さいはての二人 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.54
  • (23)
  • (40)
  • (79)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 378
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853108

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今、ふたたび、鷺沢萠。

    と、いう、啓文堂書店さんのコピーに惹かれて。書店の働きかけで、絶版本を復刻するって、粋な試みだと思う。そして、このチョイス。痺れる。

    生きていたら、今をどんな風に書いたのかな。どんな風に苦しんだのだろう、彼女は。こんなにも才能があるのに。

  • 本屋さんのPOPにて、絶版で購入できるのはここだけと、書かれていて気になって購入。
    しかも400円でびっくりした。
    一番好きなのは表題作のさいはての二人で、発売された当初にはきっとツインレイなんて言葉はまだなかったと思うけど、読みながらこの二人はツインレイだと、私は思った。
    アンニュイだけど冷静、客観的な文章で、著者の他の作品も読んでみたいと思った。

  • 3つの短編、いずれも社会に出て数年、30前後の男女が主役、その主人公を取り囲む人達との関係と心持ちが興味深く、面白い。

  • 初期作品とずいぶん違うのですね。
    雰囲気は同じだけれども。

    初期作品は、書くことによって、自分の中にある理解しきれない何かを、理解しきれなくてもそのままに解放していた感じ。

    対してこの短編集では、理解しきれないものという本質に蓋をして、本来なら叶わない願いを塗り重ねている感じがします。蓋をしているから、仮に叶ったように見えても、おそらくそれは本当の意味では本人の腑に落ちていない。だからこれらの作品は切ないのだと思うし、初期作品の寂しく鋭いきらめきが私には感じられなかったのだと思います。

  • これ、すごくレビュー描きづらいんです・・

    すごくもやもやします。

    今の私にとって、いいもやもや感なんだ、ということは
    なんとなく分かります

    でも言葉にできません

    ただただ、
    声にもならないため息が
    身体を通っては流れていく感じ

    魂がぎゅーっとなります

    また時間置いて読んでみるつもりです

  • 今の私に必要だった本

  • 【本の内容】
    「―この男は、あたしだ…」美亜がはじめて朴さんと会ったのは、所属していた劇団が潰れたのを機に、新橋の飲み屋『スタア』で働きはじめて一週間経つか経たないかの頃だった。

    三日にあげずに店に顔を出す朴さんに、美亜はやがて「あたしと同じものを持っている」と、強くひかれていくのだった…。

    家族との繋がり、自分の居場所、死について描いた、著者最後の恋愛小説集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    孤独を抱え家族の温もりに飢えたもの同士の恋。

    でもその恋は寂しく切なく、それでいて純粋で清らかで希望も感じます。

    誰にでも孤独の穴を塞ぎ、自分が生れてきた喜びや感謝の気持ちを感じさせてくれる人は必ずいると思えるのです。

    恋愛小説というよりも家族小説、人間小説という方が適当かもしれません。

    もう、鷺沢さんの新作を読むことはできない。

    だから私は、寂しいとき、自信をなくしたとき、大事に大事に読んでいます。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 人と繋がっている、そのもろくも強い縁は自分にもつくることができるだろうか。
    胸が苦しくなる、温かさにも、苦悩にも。

  • さいはての二人
    こういう二人を魂が同じっていうのかな。
    日本という国を仲立ちにした二人の生い立ちや置かれた状況はあまりにもつらくさびしい。
    なんとか生きてきた二人がもうだめだと崩折れそうになった時に出会い、互いに埋められずにいたピースをはめ合ったんだなと。

    約束
    こういう現実とファンタジーが入り混じったような話は好きです。
    創作物ではなく、昨今こういう事件が多いのはとても悲しい。

    遮断機
    今はもうない下北沢の開かずの踏切や市場の情景が目に浮かぶようです。

  • 人物としては多分友達になれないと感じるのに、作品にはどうしようもなく惹かれてしまう作家やアーティストがいる。鷺沢萠 はその一人である。いろいろな評伝を読むかぎりでは、きっと仲良くなれない人なのだが、彼女が描く物語はとても深く僕の世界に入り込んでくる。

    表題作である「さいはての二人」、若さゆえに人生の壁と向かい合えない男が出会う少女との短編「約束」、ひたむきに生きてきた三十路の女性が家族を考える「遮断機」の三編を収録。

    僕はもう彼らのように将来への不安や過去の傷とも向かい合うほど若くはない。でも、だからこそ、彼らが作中で気づき、前を向いて生きていこうとする姿に強く心を動かされる。

    一人であることと孤独であることは違う。人は誰しも人生において深い魂の交わりを感じることがある。その強さを感じることができるのは、人並み以上に感受性が高い若い時代だけなのだ。

    ぜひ20代の方に手に取っていただきたい名作である。

全41件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鷺沢萠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×