さいはての二人 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 312
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041853108

感想・レビュー・書評

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  • たまたま手にとってみたけれど本当に読んで良かった。
    心がなんとも言えない温かいような涙が出そうになるような寂しいような気持ちになった。

    何の気なしに普段話している「ことば」だけど人を救ったりむしろ傷つけたり・・・色んな面があって、その言葉の使い方は十人十色なわけで・・・私も上手に言葉を使いたいなぁとこの本を読みながら思いました。

  • アメラジアンの女性と、在日コリアンの男性の物語。それだけで、この小説は生きづらさを抱える人にとって価値あるものになる。

  • 読み返してまた、泣いてしまった。

    出自にまつわる孤独を抱えて生きる主人公が、バイト先の飲み屋さんで、不思議と自分と似た雰囲気を持つ男性と出会い、惹かれあっていく。ただ、ただ、ふつうのしあわせを渇望する主人公の姿に、胸を打たれる。

    鷺沢 萠さんの小説はどれも好きですが、このお話が一番好きです。
    自分自身の孤独と向かい合い、ひとを愛するという普遍的なテーマが描かれていると思います。

    それぞれに生き難い事情を抱えているけれど、それは誰かのせいではない、と誰も恨むことなく(いや、一度は恨んだかもしれませんが、その気持ちを乗り越え)、他者を愛せるという幸せを、そっとかみしめて生きている。

    『さいはての二人』は、行き場を失った二人の悲しいお話ですが、最後にぽっと心が温かくなります。

    最初に読んだのは4年ほど前ですが、あとがきで彼女が亡くなっていたことを知り、本当に悲しく、また泣きました。

  • 「動物の仔のように身を寄せ合って眠る・・・」
    「このひとはあたしだ」

    この二つのフレーズが頭から離れない。


    ろうそくの光のようなゆらゆらとした語り口が心地よく、また、どこか心許ない。

    愛するものが別の生きものであるということのせつなさ、それゆえの愛しさ。
    複雑に絡み合うルーツがもたらす、軋轢、許し。
    元々ひとつであったものがたまたま分かたれて、、
    別々のものとして生きている。
    だけなのだという単なる事実と、そこに潜む非合理ななにか。

    いてもたってもいられないような気持ちにさせる話。


    あとのふたつの短編も秀逸。

  • タイトル作も印象的ですが、やはりなんといっても"遮断機"。
    初めて読んだとき、涙がぼろぼろとこぼれてきました。
    鷺沢さんの追い求めた「家族の温かさ」ってこんな感じなのかなぁ、
    と読者に思わせるような作品です。

  • 2005.4.29〜5.1

  • 夜の本屋で見つけて、「あ、持って帰らなきゃ」って思って買いました。

  • 3本の短編で構成される短編集。
    最初の『さいはての二人』がかなりよかったです。
    愛しあうことを描くことと、差別の問題を提起することは別の問題だって
    ことを感じ取れる作品だった。
    「愛さえあれば何でも乗り切れる」ということを、わざわざ作品で提起
    することが僕はあまり好きではないので。

    別に、「愛さえあれば」ということを否定しているわけではないけれど、
    小説である以上はそんな誰にでも言えるようなこと「だけ」を改めて
    示すことにどれほどの意味があるのか、と思ってしまうのだ。

    そう思えば、この作品はそういうことがちゃんと峻別されていて、
    いいなあ、という感じでした。

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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