朱色の研究 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 2830
感想 : 243
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913048

作品紹介・あらすじ

"2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です"臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった-。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が…?!現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • ’21年11月4日、読了。KindleUnlimitedで。本当に久々に読んだ、有栖川有栖さんの、長編。

    楽しかった…もう、ただそれだけ、それ位、有栖川さんの作品が好きです。なんだか、どれを読んでも「優しさ」を感じます。どんなに残酷な殺人事件でも。

    この作品も、そういう意味で、有栖川さんらしいなぁ、と僕は感じました。ズバッと「愛」が語られる、解決編…そこに、いつもの火村の、氷の様な「怒り」。
    論理的には、いつものキレは感じなかったけど…久々に、有栖川有栖さんを満喫しました!あと何作、未読作があるかなぁ…(╥﹏╥)

  • 有栖川有栖、渾身のミステリー作品だと認識して選択。火村英生と有栖川有栖がとある電話からマンションに向かうと遺体を発見。この殺害と2年前の周参見における殺人事件とリンクしていた。そこで火村とアリスが犯人を追う。犯人は外れてしまったが、ちょっと言わせてもらいますが、この犯人の動機には納得がいかない!この動機で殺すか~?本当に~?あり得ないでしょ~!ポアロシリーズを読んでいるが、動機は2つ「怨恨」か「金=かね」。今回は怨恨だけどそんなに憎いかなぁ?逆に嬉しいぞ~。レンガ本を挑戦している読友さんより早く読了

  • 初っ端から火村先生&アリスに挑戦状を叩きつけるような事件。
    そんな始まりのわりに事件は地味だなぁと思っていたら、思ってたよりも大胆な犯人だった。
    流石に過去の事件は解決するにも手がかりが…な状態から、突然の閃きと推理。
    最後はあっという間に全ての事件を解き明かしちゃう火村先生、流石でした!

    今回はアリスの推理小説に対する考え。
    それに『海のある奈良の死す』での火村先生が見る悪夢の内容を知ることが出来たので、ミステリだけでなくキャラクターへの興味も満たせて良かった。

  • 夕焼けを題材にしたストーリー。最新作もだけど、有栖川さんは夕焼け空が好きなのかな。
    今回は、作中でアリスがミステリーを書く意味だとか、火村のフィールドワークの理由なんかが描写されてて、派手さはないんだけど満足度の高い一作だった。

    この世には人間しかおらず、あの世は存在しないから、犯罪者は人間の手で裁かれるべきなんです。

    この辺りの台詞が特に好き。

    好きなひとがいるのに、他の女のひとの魅力に傾いてしまった自分が許せなくて他の女のひとを手にかけるって…動機の面は全く意味がわからなかったな…有栖川さんの作品は割と動機がよくわからない。たぶんこのひとの価値観が自分と違うんだろうな…

  • 派手さはないが、完成度が高い、とても有栖さんらしい作品。
    車の陰という小さな手がかりから犯人を導く手腕もさすがだが、どちらかというと動機に重点が置かれているのだろうか。
    想い続けている人がいる中で、他の女性を好きになってしまう。
    朱色に染まった、なんとも物悲しい物語だ。
    飛鳥部勝則さんの解説も面白かった。

  • 一章から火村さんもアリスもずっと一緒。そんな始まりが好みだった。夕焼け、極楽浄土、風景、、火村さんとアリスの掛け合いがとても良かった。

  • 自作自演。
    トリックは最初から犯人が言っていたのね。
    最後のいいところはアリスが持っていきました。

  • ・プロローグの夕焼けの描写が鮮烈で、まずそこからやられた。
    ・作中に時折挟み込まれる夕焼けに関連するシーンが、リリカルというよりも何だか陰鬱で不安を煽られる感じがして逆に印象深く刻まれる。
    ・しかし、今回の登場人物があまり自分ごのみではなかったのか、それともこのところ疲れていたからなのか、読んでいても途中興味が散漫になってしまって、話にのめり込むことかできなかった…。
    でも、火村先生の夢の内容が語られたりと、このシリーズ的に重要な要素もあるので、また余裕のある時に読み返そうと思う。

  •  ロジックも良かったし、アリスの推理小説論も面白かった。朱色とは夕日のことなのですが、冒頭の夕日の描写も印象的でした。

     でも、それをすべて持って行ってしまったのが犯人の動機。人ってそんな感情になることがあるのか…

     順を追って感想書いていきます。まずロジックについて。

     この話は前半、後半に分けられそうですね。

     准教授の火村が自身のゼミの学生から、過去の未解決事件の捜査を依頼されますが、その事件を本格的に追い始めるのは後半から。

     前半は火村とアリスが謎の電話に呼び出され、マンションの一室を訪れると、そこに他殺体があります。そして、その部屋に直前までいた容疑者が現れるのですが、その容疑者の話では部屋に死体は無かったらしく…。この謎が主題です。

     個人的には、過去の事件だけでがっつり長編にしてほしかった思いもあるのですが、この前半部もきちんと意味があり、それはそれでやっぱりよかったのかな、と思ったり。

     トリックについては、ちょっと悔しかった…。もうちょっとじっくり考えたら分かりそうだったんだけどなあ…。

     そして、後半部。いよいよ過去の事件へ。こちらはロジックがしっかりしてました。たった一つ条件が変わるだけで、ここまで推理が展開されるとは!

     続いてアリスの推理小説論について。アリスたちが火村のゼミの学生と過去の事件現場へ向かう電車内で、アリスは質問されます。

    「なぜ推理小説は殺人事件を描くことが多いのか?」

     それに対しアリスはこう答えます。

    『死者は、こちらがいくら問いかけても絶対に答えることがない。その不可能性が鍵のような気がします』

    『問いかけても答えないと確信しているものに、答えてくれないと確信しながらなお問いかけるというのは、切ない行為だと思いませんか?』

     推理小説とは、世界や運命、過去になぜ? と問わずにはいられない人間の思いを引き受けたものなのかもしれない、と。

     推理小説をここまで昇華してみることができる作家さんって、有栖川さんをおいて他にいないような気がします。

     有栖川さんの描く推理小説やその探偵たちの魅力の秘密は、こうした有栖川さんの思いなんでしょうね。

     夕日の描写に限らずなのですが、有栖川さんの描写って何だか好きです。どこか推理小説ぽくないセンチな感じや、繊細な印象を受けるときがあります。この作品の夕日の描写もそうでした。

     きっと有栖川さんのどこかロマンチストなところが反映されているからだも思うのですが、これ本人に言ったらどう思われるでしょうか(笑)

     そして犯人の動機。個人的にはなかなか理解の難しいものだったのですが、犯人の最後の告白はなんだか身につまされる、切ないものでした。

     きちんとロジックや物的証拠を検証したわけではないのですが、個人的な意見だと、まだ犯人は言い逃れできそうな感じではあったんですよね。

     ではなぜ犯人は、罪を語ったのか。それは今まで決して表に出すことの無かった感情を告白できる、最初で最後の機会だったからだと思うのです。

     共感しがたいのに、なぜか犯人の切ない思いを想像してしまう、そんな不思議な結末でした。

  • どうしてさっさとレビューを書かなかったんだろうと思ったけれど、たしか長い感想を書き終わったあとすぐに消してしまってショックすぎてほったらかしにしてたんだった。
    ミステリとしてもかなり好きな内容だった。ドラマの前に読み切ろうと頑張った記憶が。噂の新婚ごっこもあっさりしつつ面白かった。二人の掛け合いが絶妙。こんな親友ほしい。
    生徒の秘密の告白から、事件は動き出し、二年前、五年前のふたつの事件がつながっていく。そこに隠された恋と呼ぶには幼いような感情が、それでも存在を否定されなかったことはアリスの存在が大きかったのかなぁ。
    火星の話、素敵な未来だ。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2022年 『濱地健三郎の呪える事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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