太平洋戦争 日本の敗因〈4〉責任なき戦場 インパール (角川文庫)

制作 : NHK取材班 
  • 角川書店 (1995年7月1日発売)
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  • 11レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041954157

太平洋戦争 日本の敗因〈4〉責任なき戦場 インパール (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 1995年刊行。NHK傑作テレビドキュメントシリーズの一書。

     本書の感想は一言、怒り心頭というだけだ。
     牟田口、河辺らビルマの司令官どもが責任をとらなかったのはもとより、作戦を裁可した大本営も同様に失敗の責任を取らず、それを隠蔽していた。
     ただし、この点は、ノモンハンの辻の場合も同じだし、数々の負け戦をしていた海軍も同様であり、信賞必罰などどこ吹く風である。

     本書を読んだ当初は、その補給軽視に呆れ果てていただけだったが、今となっては軍人・作戦無謬神話の保持に躍起となっていた点が不快極まりない。

  • 本書では、作戦失敗の要因を以下の5つにまとめている。
    ・東条首相や大本営では、インド攻略によりイギリスの弱体化を招くという「政略」が戦術上の困難さよりも優先
    ・牟田口第15軍司令官の個人的な野心、執着
    ・これらの思惑により反対意見が封じ込められた
    ・大本営を含む上級司令部も作戦自体を冷静に分析せずに上申を承認した
    ・日露戦争以来の「補給をあてにしない短期決戦主義」
     実際、小畑第15軍参謀長(輜重の専門家)、稲田南方軍副長、中ビルマ方面軍参謀長は反対していたが、反対意見は牟田口に抑え込まれ、小畑や稲田は更迭されてしまったため、その後反対意見を提起しにくくなったことは想像にかたくない。これだけなら牟田口個人の責とも言えるが、河辺ビルマ方面軍司令官、寺内南方軍司令官、そして大本営も作戦の承認にあたり真剣に分析・検討した形跡が見られない。司令官や中央自体に分析・検討を求めるのは酷かもしれないが、部下に冷静な検討を求める、また求められた側は耳の痛い話も率直に上申する、ことが必要だったのではないか。
     そんな中、軍規に背いて独断撤退した佐藤第31師団長の行動は、彼が本当に心神喪失だったか、遅滞戦闘を命じられた部下の宮崎歩兵団の思いは、等の評価は分かれるそうだが、当時の陸軍全体の文化の中でも驚愕に値する。

  • 結局誰がどのようにしてこの無謀な作戦を決定したのか、そのプロセスは本書でも明らかにされていない。こんなに重要で基本的な記録がないという事自体が全てを物語っている。
    結局旧日本陸軍は、身内に甘く部内者にとって居心地が良いだけのダメ組織だったことがよく理解できた。民主主義が未成熟な発展途上国にありがちな組織である。
    これがまったく他人事でないところが恐ろしい。。。

  • 感想は最終巻に記載。

  • たとえ間違っていると思っていても、組織の決定には従ってしまう。物事を始めるところが無責任なのだから、失敗したときの責任感も希薄になるのもやむを得ないか。
    結局、すべてのしわ寄せは前線で戦う将兵に行ってしまうのだ。
    歴史的な惨敗となったインパール作戦。
    参加将兵10万人あまり、戦死者4万、傷病者3万。
    直接人の命に関わらないとはいえ、ほぼ毎日、同じような葛藤を感じている。

    時々挿入される、撮影にまつわるエピソードは不要だと思った。

  • NHKスペシャルの文庫化なので、ヘンにルポルタージュっぽいのが読みにくい。

    日本陸軍は前近代的な軍隊で、連合軍に全ての面で劣っていたのだが、
    その分かり易い例がガダルカナル島とインパール作戦だろう。
    中国戦線での大規模な作戦に対抗する、牟田口中将の功名心から立案された無意味な作戦。
    標高2000メートルの高地を60キロの軍装で越える無謀さ。
    補給がほとんど考慮されてないのは日本陸軍の全作戦に共通することだけれど、牟田口が自画自賛した、牛に物資を運ばせ、目的地に着いたら食料に!一石二鳥の『ジンギスカン作戦』に至ってはふざけてるとしか思えない。
    決して前線に立つことのない無能な司令部のもとに3個師団約10万が投入され、約7万の死傷者を出したと言われる。そのほとんどが餓死・病死だった。
    しかも、牟田口と上官の河辺中将は失敗の責任を取らされることもなかった。

    戦略的に無意味な作戦。
    機械化されてない軍隊。
    補給軽視。
    反省のない組織。
    日本が何故負けたのか?が分かる一冊。

  • 4041954150 236p 2000・4・10 7版

  • (2007.09.06読了)(2007.07.09購入)
    シリーズ「太平洋戦争 日本の敗因〈4〉」
    大東亜戦争の作戦の中でも、無茶な作戦の代表にあげられるのがインパール作戦なのではないでしょうか?
    多くの人たちが反対したにもかかわらず、実行されてしまい、多くの兵士が死んでしまった。死んだ兵士の多くは、戦死ではなく、食料がないための餓死や病死ということです。
    大東亜戦争の多くの作戦と同様、誰も責任は取らない。天皇の軍隊は、責任を取らないのが特徴なのかもしれません。武家社会の延長なのでしょうか?
    武士の場合の責任の取り方は、切腹するということのようですが、軍隊の場合は、自決ということなのでしょうか?

    ●ビルマ占領(28頁)
    日本軍がビルマに侵攻したのは、1942年1月のことである。前年の12月8日にマレー半島に上陸した日本軍は、南下してシンガポールを攻略するとともに、西進してタイを制圧。そのままの勢いで、イギリス領ビルマへ侵入したのである。3月に、首都ラングーンを占領し、5月にはビルマ全土を掌握した。
    ビルマのイギリス軍守備隊は、インド東部の連合軍の拠点インパールへ逃げ込んだ。
    ●21号作戦(インパール作戦)(56頁)
    牟田口廉也第18師団長が、第15軍の飯田祥二郎司令官から第21号作戦の実行可否を打診されたとき、「兵站道路の構築、補修のための時日の余裕のない現況においては、実施困難」と回答した。飯田司令官の私案だと思って反対したのだという。ところが大本営からの作戦指示であることが分かると、「出来ない」ということは許されないと思い準備を始めた。
    作戦の中身そのものの是非論で言えば反対だが、組織の論理では「出来ない」ということは許されない、この考え方は、現代の日本でも、政党や官僚、企業といった組織の中に蔓延している普遍の価値観である。
    (インパール作戦が実施されたことについての実にわかりやすい説明である。やれというからやったまでのこと、であれば責任を取る必要はないということになります。)
    ●イギリス軍(113頁)
    イギリス軍を中心とする連合軍は、日本軍のインパール作戦を、ほぼ正確に察知していた。チンドウィン河を渡る日時まで、予想していた。そして、圧倒的な戦力を準備して日本軍を待ち受けていた。
    ●作戦の鍵は制空権(124頁)
    昭和18年(1943年)に入ってから、日本軍は急速にビルマでの制空権を失いつつあった。(71頁)太平洋方面では、1943年2月にガダルカナル島を攻略したアメリカ軍が攻勢に転じていた。5月にアッツ島、8月にキスカ島を奪回。以後11月には、中部太平洋のマキン、タラワを占領した。悪化する一方の戦局を打開するため、東条首相は、太平洋とは反対のビルマに目を向けていた。(89頁)
    昭和19年(1944年)1月7日、インパール作戦は認可された。インパール作戦では、食料や弾薬の補給という兵站の問題を切り捨てる形で、現実離れした計画が決定された。(101頁)
    3月8日、日本軍はチンドウィン河を渡って、インパール作戦を開始した。(113頁)
    イギリス軍は、制空権を握り、空からの補給で、対抗しました。
    ●牟田口司令官の訓示(209頁)
    「日本軍というのは神兵だ。神平というのは、食わず、飲まず、弾がなくても戦うもんだ。それが皇軍だ。」
    ●作戦の結果(217頁)
    日本軍は、壊滅状態だった。インパール作戦に参加した日本軍は10万以上、そのうち戦死者は3万人、傷病兵は4万人といわれている。これに比べ、イギリス側の戦死・戦病者は1万7千余名であった。
    (2007年9月29日・記)

    ☆関連図書(既読)
    「失敗の本質」戸部良一・寺本義也・他著、中公文庫、1991.08.10
    「太平洋戦争の失敗10のポイント」保阪正康著、PHP文庫、1999.12.15
    「日米開戦 勝算なし」NHK取材班著、角川文庫、1995.05.25
    「ガダルカナル 学ばざる軍隊」NHK取材班著、角川文庫、1995.05.25
    「電子兵器「カミガゼ」を制す」NHK取材班著、角川文庫、1995.07.10

    (「BOOK」データベースより)amazon
    タムからカレミョウへの山間の道、それを「白骨街道」と呼ぶ。何故こんな所で、兵士たちは死なねばならなかったのか。インパール惨敗の原因は、ひとえに一司令官の補給を無視した無謀な計画と作戦強行にあると言い切れるだろうか。個人的な野心、異常な執着、牢固とした精神主義。しかし、本当の意味で自らの組織の責任を問うことのなかった軍部は…今もなお日本的組織と日本人の在り方が問われている。

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