暗い宿 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 2258
感想 : 200
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913079

作品紹介・あらすじ

廃業が決まった取り壊し直前の民宿、南の島の極楽めいたリゾートホテル、冬の温泉旅館、都心のシティホテル……様々な宿で起こる難事件に、おなじみ火村・有栖川コンビが挑む!

感想・レビュー・書評

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  • 宿にまつわる話を集めた短編集。非常にまとまりが良く、良く読み返す本の一つです。
    「暗い宿」「異形の客」でのアリスの自由気ままな行動には憧れます。思い立ってどこかに行ったり泊まったり、楽しいですよね。殺人事件に出くわすのはごめんですが。
    この短編集で一番好きなのは「ホテル・ラフレシア」全体の雰囲気と後味の悪さがたまりません。

  • 作家アリスシリーズ。
    4編からなる短編集。
    題名の通りテーマは「宿」。
    どれも読みやすくサラッといけました。

  • 宿をテーマにした4つの短編推理小説が収録されている。
    火村シリーズは話の中で私であるアリスを通し、丁寧に状況説明がされている印象だったが、こちらの短編はどれも余韻を残す終わり方となっている。
    場面展開がぎゅっと凝縮されているので、各話一気に読むことをお勧めする。話についていけるよう、真剣に読むので、物語に一気に入り込める。短編でもこんなに作品の世界観にひたれることができるのだと実感した。

    暗い宿
     田舎の静かな夜、真っ暗な部屋、静まりかえった部屋にかすかに聞こえて来る、土を掘るような音。情景がありありと浮かんで、ホラー小説を読んでいるのかと錯覚してしまう。自分が体験したかのように引き込まれた作品。

    ホテル・ラフレシア
     夢のようなホテルで起こる事件。ホテルカリフォルニアの歌詞とともに、フワフワとした雰囲気の中、気づいたらそこに囚われているのではないか。幻想的なのか不気味なのか、終わりもまた夢のよう。

    異形の客
     正統派の本格推理小説という感じ。事件が起こったのに、旅館が発する静かな空気のギャップが印象的。あとアリスが美味しくごはんを食べた様子がいやに心に残った。

    201号室の災厄
     現在進行形で起こる事件。ほぼ全てホテルの一室での場面のみなのに事件の真相を読み解き、状況判断をした火村のキレに脱帽。他の三編とは違う終わり方。でもこれもミステリー。

  • どの作品も最後は火村先生の辛口で終わる・・・みたいな感じでしたね。途中まではふむふむと読み進むのだけど、最後にむかって尻すぼみになっていく感が。このコンビは好きなんだけど。

  • レベルはいつも通り安定してるので、何の文句もないです。
    困った時の有栖川さん。
    この本も、手元に本のない日に衝動的に調達してしまい、やはり決して外れない、読んで良かったと思える出来でした。ストーリーも、文体も。
    とりわけ文体が、しっくり来るんですよね有栖川さんて。凄く難しい単語を駆使してる訳じゃないけど、意のままに文章を操れる感じ。読んで全く不自然なところがなく淀みない感じ。本当に語彙力ある人なんだろうなぁ。

    ただ、作家アリスシリーズはなるべく順番に読むようにしてた中での衝動買いだったので、急にちょっと飛ばした形になってしまい、初見のキャラ設定があったりしたのが、本作品が初出なのかどうなのかはっきりしませぬ。

    ここまでくると、アリスは事件遭遇体質か?ってくらい事件に遭いすぎるし、火村は今日も1人クールでカッコイイ(支離滅裂)。
    二人の、自立してるんだけどつるんでる感じ、お互いのことを全て知り尽くしてる訳じゃないけど信頼してる感じ、突き放してるようで好んで一緒にいる感じが、たまらなくツボです。なんか、30代前半って、一番自由でイイ時代だよね…。
    特に私は火村センセファンだけど、アリスの関西弁も好き。

    「暗い宿」、潰れた民宿の解体時に死体が発見された。この宿の最後の客であっただろうアリスが、聞いた物音や目撃した人影と事件との関連性を確信し、警察に一報入れる。
    問題は、その直後、ウキウキと(そうは書いてないけど目に浮かんだ)火村センセに電話するアリスですよ。アリスやっぱり速攻火村に電話しちゃうのね、そうなのね、みたいな。
    先に連絡したのが警察だったことだけは褒めてやろう。

    「ホテル・ラフレシア」、骨子となってる歌「ホテル・カリフォルニア」をよく知らなくてピンと来なかったけど、事件を解決する展開じゃなく、趣向が変わってて面白かった。石垣島の高級ホテルに仕事がらみで泊まることになったアリス、出版社の思惑もあって火村も連れて行くことに。石垣島ではほぼ別行動でつれない火村センセだけど、アリスはその都度火村の動向を心配(?)してて、可愛い。(そういう話じゃない)

    「異形の客」、アリスが訪れた近場の温泉宿の泊まり客に、包帯ぐるぐる巻きの男がいる。いかにも怪しげなその男の泊まった部屋で死体が発見される…。
    人を殺めたことを何とも思ってない犯人への火村の容赦のない追及、怖いけど惚れる。背景に火村のブラックな経験があるんだろうな…と夢想する余地を残す。
    ていうか、事件起きるやん、警察来るやん、それで充分なのに火村呼びつけるやん、火村もちょっと距離あるのにダッシュで来るやん。なんなの?(萌えてる)

    「201号室の災厄」、外人ミュージシャンが泊まるホテルの部屋で人が死んでる話。
    ちょ、火村センセ、ボクサーだったんですか? そんな設定でしたか? 頭切れっ切れなだけでなく、腕っぷしも強いんですか? そんなの惚れるに決まってるやん。
    冒頭、たまたま二人とも仕事で東京にいるからって、会うんだ…会って飲むんだ…、関西でいくらでも会えるのに…、しかもセンセそんなに酒強くないんだ…そうなんだ…。
    自分の生活圏である東京に二人が来てくれて単純に嬉しい話。
    事件の真相の方は明かされずじまいでちょっとモヤったけど。

  • 宿縛りの短編集。
    『暗い宿』
    廃線になった(正確には違う)線路を散策するうち引き始めていた風邪を悪化させたアリスは引き払う寸前の宿に助けを求める。一夜、横になれればいいと懇願する病人を放っておけず、一夜の宿を貸してくれた元女将。風邪薬も手伝って夢現の夜中、アリスは階下で不審な音を聞く。その音の正体は?--後日壊された宿の床下から男の死体が掘り起こされた。
    『ホテル・ラフレシア』
    ホテルのミステリーゲームのモニターとして片桐に連れられてやってきた石垣島の高級ホテル。火村も同行していたそのホテルで、ミステリーのイベントが盛大に行われている同じ夜、火村は浜辺で一組の夫婦と出会う。奥さんのほうが倒れており、夫はその隣で口の中で何かを咀嚼していた。--彼らの間に何が。
    『異形の客』
    一仕事終えたアリスが足を運んだ小さな温泉宿では、包帯をぐるぐる巻きにし、サングラスにマスク姿の男が泊まっていた。男が翌日散歩から戻ってこない間に、男が泊まっていた離れの部屋で若い男が殺されているのが見つかる。包帯の男の意味は?--人の顔についての考察が事件を紐解く。
    『201号室の災厄』
    それぞれの用事で東京で落ち合った二人。火村は同僚から譲り受けた優待券でいつもはけして泊まらない高級ホテルに泊まっていた。気分が高揚していつもより飲んだ酒のせいで一つ下の部屋に間違って入ろうとした火村は、外国人に腕を掴まれ、部屋が間違っていることに気付く。そしてその外国人が、今来日しているロックミュージシャンだと気付く。それが彼の不運の始まりだった。--ミュージシャンの部屋で死んでいた女。彼女を殺したのは…

    少し薄暗く、ほのかに明るい。有栖川さんらしい短編集。やわらかな文体がほんとに好き。それでも情景の描写はかっちりとしている、ギャップも。アリスのうっかりした性格がちょこちょこ。一番好きなのはホテル・ラフレシア。物悲しい終わりがミステリらしい。

  • 作家アリス〈火村英生シリーズ〉の短編集。〈宿〉をテーマに4本の短編が収録されている。全体を通して仄暗く、哀愁のある作品が多く感じた。その中でも、最後の火村先生が主役の第三者視点から描かれる話はアクション要素(!?)があるので楽しく読むことができた。有栖川有栖という作家の情景描写は凄まじく、中でも表題作である〈暗い宿〉では暗闇の中背筋がぞくりとするような感覚を感じることができ、アリスと同じくその場にいるような感じさえした。

  • トリック自体は面白いんだけど、伏線が少なく、終盤の推理で全て解決してしまうのがちょっとな。。

  • 火村が単独で活躍する「201号室の災厄」が面白かったですね〜。火村単独って珍しい。全四話。どれもトリックは明確にされてません。推理してるし、恐らくこういう事なんだろうという流れは提示されてるけど、犯人が認めなかったり、少なくとも有栖川の前で自白はしてないので、あくまで推測で終わってる。動機も曖昧。だけど実際の事件ってそんな感じですよね。探偵役が詳細を語るのって不自然だし。その不自然さも好きだけど(笑)人って思いがけず罪を犯してしまうものなんですよ。

  • 宿、がテーマの短編集。
    ホテルとか宿とかって、ミステリーが似合うんだなぁ、と再認識。

    ホテル・ラフレシアの後味の悪さ、不気味な感じがえもいわれぬ風味でとても好き。
    この作者の筆の上品な感じは、陰惨だったり後味の悪いような話で際立つと思う。

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。’89年『月光ゲーム』でデビュー。’03年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞、’08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、’18年「火村英生シリーズ」で第3回吉川英治文庫賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長。近著に『濱地健三郎の幽たる事件簿』、『論理仕掛けの奇談』など。

「2021年 『カナダ金貨の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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