死刑執行人の苦悩 (角川文庫)

  • 角川書店 (1993年7月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041878019

みんなの感想まとめ

死刑を執行する刑務官たちの内面的な苦悩に焦点を当てた作品は、死刑制度の複雑さとその影響を深く掘り下げています。著者は死刑反対の立場から、執行官たちが抱える苦しみや葛藤を描写し、彼らが「殺人犯」と同じ立...

感想・レビュー・書評

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  • 死刑を実際に執行する刑務官たちの話。自分たちは殺人犯と同じではないのかと苦悩する死刑を担当した刑務官。筆者は死刑反対派であり、刑務官たちの苦悩から死刑を批判している。

  • 書かれた時代を考えれば仕方がないのかもしれないけど、
    ちょっとあまりにも全体化・一般化が過ぎて、
    せっかくの力強いメッセージが伝わりにくくなってしまうのが
    勿体ないと感じた。

  •  現在迄、死刑という制度が成立しているもの死刑を執行する刑務官が存在しているからこそ、というべきである。しかし、その刑務官は人1人を死刑に追い込んだ後、我々には測りえない大きな苦労・苦悩を抱えている。死刑されるまでの獄中生活で人としての成長を遂げた囚人もいる。その矢先に、執行通知書が届き、刑務官は拒否権もなく任命された者は儀式に従い、最後には死刑囚の死刑を執行する。その後の形式的な労い等はあっても、人を殺したという事実に変わりなく、それからの人生観に大きな影響を与えている。家族には決して自分のしている仕事は語れず、自分自身も誉ない人生を歩んでいるように思えてしまう…。周囲には決して相談できず、唯1人で昇華していくしかない。
     どんな痛ましい事件が報道されようと、人々は頭の何処かに「こいつは死刑だ…」という私的判決が過る。その死刑をするのは誰か。執行人は進んで執行の役を全うしているのか。我々は裏方の事までこれまでは考えてこなかったように思う。人知れず、死刑は行われ、人知れず苦悩を抱え、世の中に貢献している刑務官という存在を我々は決して除外して死刑を考えてはいけない。

  • 「なぜ殺さなければならないのか」…。執行という名の下に、首にロープをかけ、レバーを引く刑務官と、ゼロ番区と呼ばれる舎房でその日を待つ死刑囚。徹底した取材を基に、あらためて死刑制度を問う衝撃のドキュメント。

  • 死刑を執行する人の苦労など考えたこともなかったが、これは大変なことだ。考えさせられる。
    この本を読むと死刑は絶対に無くさなければならない、と思う。
    しかし、自分の大切な人が殺されたなら、犯人を死刑にしてほしいと思わずに自分がいられるかは自信がない。
    が、この非文化的な裁きについて、もっともっと考える必要がある。昭和に書かれたこの本だが、本に書かれている内要と同じことが21世紀の今でも同じように行われていることについても何かおかしいぞ、と思い、議論しなければならない。

    だって、今日も死刑判決が言い渡されたから。

  •  人を殺すのには理由がある。
     死刑囚となったからには、怨恨、飢え、欲望のままになど、何らかの理由で人を殺めている。(冤罪の場合もあるのだが)

     しかしながら、死刑囚の執行をする死刑執行人には人を殺す理由はない。ただ、規則に従い、人を殺さざるを得ない。
     死刑執行をして初めて一人前といわれる世界で、死刑執行をすることでいくばくかの手当てを受けなければいけない人間の苦悩はいかほどのものなのだろうか。
     もちろん、死刑が確定し、執行を待ち続けることしかできない死刑囚にも想像を絶するほどの苦悩があるだろう。けれども、何の恨みもない(もしかすると冤罪かもしれない)人間を手にかけなければならない死刑執行人は、何なんだろう。心に傷を負いながら、守秘義務があるゆえにそれを口にできないというのは、なんという辛さなんだろうか。

     今まで死刑執行について、そこまで深く考えていなかったのだけれども、殺す、ということを生々しく感じさせた。

  • 1993年(底本88年)刊行。死刑執行に携わる刑務官の実情をレポートしたもの。確かに、執行の実情、執行の過程、執行されて死に至る囚人の模様、遺体の措置等知られていないことが多い。この点、佐木隆三があとがきで言うように、これらの事実を正視すべきは言うまでもない。死刑廃止・存置については難しい問題を孕み(人間のする裁判には誤判の恐れがあるなど。死を目の前にしなければ人間性回復が望めない?)、簡単に結論が出せないでいるが、その結論いかんを問わず、これらの事実に目を向けるナイーブな目線は保ちたい。
    「トロッコのジレンマ」には苦悩することなくとも、自ら手を下す「陸橋のジレンマ」には、感情的な忌避を生じる率が高い。

  • 死刑判決を受けた人ではなく、死刑を執行する側について取材したもの。
    実際に「手を下す」役を務めた元刑務官たちにインタビューし、彼らが抱える闇や苦悩を聞き出している。

    初版(単行本)が1988年刊ということで、内容的には少々古いところがあるが、刑務官側の事情を調べたものはあまりないようなので、やはり貴重な1冊だと思う。

  •  死刑執行人実態ルポ。読むと死刑制度に対する観方が変わる。それ以前に、今の世の中死刑についてはそれほど考えない人が大半かもしれない。凶悪犯罪がクローズアップされ、そこに死刑廃止論者の弁護士が登場すると、それを「非難」するカタチで死刑制度について少しだけ考える。そして事件がメディアからフェードアウトするにつれてまた日常に戻っていく。本書に登場する死刑執行人の日常と自分の日常を比べてみることによって「死」というものを深く考えるきっかけとなる。

     法に従って他人の命を奪うことは、自らの意思によってそれを行うこととはまた違った苦悩がある。本書はこのような葛藤を持つ死刑執行人にスポットを当てているのだが、それに加えて死刑囚の振る舞いも貴重な描写として描かれている。執行当日声にならない叫びで必死に抵抗する様は非常に痛々しい。そして人間であれば「死」を宣告されたことによって何かしらの「変化」はあるはず。ちょっとした嫌がらせならばともかく「死」の宣告であれば「不貞腐れる」よりも「悟りを得た」とでもいうような変化が訪れてもおかしくはない。そしてそうした死刑囚を「殺す」ことを拒否できない執行官。

     かなり前に出版されたものなので、今では執行方法やその手続きも変わっていると思われる。手当の金額や直接の執行を行う方法などは今では現代に則したものとなっているだろう。しかし人が人を殺すという構図は今も昔も全く変わらない。ナイフで人を刺し殺すことも、核兵器で人を殺すことも行為の難易度の差はあれども、行為の結果としては等価値である。そして死刑の執行は刑務官、刑務所、もっと法務省そしてもっと広く公務員、そしてそうした人達およびその行動の正当性の契機となっている国民が行っている。我々はそれを正当化する理由はどうあれ「人を殺している」のである。

     著者も言及しているが、死刑制度の応報性が犯罪の抑止に繋がるというのならば、なぜ執行を公開しないのか。現場を映像で流すようなことは無理だとしても、死刑が執行されたこととそれによって命を絶たれた人の名前をメディアで大々的に流したらどうか。妄想となってしまうが、こうした死刑制度を存続させている理由は、犯罪の抑止ということよりも、一部の人間にとって邪魔な人物を消す手段を「万が一のために」確保しておくことではないのかと勘繰ってしまう。

     死刑に対して肯定的な方々はぜひともご一読願いたい。

  • 現在もこのような感じなんだろうかとは思った。

  • 4041878012 221p 1998・1・10 18版

  • 死刑賛成、反対を考える時、加害者や被害者、その家族のことは思っても、執行人の人のことは思ったことがなかった。どれだけの苦悩を抱えているのか考えることができた。少し古い本だったので、今はどういう状況になっているか気になる。

  • 犯罪者ひとりを絞首台に乗せること、死刑が執行されることには、誰でも関心を持つが、じゃあ、誰が死刑囚を「手にかける」かまでは考えないことが殆どなんだと、これを読んで感じた。

    「死刑は国家による殺人」を理由に死刑廃止を声高に叫ぶ廃止論者ではなく、「もうひとを殺したくない」と言う死刑執行官のほうがよほど死刑廃止論に説得力を持たせられるのではないか。

  • 死刑執行する刑務官の苦しみは家族にすら語られることがないらしく、
    公になることはとても少ないと思うが、
    この本では退役した刑務官から取材した証言が書かれていて、
    それを読んでいるとこちらまで辛くなってくる。
    刑務官も殺人を犯すことになってしまうのだから。

  • この本は、死刑制度に賛成しているすべての人に読んでほしい。

  • 人の命は地球より重い。

    被害者、加害者ではなく死刑を執行しなければならない
    刑務官の立場から死刑というものの現状を書いたものです。

    仕事であっても人の命を奪うという行為は
    計り知れない精神的苦痛を与えます。

    人を殺したくて刑務官の仕事につく人なんているとは思いません。

    本書には死刑執行人の痛々しい心情が綴られていました。

  • 今度は死刑を執行する立場の人の話を読んでみました。
    これによると、死刑執行のスイッチは数個あり、刑務官の負担を軽くするため誰が押したかわからないようになっているそうです。
    死刑だ!ということは簡単ですが、それを実際行う人の気持ちはいかばかりだろうかと思いました。
    でも私は死刑は・・・うーん。必要だと思う。

  • 覚えてる度:★★★☆☆

    うろ覚えで書きます。
    著者が実際に死刑執行人をやっていた人たちに取材をし、その苦悩を一冊の本にしたのがこれ。

    死刑囚はいつ自分が死刑になるか前日?まで知らされないらしいのですが、
    これが実際かなりきついらしい。いつ死ぬかわからない恐怖に怯え続ける毎日。

    あと、いざ死刑が執行されるって段階になると、いわば悟りを開いてしまう死刑囚もいるとか。
    執行人からすれば、そうやってせっかく心から(実際わからないが)改心した人を殺してしまうのは本当に辛いらしい。

    普通に一般社会で生きてる人にとっては、
    死刑囚に対して抱く感情なんてほとんどが「死んで当たり前」に近いものだと思うけど、
    毎日死刑囚と接している執行人から見ると、違った側面が出てくると。

    もちろん、だから死刑を廃止しろなんて理屈にはならないけど、
    物事をどの角度から見るか、どれほど広い角度から見るかというのは、
    情報が錯乱する今の時代に生きる人間にとって大きな課題だと思う。

    裁判員制度もはじまる(地裁・一審だけだけど)ことだし、良い機会と思って読んでみては。

  • 今まで見落とされてきた、刑を執行する刑務官や留置所長へのインタビューから死刑制度の矛盾を考える本。死刑について考えるとき、現場の刑務官の立場について思いを馳せた事がなかったので非常に勉強になる。この本を読んでなお僕は死刑制度は存在し続けるべきだと思う。実行犯の死を望む被害者家族がいる限り。

  • 死刑には反対です。
    死刑賛成派や遺族の気持ちももっともだと思うけど、
    まずこの本を読んで欲しいと思います。

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