ダリの繭 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • (7)
本棚登録 : 2799
感想 : 227
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913017

作品紹介・あらすじ

幻想を愛し、奇行で知られたシュール、リアリズムの巨人-サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けた、この天才の心酔者で知られる宝石チェーン社長が神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上った推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が難解なダイイングメッセージに挑む。ミステリー界の旗手が綴る究極のパズラー。

感想・レビュー・書評

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  • とても丁寧で、ある種の安心感を抱きながら読むことができ、最後には程よい驚きを味あわせてくれる。

    "なぜ遺体にトレードマークの髭がないのか"
    "いつもと違ってなぜフロートカプセルは50分に設定されていたのか"
    などの奇妙な謎を残したまま、一つ一つ手がかりを提示していく。
    それらの謎が綺麗に解かれる様も鮮やかだし、手がかりを基にした推測で犯人を指し示しながらも、最後には失言によってロジカルに犯人を特定しているところも好印象。

    学生アリスシリーズとは少し雰囲気が違うが、このシリーズにも既にハマりかけている。

  • 作家アリスシリーズ2作目。
    アリスの友達が事件に関わっており、
    火村にも依頼が来て事件が始まる。
    この作品は犯人が嘘をついているので、
    読み進めないと話が読めてこない。
    一人の女性を巡る恋の物語。

  • この作品は好き。嫌いなところや文句をつけたいところがちょっと見当たらない、というなかなか稀有な作品。
    解明されてしまえば単純な謎なのだが、丁寧に作られ、書かれていて、最後まで楽しめる。主役コンビがただの善人ではなく、奥行きや陰翳を持った存在として描かれているのもいい。
    欲を言えば、筒井康隆『ロートレック荘事件』のように、ダリ作品の図版が挿入されていたら最高だったんだけど。

    冒頭の文章を読んですぐ、ディーン・R・クーンツ『ミッドナイト』、貴志祐介『十三番目の人格』を連想したが、本格的なアイソレーション・タンクではなくフロート・カプセルだった。そういうのもあるんだな。

  • 台風で図書館にも行けず、手元にある本を再読中。
    有栖川有栖は好きです。特に火村英生シリーズの、男性二人の仲の良さ・・・あーれーは面白い。

    だって三十路の男性ふたりが、片方の誕生日にフランス料理店でディナーですよ。そのあと路上でラーメン食べてから、マンションで朝まで飲み続けるのを「素晴らしき今宵の予定」ですよ。
    っかー!!!
    何故アテられた気分にならなきゃいけないんだorz

  • 2021.10.15読了

    犯罪学者火村先生と推理作家有栖川有栖のコンビ探偵。
    ドラマから入ったのですが、雰囲気や世界観はそのまま。

    ワープロ、固定電話などの時代ですが、古さは感じられません。
    久々の本格推理、堪能しました。

  • サルバドール・ダリを愛する社長が殺された。
    不可解な状況、ご自慢のダリに倣った髭も消えていた…。
    臨床犯罪学者、火村と推理作家、アリスが事件に挑む。

    *****

    火村英生シリーズ、2冊目。
    シリーズ作品ながらいくつかの出版社から出ていて、時代設定も少し違ったりするみたいだからどれから読んでいいのかが分からない~でも、できるだけ順番(出版順?)に読みたい~と多分これが2作目だと思って読んでいる。
    違っていたりして。

    さて、私は1作目の『46番目の密室』より本作の方が読みやすかった。
    何でだろ。
    ダリについては本当に“髭”のイメージしかないので改めて検索してみたら独特…。
    小説に出てくるダリの作品を画像検索したりして見てみたけれど、ちょっとグロテスクとも言えるような雰囲気のものもあった。
    奇才ではあるんだろうな。

    最後の謎解きの方は『46番目の密室』と同じく、ちょっと物足りない感じも受けたけれど、このままシリーズをコツコツ読んでみようかなと楽しみになった。

  • 作家アリスシリーズ2作目。
    火村の33回目の誕生日を祝してフランス料理店で食事をしていた有栖たちは、宝石チェーンのオーナー社長・堂条秀一が若い女性を伴って来店したところを見かける。
    後日堂条は、彼が繭と呼んでいたフロートカプセルの中で遺体となって発見された。
    画家ダリに心酔していた彼が似せていたトレードマークの髭を剃られ、現場には堂条の下着しか残されていない。
    有栖のもとに警察から問い合わせの電話が入る。
    大学時代の知人で、友人の結婚式で顔を合わせたばかりの吉住のアリバイを確認するためだった。
    事件推定時間に友人・吉住には明確なアリバイがない。
    しかも、吉住は堂条の弟で事件現場となった山荘にもたびたび出入りしていたという。
    もともとの犯行計画。
    どんなことをしても手に入れたいもの、他人には譲れないものがあったとしても、人はそう簡単に犯罪に手を染めるとは思えない。
    やはり計画を思いついた時点で、歪んだ感情は狂気に支配されていたのだろう。
    自分の態度がはっきりしなかったからと謝っていた・・・彼らにとっての女神。
    本当に何の計算もなかったのか。
    二人の男の間で、強い意図はなかったとしても、彼女にも事件の責任の一端がある。
    そう思うのは女だからだろうか。
    鳥羽のみやげ物屋にあった手作りの女神像。
    ひとつひとつが手作りのため、よく見れば違いははっきりとわかる。
    計画そのものが杜撰なこともあり、「殺す」という目的だけに目が行き、完璧な計画だと思っていたのは犯人だけだった。
    すべてが思い通りになると、傲慢にも思い込んでいた男の最期を火村はどう受け止めたのだろう。
    誰かを自分だけのものにしたい。
    誰にも渡したくない。
    それは愛ではなくて執着だ。
    正当防衛が認められればいいと思ってしまった。
    過剰防衛だとしても、情状が酌量されればと考えてしまった。

  • 作家有栖川有栖と友人火村による、宝石会社社長殺人事件を解決する顛末。

    とあるフランス料理店で偶然見かけた、ダリ髭の有名社長が、見かけた直後に別荘で殺害される。社長には美しい秘書がおり、また莫大な遺産を持っていたことから、容疑者は関係者に絞って捜査が始まる。

    一応、有栖川本人を「私」として、一人称視点で描かれる部分もあるのだけど、結構ポンポンと視点を飛ばしてくるのは、ひとつ前に読んだ樋口有介の作品と同じ。ただし、あちらよりは文章が練られている分、読みやすいことは読みやすい。

    とはいえ、結構長い話に対して、なかなか核心に届かない展開にはかなりヤキモキされる。

    後半以降の解決に向かうところでも、相当無理のある展開が繰り返されるので、いっそのこと最後の最後で「というのは偽装でした」としてくれたほうが良かった。

    限られた登場人物の聞きこみが中心となっており、ホームズやポワロのようなクラシックな殺人事件ものであり、そういうものだと思って読んでいればそうかなとも思うのだが、もうちょっとダイナミックだったり、トリッキーなトリックでもあるのかと深読みしてしまったので、ちょっともの足りず。

    また、途中に数々挟み込まれる私小説のような部分の意味合いも結局生かされていないため、正直、冗長感がある。

  • 推理作家・有栖川有栖は大学時代からの友人で二人の母校である英都大学で社会学の准教授を務める火村英夫は、フィールドワークと称して警察の協力という名目で事件現場に出向き犯罪者を狩る。"人を殺してみたいと思ったことがある"という彼は、そちら側におちるのを踏みとどまった自分が、飛びたっていった人間を叩き落とすのだ、という火村を、私は密かに彼がそちら側に惹かれて一緒に飛び立つことを恐れている。せめて手を伸ばせるよう、彼のフィールドワークに同行する。
    ダリを崇拝する宝石商の社長が別宅のフロートカプセルの中で死んでいるのが発見された。彼は秘書の女性のことで会社の宝石デザイナーと三角関係だった。そして彼には腹違いの弟が二人いる。愛憎のもつれか、遺産争いか。社長のトレードマークだったダリと同じ髭が切り取られ、衣服も凶器も持ち去られた。果たして犯人は?
    作家アリスシリーズ二作目。

    ドラマを見て、前々から気になっていたこのシリーズ、というか有栖川さんの作品についに手を出してしまった。これからこの楽しくて少しひりひりする関係の二人と摩訶不思議なミステリの世界をたくさん歩けるかと思うと、うれしくて踊りだしそう。でも本の置き場にまた頭痛を抱えたな、と。これ有川さんの本を買った時も思ったな。本屋さんで売り切れていたので、二作目から。

  • 『でっちあげすれすれのマーケティングに乗って、虚飾まみれの情報を垂れ流しながら、どんなモラルを築き、実践すればいいのか?社会の風潮に違和感を訴えるだけでは何にもならない。行動を起こすこと。それにはプラカードもシュプレヒコールもいらない。各自が、モラルを意識した生活の実践を始めることが肝心なのだ。』

    散りばめられた謎はどれも地味だけど、それを組み立てて行く推理は秀逸。面白かった。

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。’89年『月光ゲーム』でデビュー。’03年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞、’08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、’18年「火村英生シリーズ」で第3回吉川英治文庫賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長。近著に『濱地健三郎の幽たる事件簿』、『論理仕掛けの奇談』など。

「2021年 『カナダ金貨の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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