さいはての二人 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853108

感想・レビュー・書評

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  • 今、ふたたび、鷺沢萠。

    と、いう、啓文堂書店さんのコピーに惹かれて。書店の働きかけで、絶版本を復刻するって、粋な試みだと思う。そして、このチョイス。痺れる。

    生きていたら、今をどんな風に書いたのかな。どんな風に苦しんだのだろう、彼女は。こんなにも才能があるのに。

  • たまたま手にとってみたけれど本当に読んで良かった。
    心がなんとも言えない温かいような涙が出そうになるような寂しいような気持ちになった。

    何の気なしに普段話している「ことば」だけど人を救ったりむしろ傷つけたり・・・色んな面があって、その言葉の使い方は十人十色なわけで・・・私も上手に言葉を使いたいなぁとこの本を読みながら思いました。

  • 結末を読んだら単純なことだったけど、この人は私だと思う気持ちはよくわかる。
    収録されている中では、さいはての二人が一番良かった。

  • アメラジアンの女性と、在日コリアンの男性の物語。それだけで、この小説は生きづらさを抱える人にとって価値あるものになる。

  • はじめの一行目から、「朴さんが死んだ」だったので、
    どんな話が、引き込まれていった。


    私は、その次の話の「約束」のほうが個人的に好きです。

  • みっつの短編、「さいはての二人」「約束」「遮断機」、収録。

    オカルトっぽい物語は苦手なんだけれど、「遮断機」は特に印象的
    “変えられない日常を抱えて歳月を浪費していたのは自分だけで、他の人たちはそれと同じ歳月を確実に生き、変わっていったのだ。それだけのことだ。そうしてそう考えれば笑子はここしばらく死んだように生きていたかもしれない。一生懸命やっている、がんばって生きている、などと思っていたのは自分勝手なひとりよがりだったのかも判らない。”

  • 鷺沢萠の作品にはどれも独特の哀しさ・愛しさが詰まっているように感じます。表題作もすごく好きだけど、印象的だったのは「遮断機」。「家族」というものに対して抱える思いが感じ取れる作品。もっとたくさんこの人の作品を読みたいので、亡くなってしまったのは本当に残念です。

  • 「さいはての二人」
    「約束」
    「遮断機」

    解説:北上次郎

  • 読み返してまた、泣いてしまった。

    出自にまつわる孤独を抱えて生きる主人公が、バイト先の飲み屋さんで、不思議と自分と似た雰囲気を持つ男性と出会い、惹かれあっていく。ただ、ただ、ふつうのしあわせを渇望する主人公の姿に、胸を打たれる。

    鷺沢 萠さんの小説はどれも好きですが、このお話が一番好きです。
    自分自身の孤独と向かい合い、ひとを愛するという普遍的なテーマが描かれていると思います。

    それぞれに生き難い事情を抱えているけれど、それは誰かのせいではない、と誰も恨むことなく(いや、一度は恨んだかもしれませんが、その気持ちを乗り越え)、他者を愛せるという幸せを、そっとかみしめて生きている。

    『さいはての二人』は、行き場を失った二人の悲しいお話ですが、最後にぽっと心が温かくなります。

    最初に読んだのは4年ほど前ですが、あとがきで彼女が亡くなっていたことを知り、本当に悲しく、また泣きました。

  • 2010年1月20日購入。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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