朱色の研究 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 2622
感想 : 234
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913048

作品紹介・あらすじ

"2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です"臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった-。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が…?!現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 有栖川有栖、渾身のミステリー作品だと認識して選択。火村英生と有栖川有栖がとある電話からマンションに向かうと遺体を発見。この殺害と2年前の周参見における殺人事件とリンクしていた。そこで火村とアリスが犯人を追う。犯人は外れてしまったが、ちょっと言わせてもらいますが、この犯人の動機には納得がいかない!この動機で殺すか~?本当に~?あり得ないでしょ~!ポアロシリーズを読んでいるが、動機は2つ「怨恨」か「金=かね」。今回は怨恨だけどそんなに憎いかなぁ?逆に嬉しいぞ~。レンガ本を挑戦している読友さんより早く読了

  • 自作自演。
    トリックは最初から犯人が言っていたのね。
    最後のいいところはアリスが持っていきました。

  • ・プロローグの夕焼けの描写が鮮烈で、まずそこからやられた。
    ・作中に時折挟み込まれる夕焼けに関連するシーンが、リリカルというよりも何だか陰鬱で不安を煽られる感じがして逆に印象深く刻まれる。
    ・しかし、今回の登場人物があまり自分ごのみではなかったのか、それともこのところ疲れていたからなのか、読んでいても途中興味が散漫になってしまって、話にのめり込むことかできなかった…。
    でも、火村先生の夢の内容が語られたりと、このシリーズ的に重要な要素もあるので、また余裕のある時に読み返そうと思う。

  •  ロジックも良かったし、アリスの推理小説論も面白かった。朱色とは夕日のことなのですが、冒頭の夕日の描写も印象的でした。

     でも、それをすべて持って行ってしまったのが犯人の動機。人ってそんな感情になることがあるのか…

     順を追って感想書いていきます。まずロジックについて。

     この話は前半、後半に分けられそうですね。

     准教授の火村が自身のゼミの学生から、過去の未解決事件の捜査を依頼されますが、その事件を本格的に追い始めるのは後半から。

     前半は火村とアリスが謎の電話に呼び出され、マンションの一室を訪れると、そこに他殺体があります。そして、その部屋に直前までいた容疑者が現れるのですが、その容疑者の話では部屋に死体は無かったらしく…。この謎が主題です。

     個人的には、過去の事件だけでがっつり長編にしてほしかった思いもあるのですが、この前半部もきちんと意味があり、それはそれでやっぱりよかったのかな、と思ったり。

     トリックについては、ちょっと悔しかった…。もうちょっとじっくり考えたら分かりそうだったんだけどなあ…。

     そして、後半部。いよいよ過去の事件へ。こちらはロジックがしっかりしてました。たった一つ条件が変わるだけで、ここまで推理が展開されるとは!

     続いてアリスの推理小説論について。アリスたちが火村のゼミの学生と過去の事件現場へ向かう電車内で、アリスは質問されます。

    「なぜ推理小説は殺人事件を描くことが多いのか?」

     それに対しアリスはこう答えます。

    『死者は、こちらがいくら問いかけても絶対に答えることがない。その不可能性が鍵のような気がします』

    『問いかけても答えないと確信しているものに、答えてくれないと確信しながらなお問いかけるというのは、切ない行為だと思いませんか?』

     推理小説とは、世界や運命、過去になぜ? と問わずにはいられない人間の思いを引き受けたものなのかもしれない、と。

     推理小説をここまで昇華してみることができる作家さんって、有栖川さんをおいて他にいないような気がします。

     有栖川さんの描く推理小説やその探偵たちの魅力の秘密は、こうした有栖川さんの思いなんでしょうね。

     夕日の描写に限らずなのですが、有栖川さんの描写って何だか好きです。どこか推理小説ぽくないセンチな感じや、繊細な印象を受けるときがあります。この作品の夕日の描写もそうでした。

     きっと有栖川さんのどこかロマンチストなところが反映されているからだも思うのですが、これ本人に言ったらどう思われるでしょうか(笑)

     そして犯人の動機。個人的にはなかなか理解の難しいものだったのですが、犯人の最後の告白はなんだか身につまされる、切ないものでした。

     きちんとロジックや物的証拠を検証したわけではないのですが、個人的な意見だと、まだ犯人は言い逃れできそうな感じではあったんですよね。

     ではなぜ犯人は、罪を語ったのか。それは今まで決して表に出すことの無かった感情を告白できる、最初で最後の機会だったからだと思うのです。

     共感しがたいのに、なぜか犯人の切ない思いを想像してしまう、そんな不思議な結末でした。

  • どうしてさっさとレビューを書かなかったんだろうと思ったけれど、たしか長い感想を書き終わったあとすぐに消してしまってショックすぎてほったらかしにしてたんだった。
    ミステリとしてもかなり好きな内容だった。ドラマの前に読み切ろうと頑張った記憶が。噂の新婚ごっこもあっさりしつつ面白かった。二人の掛け合いが絶妙。こんな親友ほしい。
    生徒の秘密の告白から、事件は動き出し、二年前、五年前のふたつの事件がつながっていく。そこに隠された恋と呼ぶには幼いような感情が、それでも存在を否定されなかったことはアリスの存在が大きかったのかなぁ。
    火星の話、素敵な未来だ。

  • ドラマを忘れたころに読了。

    ドイルの緋色の研究を意識した題名のせいか、友人に勧めようとすると「朱色?緋色でしょ。何言ってんの」とかさんざん言われたのは嫌な思い出…(笑)


    夕焼け、日本人にとって故郷や心の落ち着く場所を意識させるものですが、今回は「夕焼け恐怖症」ともいうべき女子大生が登場。夕焼け=朱色ということで、朱色を見ることさえNG。ひょっとすると心が安らがない様子を表していたのか…。そう考えると、最後のセリフは彼女がやっと安らぎを手に入れることを暗示していたような気もするのですが



    …なぜカットされた^^;

  • 夕暮れの切なさを感じさせる、
    全体的に夕日色に染まった作品。

    トリックや犯人についてはそんなに驚きはなかったけど、
    色彩の美しさがとても印象的だった。

    殺人の動機も切なく純粋。
    シリーズの中でもだいぶお気に入りの作品です。

  • このトリック、
    クレイトン・ロースンの 「天外消失」発展編とでも申しましょうか。
    ここんとこは探偵が頑張ってますが、
    ラストの動機つめをワトソン役がやってます。
    いいのかあ~。

    でもって、この「動機」、なんですがね。
    かなり微妙・・・・。
    アリとするかナシとするか、
    読み手の恋愛観に左右されるところだと思います。
    読書会ネタにしたいなあ。

    四天王寺の西門近くの「釣鐘饅頭」ってのが
    とても気になってます。。。。。

  • これが本格推理小説か。犯罪の動機が私にはイマイチ理解出来なかった。臨床犯罪学者・火村の推理は冴えるが心の奥には一体何があるのか?

  • 作家アリス&火村先生シリーズ第8弾。情景が美しくて切なくて、ただのミステリーではない大好きな本。電車の中で、アリスと火村先生の生徒が2人で話をする場面が好き。

    • りいこさん
      探偵は巫女となりって場面ですね。私も強く感銘を受けました。ぼろぼろになるほど読みこまれたとの事、私も久しぶりにまた読み返したくなりました。
      探偵は巫女となりって場面ですね。私も強く感銘を受けました。ぼろぼろになるほど読みこまれたとの事、私も久しぶりにまた読み返したくなりました。
      2012/06/13
    • jardin de luneさん
      シリーズ自体大好きですが、この本は格別ぼろぼろです(笑)何度読んでも飽きません。
      シリーズ自体大好きですが、この本は格別ぼろぼろです(笑)何度読んでも飽きません。
      2012/06/14
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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。’89年『月光ゲーム』でデビュー。’03年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞、’08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、’18年「火村英生シリーズ」で第3回吉川英治文庫賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長。近著に『濱地健三郎の幽たる事件簿』、『論理仕掛けの奇談』など。

「2021年 『カナダ金貨の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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