闘将伝: 小説立見鑑三郎 (角川文庫 な 26-6)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041906064

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  • 幕末維新の激動期に薩長を敵に回して堂々たる戦闘をなし、一旦は賊軍の汚名を着たにもかかわらず、明治になってからは、西南戦争から日清、日露の戦役で抜群の活躍をし、ついには賊軍出身者としては破格の扱いで陸軍大将にまで上り詰めた立志伝中の人物、立見尚文を描いた作品です。

    旧桑名藩士ですから、今年の大河ドラマ「八重の桜」の会津とは藩主が兄弟同士なんですね。それに、私の地元の名古屋とも、ほんの隣の地続きなんですが、迂闊にも司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読むまで知らなかったのです。

    司馬さんの本では、日露戦役中絶体絶命のピンチであった「黒溝台の戦い」において、自身の子飼いの弘前師団を率い、敵より遥かに少ない人数にもかかわらず、大胆な夜襲を敢行して、ついにロシア軍を撃退せしめた功労者として描かれています。あの部分はとても印象深いシーンだったので、立見尚文の名は私の記憶の片隅に残っておりました。

    今回の本では、日露戦役は付け足しで、幕末維新史における賊軍として働きに多くのページを費やしています。若かりし立見の人となりを鮮やかに描き出していて、見事な本だと思いました。

  • 佐幕派最強と謳われた桑名藩雷神隊を率いて戊辰戦争を戦った立見鑑三郎。鳥羽伏見から越後口まで転戦し、冷静な分析、的確な判断、大胆な攻撃で劣勢を勝ち戦に転じさせた名将である。温和な物腰に武士の気概を併せもち、官軍を相手に一歩も退かなかった。戊辰戦争で親しい友と実弟を亡くした鑑三郎は、維新後、賊徒の汚名を雪ぐべく西南戦争で新撰旅団を率いて采配を振るう。その後、日清・日露の両戦役でも用兵に優れた才を発揮し、陸軍大将にまでのぼりつめた。不屈の闘志で激動の人生を疾駆した男の生涯を雄渾な筆致で描く歴史長編

  • 山中昌之氏紹介

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著者プロフィール

中村彰彦

1949年、栃木県栃木市生まれ。東北大学文学部卒業後、文藝春秋に勤務。87年に『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年より執筆活動に専念し、93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞。また2015年には第4回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。小説に『鬼官兵衛烈風録』『名君の碑』『戦国はるかなれど』『疾風に折れぬ花あり』、評伝・歴史エッセイに『保科正之』『なぜ会津は希代の雄藩になったか』など多数。

「2020年 『その日なぜ信長は本能寺に泊まっていたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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