殺人を呼んだ本 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041879207

作品紹介・あらすじ

林の中の古びた洋館-それが私立野々宮図書館だ。ここに所蔵されている本は、どれも犯罪や事件に関係のあった本ばかり。殺人現場で被害者が抱いていた本や、連続殺人犯が愛読していた本、首吊り自殺の踏み台として使われた本など…。この一風変わった図書館に住み込みで勤めることになった松永三記子。彼女が書庫の本を手に取ると、その本にまつわる不思議な出来事が次々と起こるのだった。一冊の「本」が引き起こす様々な事件を描く連作小説集。

感想・レビュー・書評

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  • ’21年9月3日、読了。KindleUnlimitedにて。

    紹介を読んで、「面白そう!」と思い、読んでみました。やはり、ほんわかしたライトな、赤川次郎さんっぽい作品だなあ、という感想です。

    今まで読んだ赤川さんの小説の中では、かなり「良い出来」だなぁ、と思いました(生意気なようですが)。面白かったし、かなり赤川作品に慣れてきたな、とも実感しました。

    でも、やはり若い人に愛される作家さん、なんだろうな…という気もします。おっさんには、似合わない?トホホ…┐( ˘_˘)┌

  • 林の中にそびえる古びた洋館・私立野々宮図書館。所蔵されている本は人の死に関わった本ばかり。住み込みで働くことになった三記子は、本にまつわる不思議な事件に巻き込まれていく。

    人の死や事件の謎というミステリ要素を土台に、本に宿る遺志を織り交ぜて、ホラーとしての魅力も兼ね備える連作短編集。三記子の幽霊を物ともしない行動力や、ボーイフレンド・好男やゲストキャラとのかけ合いはユーモアもあって読みやすい。『隠れんぼうした本』がタイトルの可愛さとは逆にホラー感たっぷりで怖かった。

    『第一の事件 この指にとまった幽霊たち』
    見返りに「薫」と書かれた本を手に取った時に訪ねて来た女性。不思議な言葉を残して消えた女性をきっかけに、持ち主だった薫を捜すことに。本人に出会うことができたものの、その本は自分の物じゃないと言い始め─。

    「信じてるとか、信じてないじゃなくて、そういうことがあったんだもの。それを認めない、っていうほど頭は固くないわ」
    不可解な現象に巻き込まれつつも、真相を突き止めるために行動する三記子がカッコいい。知るほどに謎が深まる薫の謎。閉ざされた本と記憶を開けるのは誰か。ホラーとミステリなのにコメディタッチに読めるのがいいよね。

    『第二の事件 明日に希望を』
    ある事件を調べたいと現れた少年・高田純男。それは「友紀」と書かれた百科事典を踏み台に起きた一家心中事件だった。なぜ心中しなければならなかったのか。その理由を純男とともに追う。

    真実がわかれば、死んだ人は生きている人の思い出の中に帰って来るかもしれない。そう言って真実を探す三記子とフォローをする好男がナイスコンビ。空気銃で狙撃されても「大統領でもないのに?」と言っちゃうぐらいのタフさが好き。希望は絶望の先に。生者と死者の対比が効いててよかった。それにしても、あの人は元凶すぎない?いい話感出してるけど、騙されないぞと(笑)

    『第三の事件 殺人を呼んだ本』
    15歳のアイドル・直木さをりとの出会い。出演作の原作にしたいという思い出の本『太陽の少女たち』。野々宮図書館にあるものを貸し出すことになったが、その本にもまた人の死が関わっていた。

    さをりというアイドルを中心に、田所や好男のコミカルなやり取りが心地いい。本にまつわる悲劇から始まる執念と巡る因果。その内面を慮ると胸が苦しくなる読後感。タイトルを振り返るとなるほど…と思い知らされる。

    『第四の事件 隠れんぼうした本』
    『カルミナ・ブラーナ』の写本を巡っての兄弟の争い。本をまるで女性のように愛する二人と、好きなところへ行ってしまうという本。本を相手にした恋のさや当ては意外な展開へ─。

    本の取り合いに巻き込まれる警察の混乱具合が面白い。最初は「何を言ってるんだ」という印象が、本が生きて動き回っているように感じてくるのが怖ろしい。人間の妄執もさることながら、ラストもドキッとする。
    「お金ってのはね、ありゃあったで苦労もふえるもんよ。──そう思ってれば、気が楽じゃない?」
    こう言う三記子がなんだかんだで肝が据わってる。

    『第五の事件 長い約束』
    資産家・畑山知治が死ぬ間際に呼び寄せた相手は、沢田知江という謎の少女と一冊の本だった。その本を遺産として譲られた知江は、遺産相続の争いに巻き込まれる─。

    長い約束というタイトルと、知治と知江のシーンは読み返すと味わい深い。まさかあの約束がこんなことになるとは思ってもみなかっただろうね。それは彼の死後の遺産相続争いもそう。きな臭い事件に三記子たちも巻き込まれていく。その中で三記子の恋にも異変が?!三記子は物怖じしないところは好きだけど、そこで乗せられちゃうんかい!ってなった。好男よ頑張れ!応援してるぞ!

  • 赤川次郎先生はかなり多作だけどその中でもものすごく好きなお話!三記子の性格が活発で強くて良い。こんな子がそばにいたらそりゃ好きになるよな〜!
    ミステリーとホラーの融合。三記子が強すぎるのであんまり怖くはない笑
    幼なじみや弁護士との会話がテンポよくて面白い。

  • もう何十年ぶりかくらいに読んだ。ずっと読みたかったのだけど、もはや何を読んだか分からないし、どこから手をつければいいのか分からないしで手を出せずにいたのだけど。取っかかりとして本に纏わるのを。安定の赤川節というかなんというか。なんて読みやすい。これを機に読んでいこう。

  • こちらもゲーム未クリアのため気になって(調べると、未クリア部分はゲームオリジナルの様子)。
    ゲーム収録の原作はどれもクリア済みで懐かしく読めた。それにしても三記子はかなり活発に描かれているなと感じた。ゲーム中では好男を主人公にしていたから余計に目立って見えた。
    内容的には、本にまつわる事件が起こり、解決していく話。殺人などがテーマのためか、幽霊などの非現実的な描写もあるが、不自然な感じはなく、うまく使われている。
    時代としては昭和末期のため通信手段が固定電話しかないが何も問題なく書かれているなと感じた。

  • 殺人に絡んだ本ばかり集めた図書館。
    そこから・・という話。
    もう一度読みたくなる。

  • 林の中の古びた洋館ーそれが私立野々宮図書館だ。ここに所蔵されている本は、どれも犯罪や事件に関係のあった本ばかり。殺人現場で被害者が抱いていた本や、連続殺人犯が愛読していた本、首吊り自殺の踏み台として使われた本など…。この一風変わった図書館に住み込みで勤めることになった松永三記子。彼女が書庫の本を手に取ると、その本にまつわる不思議な出来事が次々と起こるのだった。一冊の「本」が引き起こす様々な事件を描く連作小説集。,"羨ましい。


    私にもこのお仕事を!!



    祈りまくった。



    第一の事件
    この指にとまった幽霊達


    孤児たちの入れ代わり



    第二の事件
    明日に希望

    首吊り自殺。
    無理心中


    愛し合っていたのは実は
    兄弟だった。


    偽名を使う幽霊


    三記子の浮気(笑)



    第三の事件
    殺人を呼んだ本


    アイドル
    むちゃくちゃ、この本危険じゃないか!!


    太陽の少女たち




    小池死ね!!

    いや、死んだけど


    なぜ、小池は、さをりを見ただけで、心臓をやられるほど驚いたのか。
    いや、怯えたのか。 


    さをりがここにいるはずがない、と、小池は知っていたのではないか。



    第四の事件
    隠れんぼうした本

    一番怖かった。



    本が持ち主を選ぶのですよ。



    兄弟が本を奪いあうという。



    第五の事件


    弁護士の田所の急な告白に腰を抜かした。


    それしか、言えない。


    三記子何してんだ!!

  • 人の死や事件に関わった本ばかりが集められた風変わりな図書館(蔵書室)のある家に、住み込みで働くことになった主人公。本にまつわる事件が次々に起きて……。設定から惹かれた。

  • 『私は図書館』

    コンセプトがありきたりだけど、とてもいい。最後急にきな臭くなったけれど、個人的には悪くなかった。

    赤川次郎氏の描く女性は毎回キャラクターが被るのが残念。シリーズなら次も読んでみたい。

  • ぽんぽんとお話が進んでいきます。殺人…なのに、ちょっと軽め。主人公が女の子とか配役に問題はあったかもしれませんが、某アイドル様で実写化するならこちらの方が良かったのではないかと思います(^_^;)

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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