズ」「大統領のクリスマス・ツリー」なんかもそうなんだけど。こんな作品も書けます、みたいなね。で、恋人の心が離れていくっていうのにこだわって書いているのが若い女性受けするだろうと思われるこの人の作品群の特徴なんだけど。
    どうもそれがイマイチなんだよね。いつも離れていく過程を描くでもなく、離れた後を描くでもなく、一緒にいた二人が結局離れた、で終わるんだ。
    わたしが見たいのはそこじゃない。

  • 切ない。

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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