フォア・フォーズの素数 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041883075

感想・レビュー・書評

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  • 短編小説やショートショートなど13編を収録しています。

    とくに短いものは、著者自身「あとがき」で「素材だけを放り出したような感じになってしまった」と語っているように、推理小説やSFに用いられるギミックが生のまま提示されているような印象を受けるものもあります。そのなかで、佐伯千尋シリーズの短編である「震えて眠れ」は、メタフィクショナルな構造の骨格が象徴的に表われており、興味深く読みました。

    「非時の香の木の実」はタイムトラベルものの短編です。主人公が絶望的な運命のくり返しに狂気に陥っていく、ホラー小説的なあじわいもあって、けっして読後感のよい作品ではないものの、おもしろいと感じました。

    「チェス殺人事件」は牧場智久シリーズの短編で、著者のゲームに対する偏愛がうかがえる内容です。また「銀の砂時計が止まるまで」は「パーミリオンのネコ」シリーズの短編ですが、本書に収録されている多くの作品に通じるような、もの悲しさをさそわれる内容になっています。

  • 「ボクの死んだ宇宙」★★
    「熱病のような消失」★★
    「パセリ・セージ・ローズマリーそしてタイム」★★★
    「震えて眠れ」★★★
    「空白のかたち」★★★
    「非時の香の木の実」★★★
    「蝶の弔い」★★★
    「病室にて」★★★
    「白の果ての扉」★★★
    「フォア・フォーズの素数」★★★★
    「チェス殺人事件」★★★
    「メニエル氏病」★★★★
    「銀の砂時計が止まるまで」★★★

  • 『「フォア・フォーズ」とは、
    四つの4と記号を組み合わせて
    数字を作るパズルのこと。
    例えばゼロなら
    4+4-4-4=0……』
    フォア・フォーズに夢中になる
    少年に待ち受ける運命はとは?

    短編集のため読みやすい。
    「匣の中の失園」の竹本先生の
    ミステリ以外ならこうなった的な。
    僕的に好きなのは、
    「フォア・フォーズの素数」
    「パセリ・セージ・ローズマリーそしてタイム」
    「白の果ての扉」
    「銀の砂時計が止まるまで」
    かな。

    世界が一つ一つ違うけど同じ
    パラレルの世界のように感じる。
    そう有理数を無理数でわったような。
    十三不塔と鉄塔のアルケミのような。
    √の中にヤマイダレを入れたような。

  • ちょっと怪奇ものっぽい短編集。表題作が好き。

  • ミステリというにもホラーというにも微妙な作品を集めた短編集。「異形コレクション」に収録されているものもあるので、「異形短編集」というのが良いのかも。
    「震えて眠れ」の主人公の恐怖感、これは私もものすごーく心当たりがあって、かなり共感。一番怖かった話、というとこれ。あとは「熱病のような消失」が妙に美しかったり、「非時の香の木の実」がめちゃめちゃにグロかったり。「閉じ箱」に負けず劣らず、いろんなテイストの楽しめる一冊。

  • 2006年1月28日読了

  • (2008.1)

  • 「フォア・フォーズ」とは、四つの4と記号を組み合わせて数字を作るパズルのこと。例えばゼロなら4+4-4-4=0、1なら(4+4)÷(4+4)=1…。病気のせいで外で遊べなかったボクは、この単純だけれど奥深いパズルに夢中になった。しかしある日、年上の少女・エルがボクに告げた一言で、ボクがそれまでに作り上げた「四つの4」の世界は終わってしまった。―。少年が抱える孤独と絶望をリリカルに描いた表題作「フォア・フォーズの素数」をはじめ、ミステリー・SF・ホラーなど多岐にわたる作品を収録した、待望の短編集。

  • 「フォア・フォーズ」とは、四つの4と記号を組み合わせて数字を作る
    パズルのこと。例えばゼロなら4+4-4-4=0、1なら(4+4)÷(4+4)=1…。
    病気のせいで外で遊べなかったボクは、この単純だけれど奥深いパズル
    に夢中になった―。少年が抱える孤独と絶望をリリカルに描いた表題作
    「フォア・フォーズの素数」をはじめ、ミステリー・SF・ホラーなど
    多岐にわたる作品を収録した、待望の短編集

  • この作者はすごいと思う。さまざまな内容をかけるというのがすごい。そして面白い。
    読みいってしまった。もっとこの作者の本が読んで見たいと思いました。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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