死国 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041932025

作品紹介・あらすじ

二十年ぶりに、故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代が十八年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の"逆打ち"を行なっていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦えるというのだ-。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋におちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して…。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝奇ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 自分の住んでいる四国を舞台にこれほどまでの土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の住んでいるところがとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。

    しかし、この死者を甦らせる逆打ちという儀式、これが本当にあるのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。
    そして素直にお遍路さんを感心して見る事が出来ないようになりそうだ。

    この逆打ちを中心に、四国が死者と生者が同居する“死国”となる展開、そして比奈子の実家の管理人、大野シゲの若かりし頃の不倫の話、儀式として四国霊場八十八ヶ所巡りを村の男が順番に行う男の話、植物人間状態で入院している郷土研究家の莎代里の父と介護する看護婦の話、これら全てが逆打ちに同調して収斂する手際は見事だ。

    今回読書中、『八つ墓村』とかの昔の日本の映画の雰囲気を思い出した。あの独特の日本人の魂の根源から揺さぶられる恐怖がここにはある。日本の田舎が持つお化け屋敷的な怖さを感じさせる文章力は素晴らしい。

    そして映画は未見だが、恐らく莎代里=栗山千明なのだろう。このキャスティングは見事。イメージぴったりだ。映画も観たくなった。

  • こっち系のホラーはあまり怖くない。そうなっちゃうのか!はっきりしとけよこの面食いがぁ!って結局色濃く残るのがそこ。

  • 四国は死の国−。英語圏での13という数字が死神をあらわすものと同様に、日本では4という数が死につながる。そして四国という国の特異性。
    死人がよみがえる、四国は死の国。いくつもの暗喩に四国に関わる他作品が思い出された。
    四国という舞台の中で、本来ならば当たり前であるべき男女間の人間関係が影を落とす。

  • 怖さもありましたが、恋愛要素もありました。

  • 結局は三角関係の話。と思うと陳腐だけれど。
    四国の自然とか古事記の世界と合わせると、情景が豊かに浮かんでくる。
    ちょっと四国が怖くなった。四国の人はどう思ってるんだろう?
    結局男は死んだ女のもとに行ってしまうのだけど、そんな呪縛から逃げれないのは不幸なこと。主人公もせっかく帰省したのに踏んだり蹴ったり。東京の彼も終わってるし。

  • ホラーブームの頃に書かれたとはいえ、このタイトルと内容のせいで四国とお遍路のイメージがとても悪くなってしまった。
    ドロドロとした土着信仰はホラーにぴったりだろうけれど、東京との対比や田舎のコミュニティ等いろいろ後味悪すぎて…。
    死の国なんて言われて…四国の人、嫌だろうな。

  • 設定はよかった。情景の表現もよい。だけ。
    すごくもったいないのにあまりにひどい。
    どこかのアニメで影響を受けたんだろうな、でもその映像を自己満足で完結してしまったためにこんな小説になりました、みたいにw
    文中に出てきた四国の古代歴史?の本の方を読みたかった。
    うん、設定がよかっただけにもうひどい、笑えるくらいに酷いw
    ラスト数ページで何度も寝落ちを食らうのも珍しいwww

  • 都会から帰省してきた主人公が感じた四国の景色や方言に、終始癒やされながら読みました。
    どうなってしまうのか気になってどんどん読み進めてしまった。最後はちょっと個人的にはショックな展開で、なぜ、、、という気持ちでした>.< いつかお遍路行きたいです。

  • 坂東眞砂子の初期の長編。
    これをもって今をときめく坂東のホラーワールドが広がった先駈けとなった作品である。
    四国を“死国”に置き換え、石鎚山につながる土俗信仰をうまく絡み合わせて、壮大な物語へと展開させていく力はさすがというべきか。また、“吐息のような光を放つ蛍”なんていう表現は、思わず「うまいなぁ」と感じてしまう。

  • 日本を代表する巡礼である「四国八十八ヶ所巡り」に、呪術的要素を加えた、怪奇ロマン系のホラー小説です。日本の風習や、しきたりといった土俗的な部分に惹かれてホラーを好きになった私としては、世界観に入り込みやすかったです。

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著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂東眞砂子の作品

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