大塚ひかりの義経物語 (角川ソフィア文庫)

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本棚登録 : 21
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041951026

感想・レビュー・書評

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  • (2005.03.04読了)(2005.02.18購入)
    室町時代に作られた義経の一代記「義経記」の現代語訳?です。義経の死後200年も経っていた。義経は、1159年に生まれ1189年に亡くなったと言うことなので、30年の生涯と言うことでしょうか。

    この本を読んで、司馬遼太郎の「義経」が「義経記」を基にして書かれていることが分かりました。例えば、鞍馬寺で、稚児としてかわいがられたとか、義経に源義朝の子であることを教える鎌田三郎正近とかが出てきます。
    吉次に連れられて奥州に行く話しもほぼ同じですが、司馬さんにあった那須与一に出会う話は出て来ません。
    奥州にしばらくいた義経は、こっそり上京し、陰陽師の「鬼一法眼」元にある兵法書を読んで勉強しています。
    司馬さんの「義経」では、弁慶が余りかかれていませんが、「義経記」では、割と書いてあります。弁慶は、母親の胎内に18ヶ月いて、生まれてきたとか。
    「普通の子の二、三歳くらいの体格で、髪は肩が隠れるほど生えていて、奥歯も前歯も特別大きく、口いっぱい生えそろって生まれた」
    義経と弁慶は何時出会ったのでしょうか?兵法書を読みに京に出てきた時なのでしょうか。司馬さんも、大塚さんもそう書いています。
    大塚さんによると、千人斬りの話は、「この話は古くは義経様と弁慶の役割は逆で、人の太刀を奪っていたのは義経様のほうで、それを弁慶が退治しに行くと言う設定だったのです。」と言うのですから驚きです。
    頼朝の挙兵の話を聞いた義経は、頼朝の下に馳せ参じるわけですけど、司馬さんの「義経」では、一人で行ってしまいますが、「義経記」では、藤原秀衡が300騎を与えています。
    その他の郎党は、武蔵坊弁慶、常陸坊荒尊、伊勢三郎、佐藤三郎継信、佐藤四郎忠信などがいます。後で大活躍する面々が登場しています。
    「義経記」は、「平家物語」に足りない義経の話を補うために書かれた物語と言うことなので、もっとも華々しい活躍の部分は省かれてしまっていると言うことです。この本では、大塚さんが平家物語から補って書いてあります。
    義経は、捕虜にした平時忠の娘と結婚し、頼朝の不評を呼ぶ原因の一つにもなっています。鎌倉の近くまでやってきた義経に頼朝は会おうとせず、止むを得ず義経は京に戻ります。頼朝は、土佐坊正尊を京に派遣し、義経を討たせようとしますが失敗してしまいます。
    土佐坊正尊が義経の館に攻めていった時は、義経の家来は誰も居らず、喜三太のみだったとか。「義経記」では、喜三太がここではじめて出てきますが、テレビドラマでは、初めから出ています。
    この後義経の逃避行が始まるわけですが、「義経記」は、ここでやっと半分です。
    九州へ船で行こうとして嵐に会い、吉野へ隠れ、静と別れます。
    この後、佐藤忠信の話、静の話、・・・。
    静が、頼朝の前で舞を舞う話では、伴奏するものを連れてきていないのでと断るのですが、頼朝の家来の中から工藤祐経が小鼓を梶原景時が鐘を畠山重忠が笛を担当することになって、舞うことになってしまいます。大変な見物人だったようです。
    義経は、しばらく京に潜伏した後、奥州に向かいますが、久我大臣の姫君だった、北の方も連れてゆきます。山伏姿で、行くわけですが、いろいろな困難は弁慶の機転で切り抜けてゆきます。

    著者 大塚 ひかり
    1961年 生まれ
    早稲田大学第一文学部日本史学専攻

    ☆関連図書(既読)
    「義経(上)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
    「義経(下)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
    「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25

    (「BOOK」データベースより)amazon
    平安末期の武将・源義経は、源平合戦に終止符を打った四年後に奥州衣川で悲運の自害を遂げた!その波乱に富んだ生涯を叙述した室町期の『義経記』を現代的な語り口で説き起こす。牛若丸、武蔵坊弁慶、義経の愛妾“しずか御前”をはじめ、個性豊かな人物が総登場。

  • 義経に関する有名な逸話はいくつか断片的に知ってはいるが、その基となっている義経記はちゃんと読んだことないなと思って図書館で借りた。
    なるほど、義経記ってこういう話だったんだな。弁慶が強いだけではなく機知に富んだ人物像だったのはまるで知らなかったので驚いた。
    訳は平易な文章だし、説明が必要な部分は訳者が補足しているのですらすら進められた。

  • 一番印象的だったのは作者の大塚さんの義経の呼び方を「義経様」と統一されています。本文で「義経様は〜」と大塚さんの語り口調で読みやすく分かりやすいです。義経記ですが、平家物語のかっこいい義経様も書かれています!

  • とても分かりやすい義経記解説本。若干女性向け。突っ込んで勉強したい人には不向きですが、義経記のあらすじを知りたいという人には充分面白いはず。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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