海将伝 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041906101

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  • 日露戦争に連合艦隊参謀長として活躍した、島村速雄。司馬遼太郎「坂の上の雲」では東郷、秋山の陰で目立たない存在として描かれていたが、どうしてどうして、なかなかの傑物、戦略決定に極めて重要な役割を演じていたとは。
    巻末の半藤氏の解説では、「司馬さんの文学は、…歴史を俯瞰する、すなわち、歴史を大づかみにして読者に示しながら登場人物の活躍を描いていく様式で統一されている。…しかも作者の生き方の好みである美学によって、事実の取捨選択がなされているから、人物はいずれも司馬さん好みのスッキリとして格好いい連中ばかり」であるのに対して、著者の作風を「俯瞰というより草の根をわけ地べたを這うほうである。歴史の襞に隠されてしまっていた人物や新しい事実を手探りで掘り出しつかみとってくる」と分析している。今後、他の著書も読み進めてみたい。
    なお、半藤氏の解説にある、晩年の秋山真之に関する真実にはびっくり。

  • 土佐出身の島村速雄の物語である。土佐出身で第1号の元帥となった速雄だが、その性格は、おだやかで、母親思いで、軍功を他人に譲り、面倒見の良い、上司として非常に魅力的であったのだろうと思う。

    東郷平八郎連合艦隊司令長官の参謀として旅順戦、バルチック艦隊との決戦などを指揮してきた。部下には秋山真之も従え、勝てるはずのなかった対露戦を見事に勝利に導いた。

    生涯、自らの武功を語ることなく、日本の美意識である謙譲精神に富んだ速雄の生涯、生き方には見習わなければならない部分がたくさんある。

  • 島村さんが兎に角カッコイイです。

  • 日露戦争時の日本海軍の名将というと,東郷 平八郎や秋山 真之と云った濃い面々の陰にかき消されがちな島村 速雄の伝記小説.なにせ島村本人が一生涯裏方に居る事を好んだ人なので話はすごく地味.しかし,自分を褒める新聞記事が出ると,「それは誇張と事実誤認がある」と訂正記事を求めたりするあたり,男っぽく痛快で好感の持てる人物に描かれている.

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著者プロフィール

中村彰彦

1949年、栃木県栃木市生まれ。東北大学文学部卒業後、文藝春秋に勤務。87年に『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年より執筆活動に専念し、93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞。また2015年には第4回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。小説に『鬼官兵衛烈風録』『名君の碑』『戦国はるかなれど』『疾風に折れぬ花あり』、評伝・歴史エッセイに『保科正之』『なぜ会津は希代の雄藩になったか』など多数。

「2020年 『その日なぜ信長は本能寺に泊まっていたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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