- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041873014
感想・レビュー・書評
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ネットで見かけて気になり読みました。亡き父の遺骨を探すところから始まる本作は、愛を探し求める物語でもありました。父親が亡くなったのが30年以上の昔ということもあり、記録に残っていない、覚えていない、記憶違いに翻弄されて遺骨の行方は杳としてしれない。物語の中盤、主人公である照恵が実母から激しい折檻、壮絶な虐待を受ける様は私自身の体験と重なる部分があり、胸がずっと痛くて読んでいて苦しかったです。父の遺骨を求めて故郷である台湾にまで出かける照恵。この果てしない旅路は愛してくれた父を求める旅であり、母から愛されなかった自分を癒すものでもあっただろうと思います。この物語では血縁者でない人々が幼い照恵を慈しみ、愛してる場面が強調されています。血によらない愛、血の中に愛はない、家族愛とは一体何処を拠り所にして発生するのか、思わず考えてしまいます。ラストがとても印象的でした。
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この本に出会ったのは、大学生の時、
駅で乗り換えのタイミングで、改札をでて、本屋によったところで・・・
当時背表紙が赤で・・目を引いたのもあるかもしれません。。
一部の作家を除いてあまり、ひいきが私はなく、これと思ったものは読むことが多いです。
虐待という言葉が使われて久しくない・・・
母と娘の間での虐待
父と娘の間には、心が通じているのかと思われる一面が垣間見られます。
愛が与えられなかったらことによる無意識の行為
私はまだ子供がいませんのでそのあたりの気持ちは察せないかもしれないですが。。。
生きてきた境遇、それが人生に与えるウェイトは大きいと思います。
この作品、近年、映画化もされました。
いろいろ考えさせられる作品でした。
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実母からの理不尽な虐待が、読むのも辛くなるけれど、昭和のこの時代ならあり得るかもなあと思わされた。虐待を繰り返さずに済んだことが救いで、決して母との和解とはならないラストシーンもある意味リアリティがあった。
複雑な戸籍制度からくる誤解を軸にしたストーリー展開も現実味がある。
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中高生の時に読んだ記憶があります。なぜ手に取ったのか…。古本で買ったので、表紙がクレヨンで書いたようなバラの絵でした。
この本で初めて“虐待”ということを知りました。本文に虐待って書いてあったかな?“折檻”ってことばが脳裏に焼き付きました。 -
桜庭一樹の個人的な文庫オールタイムベストテン
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内容(「BOOK」データベースより)
血のつながりの、いったいどんな意味があるのだろうか?母親に何度も殺されかけた娘の復讐と親子の絆を探す物語。
20年程前にこの本を読んだ時の衝撃は今でも忘れられない。愛を乞う乞食だったという描写が未だに忘れられずに頭にこびり付いていました。妻に勧めた事を切欠に再読。
虐待のシーンは読んでいて未だに辛くて、読んでいて胸がぎゅーっと苦しくなります。人が苦しんでいるのは創作でも苦手な私。
でもこの本で主人公は娘と亡き父に支えられてひたすらに光に向かって歩き続けます。次第に明かされていく出生と父の生い立ち。次第に霧が晴れて来るのに、何で母がここまで自分を虐待したのか謎が深まるばかりなり。
ちなみに映画だけを見ると最後の描写が全然違うものになるので是非本で読んでいただきたい。はっきり言ってこれ一作しか面白いのが無い作家さんですが、これはまさに渾身の一撃です。プライベートでも大変な事が有る作家さんでした。既に鬼籍に入っております。合掌。 -
折檻の描写が凄まじい。なにもここまでというくらい容赦ない。映画化、ドラマ化していますが、映像で観るのはキツいかもしれない。
殆ど描かれなかった弟の人生はどんなだったのだろうか。 -
虐待の描写が激しくて、その部分が強く印象に残ってしまうけど、父の遺骨の行方を追っていくストーリーも引き込まれて一気読みできる。
初めて読んでからすでに15年ほど経っているが、この冬にドラマ化するとのことで再読。2016.09.15 -
最悪の相手であれば、相手の気持ちを理解する必要はない、かー。言われてみれば当たり前のようで意外と難しい。ラストが強烈でまた良し。