プロメテウスの乙女 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 170
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041879948

作品紹介・あらすじ

近未来、急速に軍国主義化する日本。少女だけで構成される武装組織『プロメテウス』は猛威をふるっていた。戒厳令下、反対勢力から、体内に爆弾を埋めた3人の女性テロリストが首相の許に放たれた……。

感想・レビュー・書評

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  • 「国家は急にはおかしくならない。まだこれくらい大丈夫と思わせながら少しずつ、少しずつ間違った方向に向かっていく」「日本人は一度決まってしまうと順応する」というような記述があったが、まさにその通りだ。そうして70年前、戦争へと進んでいったのだろう。
    社会風刺がこれでもかというほど効いた、重く哀しく救いがないサスペンス。ただ、プロメテウスの存在がどことなく漫画的なのが赤川次郎さんらしい。確かにあり得ない社会だと思うし、さすがにこんな世の中にはならないと思う突拍子もない設定ではあるが、だからこそところどころにある真理をつく言葉ににはっとさせられる。
    80年代の本だが、今読んでも面白かった。今の日本の状況と重ねて読んでしまう。

  • 赤川次郎と2度目の出会い。文章はそんなに好きなわけじゃないてすが、やはりストーリーテラーですね。なのに、変に人情に傾けないのもいいですね。緊張感がはりつめてるわけではないのに、緩まないってさすがです。とりあえず、中村佑介を使うという、角川の戦略にまんまと乗っかってます♪

  • 20歳以下の女性だけの私設護衛隊、それがプロメテウスの乙女。
    武装して、政治体制の規律を取り締まる。

    政商の娘が首相から直々に勧誘され、入会する。

    爆発物を使った暗殺計画が進行していて、
    実はその一味でもある。

    赤川次郎作品は、突拍子もないところが、
    社会派小説として暗くなりすぎないところかもしれない。

  • 今読んだらいまいちだなあ でもやっぱり素敵 この映画に主演する夢を見て起きてにやにやしてたら遅刻した

  • おもしろかった!
    序盤はなんとなくハマらなかったが、だんだん止まらなくなった。最後の最後にもぞくっとした。


    志半ばで命を落とすテロリスト、テロリスト殺害の流れ弾的に死亡する一般人など、人はどんどん殺される。
    滝首相はともかく、プロメテウスの乙女たちは、確固たる理想があったわけでもなさそうな子まで立場のせいで暴走していく。

    科学的な進歩はあれど第二次世界大戦の頃の日本にも近く、現実に起こるのだって十分にありえる。
    こんな国の右傾化は、きっかけさえあればどんどん進んでしまうと思うと恐ろしい。

  • 何というか言葉の出ない話ですね、、、
    全体的にはシリアスなんだけども、赤川さん自身は登場人物の心情を細かく記しているわけではなくて淡々と起きたことを書いている感じなんですよねえ。それなのにやっぱり感情移入しちゃうところがすごい。
    赤川作品は他の話もそうなのですがもう惜しげもなくあまりにも淡々とパンパンパンパン人が撃たれていくとこがあります。私もそこらへんのところは慣れて(え)人が死んでもあまり感慨がないのですが(え)よく考えたらすごく怖いことだなぁと思いました。人一人殺されてもびくともしない世の中なんて絶対嫌です。特に赤川作品の登場人物(特に女性)は素敵な人が多いのでそういう人が蹂躙されていくところを読んで胸にグッときました。

  • ざらっと読んで軽く凹むには最適の一冊。

  • "急速に軍国化する日本を止めるべく、三人のテロリストが首相暗殺を謀る物語。"

    今の日本のことを言われているようで、どきりとする。こんな社会にはなって欲しくない。絶対に阻止する必要がある。

  • プロメテウスの乙女は、17〜20歳の少女たちの集団で、銃で武装し、社会の害虫を排除したり反政府活動を取り締まるというストーリー。過去に読んだ「三毛猫ホームズ」などの赤川作品と打って変わって、シリアスそのものの近未来的サスペンスだった。

    ちなみに本書はクーリエジャポン編集長の手紙で薦められていて、気になって読んでみたもの。結局何だったの??と思い返すと、2014年の流行語大賞にもなった「集団的自衛権」から連想されたテーマなのでは。軍国化した10年後の日本の近未来への警告、正義という名のもとに、洗脳が洗脳でなくなってしまう社会。ナチス政権時と違って、プロパガンダの力以上に個々のメディアの存在感が増している今日ではあるけれど、プロメテウスの世界は、人間の本質が変わらない限り、意外と簡単に起こり得ることなのかも知れない。

  • 30年以上前の出版当時に読んだ時、再軍備が進む日本の近未来の姿を書いた小説として印象に残った。ここ数年の隣国との小競り合いが散発する状況のもとで、この本のことを思い出したので再読してみたが、期待外れだった。中学生の初読の時は面白いと思ったのだが、安直な展開と薄っぺらいキャラクター描写に幻滅。話のプロット・材料は興味深いだけに残念。

  • 「プロメテウスの乙女」は、本来なら学校に通い、恋をし、眩しい青春を送っていたであろう少女たちだ。そんな彼女たちも正義の名を借りれば人を殺すことだって厭わない。
    そして軍事主義化していく日本に立ち向かう3人の女性テロリスト。これもまたごく普通の、どこにでもいるような社会に不満を持つ女性たちなのである。
    それもこれも作中に描かれた歪んだ日本が原因なのだが、あながち夢物語と言えなくもないのではないか。

  • 独裁国家となった日本で、政府転覆を狙って人間爆弾となった女性、プロメテウスと呼ばれる良家の子女で構成された風紀粛正部隊、政治家達の思惑、普通の幸せを求めて生きる『一般人』。
    そして、変わらない世界。

    この作者特有の『軽さ』は否めないが、ディストピア作品としてはなかなか読みやすい佳作。

  • 赤川次郎の罠
     今、朝日新聞に連載されている「プロメテウスの罠」と同じギリシャ神話の火の神の名を冠したお話でした。作品中の人物の命は軽く、終わり方も、えっ?というくらいあっけなくて却ってビックリでした。赤川次郎恐るべし…子の軽さが「罠」なのか。
     ただ、1984年に描いた日本の未来の様子が、維新が幅を利かせる現在の日本とあまりにも似ていて、こちらもビックリでした。こうやってワタシも赤川次郎さんにズブズブはまって行くのでしょうか?

  • ダ・ヴィンチ11月号に載っていて、読んでみました。

    たくさんのインテリたちが、文字通りの意味あるいは社会的な意味で抹殺されていきますが、音楽家に限っては・・あんな根性あることする人はいないんじゃ?と思いました。理由が決め手に欠けるというか。
    あと、人間に火を与えたギリシア神話のプロメテウスから部隊の名前がとられているけれど、プロメテウスの名を冠している理由が知りたかった!
    滝首相を娘が殺すことまでを、父・二宮が予想していたとしたら・・それが一番怖いかも。

  • 面白いとは思うけど憧れはしないかな。

  • 近未来、急速に軍国主義化する日本。少女だけで構成される武装組織「プロメテウスの処女」があった。私的な組織でありながら、独自に銃器、装甲車を備え、市民を取り締まる彼女らは畏怖の象徴となっていた。武器輸出企業令嬢である二宮久仁子は権力を掌握する滝首相から「プロメテウスの処女」の一員となることを求められる。一方、反対勢力からは体内に爆弾を埋めた3人の女性テロリストが首相の許に放たれた―。
    .。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.。☆。.

  • 体内に爆弾を埋め込んだ政府の反逆者たちの、葛藤を書いた話。
    大分前に読みました。確か中1の頃です。そのときは表紙に惚れて軽い気持ちで手に取りましたが、けっこう考えさせられる内容でした。内容が衝撃的なうえにグロテスクで、現実的なのか、非現実的なのか、あまりよくわからなかった。

  • シリアス。三毛猫や三姉妹とは雰囲気が違うけど 個人的にはこっちの方が好きです。当然三毛猫とかも大好きですが!笑

  • 赤川次郎の面白い推理小説とは一味違った、怖さがある。
    正義の名の元において行われる私刑。

  • 赤川さんに染まりたくなったー!!けど若干設定が古いんだよね笑まぁ古い本だから仕方ないんだけどさ

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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