太平洋戦争 日本の敗因〈5〉レイテに沈んだ大東亜共栄圏 (角川文庫)

制作 : NHK取材班 
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041954164

感想・レビュー・書評

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  • 今回は、日本の敗因として占領地における人心掌握の失敗を挙げ、それがもっとも如実に表れた事例として、日本によるフィリピン占領から米軍による再進出までを紹介する。
    日本に進出された数ある東南アジア地域の中でも、アメリカナイズされ都市部の生活水準も高かったフィリピンでは、大東亜共栄圏の理想への同調者は少なく、もっとも抗日運動が盛んであった。
    大東亜共栄圏とはいいつつも、実態はあくまで東南アジア地域からの搾取によって成り立つ虚像であり、現地の実情にそぐわない机上の空論の集大成であるというのが実情であった。
    現地部隊による、植民地支配されていたフィリピン人を見下す高圧的で父権主義的な態度と現地人の言語や習俗文化に対する無理解が、日本に対する不信感の増大を加速させ、双方の関係悪化に拍車をかけた結果、負のスパイラルへと突入していった。

    軍政・民事の失敗の行きつくところを克明に描いた良作。

  • 1995年刊行。NHK傑作TVドキュメントシリーズの文庫版。
     本書は、フィリピンで布いた日本軍の軍政について、現地の目線から検証する。
     軍政の失敗をこれほど雄弁に語る書は少ない。軍政の過程の中で、住民がこぞってスパイやゲリラと化して、日本軍に反旗を振りかざすとは…、
     敵に回らないなら中の策、反抗するなら下の策、相手方と密通するのは下の下の策なはずなのに…。

     しかし、本シリーズ発刊から20年。今の時代の空気感は、本書の問題意識からすら程遠い…。

  • 新書文庫

  • 太平洋戦争時にフィリピンでは50万人もの日本人が戦死したが、フィリピン人はそれを上回る100万人もの人々が亡くなっている。日米の狭間で踏みつぶされた国土。。

    本書では、日本が大東亜共栄圏の名のもとに、フィリピン統治を進めたものの、地元民の理解、協力が全く得られず、逆に最終的には人々が半日ゲリラとなってアメリカ軍に協力するようになり、それが日本軍がフィリピンで壊滅する大きな原因になっていく。本書ではこの経緯を現地での取材を通して描き出していく。

    現在、親日といわれるフィリピン人だが、これだけの悲惨な過去があるだけに、その実はどうなのかな、とずっと思っている。生来の陽気な性質に隠れた本音の部分では、日本に対する感情は微妙なものをどうしても持っているのではないかと感じることも時々ある。

    本書が出版されたのは平成7年。ちょうど日本政府がアジアの国々に謝罪を重ねた時期だったはず。本書では少し一方的ではないかと感じるほど、日本軍の地元民に対する横暴さ、残虐さが繰り返し描かれているが、多少はその時代背景も影響しているのではないかと思う。

    その上に立ってもやはり、解釈には幅があるだろうけれど、悲惨な歴史の事実は事実として認識する必要があるだろう。やはり300万人近くの日本人が亡くなったあの戦争って何だったのかと、現代の日本人も向き合うしか仕方がない。そこからしか国際社会の中での日本を考えることは始まらないのだと思う。

  • 4041954169 229p 1995・8・10 初版

  • 感想は最終巻に記載。

  • 「民生への重圧は忍ばしめよ」
    すべては占領地政策にこめられた、この一言にすべてが現れている。

    経済を破壊し、日本に都合のよい産業を強制し、富を収奪し、皇民化教育で文化を破壊した。
    フィリピン人の犠牲者百万人以上。
    太平洋戦争が、アジア解放の戦いなんかであるはずがない。

  • (2007.09.12読了)(2006.10.12購入)
    シリーズ「太平洋戦争 日本の敗因〈5〉」
    レイテ島での戦いは、大岡昇平の「レイテ戦記」が有名ですが、分厚い3巻本なので、ちょっと手を出せずにいます。
    フィリピンは、地図で見るとたくさんの島で成り立っています。ルソン島、ミンドロ島、パナイ島、ネグロス島、セブ島、ボホール島、サマール島、レイテ島、ミンダナオ島、パラワン島、大きめの島の名前を拾うと以上のようです。割と耳にする名前もあるし、あまり聞いたことのない名前もあります。レイテ島はこれらの中でも大きいほうではありません。どうしてこの島で日本軍は戦ったのでしょう。

    ●フィリピン概観(4頁)
    フィリピンは、首都マニラのあるルソン島をはじめ南北1600キロメートルに渡って、7000余の島々からなっている。その東南アジアにおける重要な戦略上の位置から、古くはスペインが400年間も植民地支配し、その後アメリカが40年、さらに太平洋戦争中日本が3年にわたって統治した。いわば帝国主義列強の支配に翻弄されてきた歴史を持つ国である。
    ●開戦(29頁)
    1941年12月8日、日本は太平洋戦争開戦と同時に、アメリカの植民地フィリピンへの攻撃を開始した。台湾を飛び立った日本軍機は、ルソン島中部のクラークフィールドを空襲。一瞬のうちに、アメリカ軍の虎の子のB17爆撃機の大半を破壊した。
    12月10日、日本軍先遣隊はルソン島北部アパリから上陸。22日には、第14軍主力がルソン島西岸リンガエン湾に上陸した。
    1942年3月11日、マッカーサーは魚雷艇でコレヒドールを脱出。ミンダナオ島に向かい、そこから飛行機でオーストラリアへと飛んだ。コレヒドールを脱出する際に残した言葉が「アイ・シャル・リターン」(私は必ず帰る)である。
    ●バターン死の行進(45頁)
    ルソン島のバターン半島で降伏したフィリピン人兵士やアメリカ人兵士が、徒歩による移動の際、飢えや病で死亡した事件である。
    (「南京事件」と同様、犠牲者の数やその他、真相が分からないようです。)
    ●フィリピンの重要性(54頁)
    フィリピンの重要性は、シーレーンの要としてであった。敵国アメリカの極東における重要拠点フィリピンを押さえることは、同時にその西方を通る南方資源ルートを確保することであった。
    ●日本軍による支配(87頁)
    フィリピンは、スペインやアメリカの植民地支配の影響で、キリスト教文化と西洋文明が浸透していた。日本軍はそうした社会に、旧満州や朝鮮半島でやったのと同じように天皇崇拝を押し付け、教育や生活習慣まで変えるように無理強いした。
    ●日本軍政の三大原則(99頁)
    「資源の獲得」、戦争遂行に必要な資源を占領地から獲得すること。「軍の自活」、占領地の軍隊は内地からの補給に頼らず、食料などはなるべく現地で調達すること。「治安の回復」、日本軍への抵抗運動は押さえ込むこと。
    (現地の人が喜んで協力してくれるようなものではない。)
    ●レイテ決戦(175頁)
    1944年10月20日、日米の一大決戦が始まった。激しい艦砲射撃を受け、早くも第16師団5000人が死傷した。(レイテの第16師団は2万人弱)
    4日後、太平洋戦争最大の海戦、レイテ沖海戦が繰り広げられた。日本艦隊は、アメリカの輸送船団のいるレイテ湾にはなぜか突入しなかった。日本の海軍は、敵の軍艦しか相手にしなかったらしい。
    1944年12月下旬、大本営はレイテの放棄を決定。レイテ戦で死亡した日本兵は8万人。
    小磯首相が太平洋戦争の「天王山」と位置づけたレイテ決戦は失敗に終わった。
    (2007年9月30日・記)
    ☆関連図書(既読)
    「失敗の本質」戸部良一・寺本義也・他著、中公文庫、1991.08.10
    「太平洋戦争の失敗10のポイント」保阪正康著、PHP文庫、1999.12.15
    「日米開戦 勝算なし」NHK取材班著、角川文庫、1995.05.25
    「ガダルカナル 学ばざる軍隊」NHK取材班著、角川文庫、1995.05.25
    「電子兵器「カミガゼ」を制す」NHK取材班著、角川文庫、1995.07.10
    「責任なき戦場 インパール」NHK取材班、角川文庫、1995.07.10

    (「BOOK」データベースより)amazon
    レイテ決戦は、日米の雌雄を決した戦い、マッカーサーの執念の戦いと言われる。しかし、実は50万人の日本兵戦死者をうわまわる、100万人のフィリピン人の犠牲者があった。敗戦後、引き揚げる日本兵は、フィリピン人に「ハポン、パタイ」(日本人、死ねー)と石もて追われたという。大東亜共栄園、八紘一宇のスローガンのもとで、日本人は何をしたのか。わたしたちはその事をいま学び始める。

  • 「大東亜共栄圏」については、「アジアの人たちが夢見る夢の国のようなものだ」と認識していたが、この本を読む限りでは、決してそうでもなかったようだ。戦ったのは、私利私欲にまみれていない、理想の国を夢見る者たち、あるいは国や愛する人を必死で守ろうとした者たちだったと思うと哀しい。

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