狗神 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.48
  • (48)
  • (86)
  • (173)
  • (12)
  • (7)
本棚登録 : 759
感想 : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041932032

作品紹介・あらすじ

美希の一族は村民から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続くはずだった。一陣の風の様に現れた青年・晃が来なければ……そして血の悲劇が始まり、村民を漆黒の闇と悪夢が襲う。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者の名前はどことなく聞き覚えがあり、読み終えて気づきました。

    1999年に「リング2」と同時上演され、映画館で見た「死国」の原作者。

    調べてみると高知県の産まれだそうで、納得。

    映画「死国」も舞台はもちろん四国、本書の舞台も高知県の山里で、そこで暮らす美希が主人公です。

    彼女の一族は「狗神筋」と呼ばれ、村人達から忌み嫌われていました。

    「狗神」とは?

    血が引き起こす恐怖の伝播。

    そして、明かされた血の内容にはある種の戦慄を覚えました。

    読み始めた時にプロローグとして始まる信濃•善光寺のシーン。

    そこから舞台は高知県に移りますが、善光寺の「戒壇廻り」から始まらなければ本作の恐怖は味わえなかったと思います。

    何故に人々が善光寺にお参りに行くのかも知ることが出来ました。

    「リング」や「呪怨」程のホラー感はありませんが、思わず一気読みさせられました。


    説明
    内容紹介
    美希の一族は村民から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続くはずだった。一陣の風の様に現れた青年・晃が来なければ……そして血の悲劇が始まり、村民を漆黒の闇と悪夢が襲う。
    内容(「BOOK」データベースより)
    過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。そして美希の一族は村人から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続いてゆくはずだった。そんな時、一陣の風の様に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける!不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人々の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った傑作伝奇小説。

  • 田舎の閉鎖的な、しかし美しい自然の情景が浮かんでくる。救われない話だけど自分的には好み。

  • 期待したほど怖さはなかったが、面白く読めた。「ホラー」というよりは、角川文庫の惹句のように「伝奇ロマン」というほうが合っているかも知れない。横溝正史へのオマージュか、と思わせる要素がいくつかあり、横溝ファンとしては軽くくすぐられる感じ。だが実は全然関係なくて、自分がタイトルに引っ張られただけ、という可能性は無きにしもあらず。

    「怖さ」はそこそこでも良いけれど、禁忌を描くストーリー上、「忌わしさ」「呪わしさ」を演出でもっと煽って欲しかったな、とは思う。読んでて生理的嫌悪感を感じるくらいでないと。

    他にも残念な点がいくつか。割と早い段階で、物語の中核である隠された事実がネタ割れしてしまった。これは作者が意図したところではないだろう。それならむしろ、早めに読者にだけ事実を明かして、その上で経過を見守らせるのもアリではないかと。

    重要要素であるコミュニティ内の対立について、ヘイトが唐突に沸点に到達した感があった。最終的に極端な展開を見せるだけに、この辺りもう少し段階を経て欲しかった。じわじわとテンションを上げていく展開はスティーヴン・キングが上手い。本作もキングの諸作品くらい(或いは『山妣』くらい?)長尺にしてもよかったのでは、と思う。

    また、終盤に新要素が投入されたことで、話がとっ散らかった感は否めない。もっと早い段階で投入してフリを効かせておくべきだろう。プロローグとエピローグがちぐはぐなのも気になった。そういったあたりは「若書き」と言えるのかも。

    最後に余談。映画(筆者は未鑑賞)では天海祐希が主役を演じたが、自分は読んでいる間ずっと木村多江をイメージしていた。


  • 土俗的な風習や田舎の閉鎖性、憑き物、呪いという
    ある種の和製ホラーの方向性を位置づけた記念碑的作品
    なのだなあということを確認しながら読むような感じだった。

    物語の舞台となる村落の描写を読むたびに
    隣人・村人との不思議な距離感と村全体の閉鎖性と緊密性に覆われた
    小野不由美『屍鬼』の舞台である外場村の雰囲気との酷似を感じたし
    憑き物筋と呪いによる死は三津田信三の刀城言耶シリーズに
    通じるものがあった。

    影響を受けていないのかもしれないが、
    なんとなくそういった後に作られた作品群に
    影響を与えた傑作なのだろうなという思いを持った。

    「血」と「土」を強烈に感じさせる傑作伝奇ホラーでした。

  • 横溝作品のどろっとした部分を抜き出してモチーフにしたような作品。
    憑き物筋という家系に一生を翻弄される女性の諦観や情念がわかりやすく・でも情感たっぷりに描かれていて面白かった。
    最後まで血筋に振り回され、ついに幸せを手にすることができなかった主人公・美希の無念さに涙。

    「死国」に比べると大風呂敷を広げないし視点が主人公に固定されてるので話を集中して追えて、こっちの方がのめりこめたな。

  • 土佐の犬神伝承を元にした土着ホラー。著者の作の中では最も好きな作品。
    美しい山里の景色と美希が制作を目指す軽やかな七色の和紙のイメージ。それとは対照的な、代々同じ家系で住み続けていると溜まる軋轢やなんかが受け継がれて醸成されていく、じっとりした嫌な部分。
    狗神も存在するが、人の心の陰湿さや攻撃性の方が色濃く描かれた人怖系のホラーでもある。

    ホラー演出としては狗神が見せる赤子の悪夢や村人の陰湿さも中々だが、美希と晃の選択が一番理解しにくく気持ち悪い。そして怖い。でもそれが「血」に縛られ操られた結果の思考と選択だとすると狗神の恐ろしさ、憑き物筋の血筋に産まれる哀しみも増す。



  • おっっもしろかった………。田舎の美しくも閉鎖的な雰囲気の描写がとにかく良かった。それに村人たちの、狗神筋の一族への畏れと憎しみが悪意となる様もおぞましくていい。
    作品は違うんですが同著の死国って映画の(原作は未読)映像や雰囲気がとてもよかったんだけど、あの映画の田舎の雰囲気がこの本でもまざまざ感じられました。
    それに、美希と晃のロマンスがとてもいい。誠一郎は幸せになってくれ…。
    おぞましくて悲しく、でもどこか美しい話だった。すごく好き。

  • 高知の山中の小集落が舞台。怪しげな伝承をモチーフに恋愛とホラーとのドロドロ小説。やたらおどろおどろしく描写しようとするせいで恐ろしさが伝わってきづらい、もったいない。ナントカ賞受賞とのことなので過度な期待を寄せてしまったかも

    最後、墓の下から赤子が出てくる恐怖は本作よりも水上勉の越後つついし親不知で感じた。小さな虫の様な姿見現実離れしすぎていてどうもついていけなう

  • 坂東眞砂子による、犬神伝承を題材とした伝記小説。高知の山村で起こる「狗神筋」を巡る恐怖と悲哀を描く。

    辛い過去から人生を諦め、唯一のやりがいである和紙漉きで平穏な日々を送っていた美希。ある日、隣村の小学校の教師として赴任してきた晃と出会い、交流を深めていく。惹かれ合う二人。しかし、晃との年齢は、四十路の美希とは20歳以上も離れていた。過去の辛い経験もフラッシュバックし、惑う美希。それと同時に、村では毎晩"悪夢"を見る者が続出し、不穏な空気が漂い始める。そして母・富枝より、坊之宮家の女筋にのみに伝えられる「狗神様」の秘密が明かされる―――。

    閉鎖的な村社会、男を虜にする薄幸の佳人である美希、20歳以上も離れた美希と晃の恋、"血の交わり"で甦る「狗神伝承」。ドロドロとした伝記を描くための舞台装置が素晴らしく、作品の雰囲気に呑まれて一気に読了してしまった。

    「血と血を交らせて 先祖の姿蘇らん」―――本作の主題となる、「狗神伝承」に関する、坊ノ宮家に伝わる謡の詞なのだが、これは伏線として中盤までには出しておいて、真相が分かるクライマックスで、読者をこれでもかという程に唸らせて欲しかった。それだけが残念でならない。

  • いつもながら四国の情景に心奪われた。
    田舎の嫌な人間関係と、畏れとのバランスが良かった。いつも男女関係があるけど、恋愛感情なしでは運命に勝つの難しいのかな、、
    救われない話だったけど、それも儚い伝承の話の味を出していた。
    いつも土地神様とか昔ながらの逸話が絡むので面白く読ませていただきたした。

全78件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂東眞砂子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
坂東 真砂子
坂東 眞砂子
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×