壁抜け男の謎 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 530
感想 : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913109

作品紹介・あらすじ

犯人当て小説から近未来小説、敬愛する作家へのオマージュから本格パズラー、そして官能的な物語まで。有栖川有栖の魅力を余すところなく満載した傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 有栖川有栖によるノンシリーズの短編集。
    鮎川哲也へのアンソロジーやSFチックなもの、数ページのショートショートなど、有栖川有栖のいろんな側面が垣間見える興味深い作品集となっている。本格的なミステリだけでなく、ミステリとしては反則だろうという作品、ちょっとホロリとくるハートウォーミングなものまで各種取り揃えてあり、ある意味では散漫ではあるが個人的には大変楽しめた。
    それにしても、表題の「壁抜け男」、本当にある作品なら見てみたいと思ったが、作者の創作だったとはちょっと残念。

  • ミステリあり、オマージュあり、ホラーあり・・・と、どれも個性的な短編ばかりですが、私は『ジージーと日々』が一番好きです。こういう話に凄く弱いので、最後に思わず涙が。

  • ジャンルごった煮な掌編〜短編集。他のミステリー作家にはなかなか見いだせない、引き出しの多さを改めて感じました。

    メインテーマはしっかり表現しながら、同時に作者の根幹であるミステリー色も忘れずに随所に織り込ませるところに、どうしようもなくミステリー愛を感じられて嬉しい作品です^^



    メモ↓↓

    ガラスの檻の殺人(四つ辻の交点で起きた殺人、透明な密室、消えた凶器はどこに?)

    壁抜け男の謎(迷路庭園に消えた犯人と残された絵画、ふき取られた指紋の意味)

    下り「あさかぜ」(アリバイ工作)

    キンダイチ先生の推理(何故、被害者は自分の家に何度も電話をかけたのか?)

    彼方にて(9/11、反世界、青い薔薇)

    ミタテサツジン(売れない俳優と付き人、雪月花姉妹、見立て)

    天国と地獄(天国と地獄の長箸の使い方を聞いて得た犯罪の着想)

    ざっくらばん(スパイ容疑を告発する怪文書、言いまつがいによる差出人確定)

    屈辱のかたち(丸くなった批評家を襲う悲劇)

    猛虎館の殺人(首無し死体、熱狂的なタイガースファンの家にあるべきものの最終目標)

    Cの妄想(私という人間はいつから存在しているのか? 唐突な終わりの気配・幕)

    迷宮書房(どんな物語もそろう場所、非現実の現実化)

    怪物画趣味(怪物の犯罪)

    ジージーとの日々(SF、ロ母、ほんのりミステリー)

    震度四の秘密(結婚前の演技)

    恋人(官能、抜けた歯)



    フーダニットからオマージュ、SF小説、官能小説までを収めた十六の短編集。

  • 様々なジャンルの短編集。
    もちろんミステリー多めだが、人情ものや恋愛ものもあり楽しめた。
    ミステリーはとんでも話が多かった印象。

    一番面白かったのは最後に載っていた「恋」。
    大学生時代に小学生の女の子に恋をしたおじさんの回想録。人によってはドン引きするような設定やオチだが、とあるものを大事に扱うラストシーンはこの設定だからこそできたもの!
    普段のミステリーとは違う文体で書かれた恋愛小説は、作者の新たな魅力を教えてくれた。

  • なんだ…火村先生のシリーズが一つも無いのか。
    有栖川氏は、本当に推理作家推理作家している。というのも、トリックの構想が山のようにできていて、そこの物語をあてこんで書いているような気がするからだ。それくらい、トリックの持ち数が多い。尊敬する所でもあり、もっと大事に取っておいて、短編ではなく中編くらいでせめて披露してほしいというところでもある。

    いくつか挙げるとしたら「迷宮書房」と「ジージーとの日々」だろうか。
    「迷宮書房」は、かの有名な「注文の多いレストラン」のオマージュ。今回は、レストランではなく、注文の多い本屋とでもいった所だろうか。主人公たちがオーダーした冒険活劇に則って、突然刺客が現れるシナリオ。これを、自分が主人公の学園恋愛ドラマとかオーダーしたバージョンも見てみたかったな(笑)
    「ジージーとの日々」は、介護ロボットならぬ育児ロボットとの日々を描いた物で、その世界の(時代の?)育児の常識なんかがリアリティたっぷりに描かれているのが興味深い。新しい技術は、いつの時代も古い慣習と比較され、淘汰されたり根付いたりする。それが今はスマートフォンや電動の揺り籠やらなのだろう。私は、温かみという非合理的な物が事の外大事であると思うので、昔ながらの子育てが好きだ。育児は、作業では無いので、ロボットの育児は何か違うと感じる。

    これだけ読書を重ねているのに、短編の良さが分からない。
    積みに積んだ設定や、愛し抜いたキャラクターたちをラストでばばんと活かす長編よりも、アイディア勝負の短編を愛する気になれない。でも、書く方は短編のが楽しいのかもしれない。アイディアがすぐに形になるのだから。でも、読者の端くれとしては、長編を生産する有栖川先生を渇望していたい。

  • 多彩なジャンル16篇からなる短編小説集。どれも物語自体読みやすく面白いが、短編のためすぐ話が終わってしまうのがなんだかもどかしい。長編で読みたくなってしまう。中でも「ジージーとの日々」「ミタテサツジン」「キンダイチ先生の推理」が面白かった。

  • 内容に全く統一性のない作品が集まった短編集(^ ^;
    正直、途中まで読んだ感想は「何だこりゃ」(^ ^;

    小説のジャンルも長さもテイストもバラバラで、
    中には「犯人は分かりましたか」みたいな
    「読者に挑戦」モノがあったり(^ ^;

    作者の後書きを読んで、ちょっと納得。
    初出が新聞連載で、正に「謎解きに挑戦」だったり、
    テーマや分量を出版社側から与えられて
    「縛り」の中で書かれた作品だったり、
    はたまた誰かのアンソロジーのためのものだったり....

    そういう種々雑多な(失礼!)作品を集めた一冊、との由。
    私の正直な第一印象は、あながち的外れとは言えん(^ ^;
    さらに失礼を承知で言えば、「技巧が悪目立ち」する作品が
    多かったように思うが、これも状況を鑑みれば宜なるかな。

    ...などと、作者のマネをしたつもりで
    無理に難しい言葉を使ったりしてみましたが(^ ^;

    作中のそこここに、難しい言葉(ほとんどが漢語)が散見される。
    が、正直、言葉のチョイスが内容や文体と合ってない(^ ^;
    漢検1級の勉強をした若者が、「どーだ、スゴイだろ、
    こんな難しい言葉も知ってんねんで〜」と
    得意がって使っているような印象で(^ ^;
    私にはヒットしなかった(^ ^;

    前もこの作者の著書で、同じような印象を持ったような(^ ^;
    しばらく手を出すことは無いかな...(^ ^;

  • 短編集。どの作品もミステリらしい趣向が散りばめられており短い小説ばかりながらどれも面白く読めた。「猛虎館の惨劇」は有栖川先生の猛虎魂が見れて笑えた。個人的に好みなのは「キンダイチ先生の推理」「Cの妄想」「迷宮書房」「怪物画趣味」かな。

  •  数年にわたって発表された短編を集めたもの。それぞれの話に関連性はない。
     「ガラスの檻の殺人」と「壁抜け男の謎」が楽しかった。もちろんトリックも犯人も全く予想できなかったが。
     しかしわたしにはこの作者の作品があまり肌に合わないみたい。

  • 作者のあとがき通り「混沌」としています。
    けれど、有栖川さん色でまとまっている。

    こんなに雑多で「好き勝って書いてるな~」と
    感じた短編集は初めてだったけど、そこが面白く、
    どの話も終わりの向こう側を妄想できる楽しみが
    備わっていました。

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著者プロフィール

有栖川 有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。’89年『月光ゲーム』でデビュー。’03年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞、’08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、’18年「火村英生シリーズ」で第3回吉川英治文庫賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長。近著に『濱地健三郎の幽たる事件簿』、『論理仕掛けの奇談』など。

「2021年 『カナダ金貨の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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