ブルーもしくはブルー (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 2982
レビュー : 383
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970027

作品紹介・あらすじ

広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ替わることを決意した。誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。

感想・レビュー・書評

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  • なかなかの衝撃作でした。

    高給とりの夫と結婚して6年の蒼子。
    夫とはさめきった夫婦関係で、年下の恋人もいたが、恋人にはすでに別れを告げていた。
    満たされない思いを抱え、旅行の帰途、台風で福岡に途中着陸することになった蒼子は、博多の街をぶらぶらしていて、自分そっくりの女性と出会う。
    彼女は蒼子と名乗り、自分と同じ記憶を有し、昔別れた恋人と結婚して別の人生を歩んでいた。
    二人の蒼子は、1か月だけ、生活を交換することを決め、実行に移す。
    それぞれの交換生活は順調に動き出したが・・・。

    一度きりの人生。後戻りのできない人生。

    「もしあのとき、ああしていれば」「もしあのときあの道を選んでいれば」…
    一度は考えちゃったことありますよね。
    私もときどき考えます。いやなことや、うまくいかなくて悩んでるときなんてなおさら。
    この話では、プロポーズをされて振ってしまった元恋人と結婚していたもうひとりの自分と出会う。
    でも、単純に「隣の芝は青いよネ」と元さやに戻るわけでも、交換生活楽しいネ、と交換したまま終わるわけでもなく、山本文緒なスパイスがいっぱいかかった一品。
    過去にしがみついたり、今の自分を否定するだけじゃ、結局何も手に入らないし、何も変わらない。
    「もしかしたら自分が手に入れていたかもしれない幸福」なんていうのは幻想で、自分が自分である限り、行き着くところは似たような場所なのだろう。そう、自分がまず変わるしかないんだろうな。
    鏡の法則みたいな、ちょっと違うけど、この本読んで思ったのはそんな感じ。

    ホラーという怖さではないが、蒼子が本体を乗っ取られ、もう一人の蒼子を殺そうと狂気に走り出す場面はぞくっとする。
    ただ、欲深くて愛されたがりで、自分の居場所探しに必死な、誰もがなりうるそんな姿。

    最後のもうひとりの蒼子の問いかけが深いなと思った。
    「どうすれば、満たされるんだと思う?」
    なんだか身につまされる。

  • 広告代理店勤務のスマートな男性と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の不倫相手と旅行中…そんな蒼子が自分そっくりの〈蒼子B〉と出くわした。
    〈蒼子B〉は蒼子と過去の記憶をすっかり共有し、蒼子の昔の恋人である河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。
    〈蒼子B〉は別人なのかドッペルゲンガーなのかそれとも別の何かなのか。
    そんな中ある日2人は、1ヶ月だけ入れ替わって生活してみることを決意した。

    10年くらい前にこれのドラマ化したのがちょっと流行ってたなぁ、と思い出しつつ読んでみた。
    ある意味ホラー、ある意味ミステリ、そしてある意味教訓のあるラブストーリー。色んな要素があって、そして何より先が気になって一気に読んだ。

    人間誰しも、あの時の選択が違っていたらどんな人生になっていたのだろう?と考えることがあるはずで、この物語の蒼子は、結婚するときに相手に迷い、そして結婚後、選ばなかった方の相手を選べば良かったと後悔していて、そんな時目の前に現れた自分そっくりな〈蒼子B〉が、自分が選ばなかった方の相手と結婚して生活していることを知る。
    そして蒼子は〈蒼子B〉に生活を交換してみることを提案するのだけど、その生活が2人の立場をだんだんと変えていく。
    選ばなかった人生に対する憧憬を抱える人も多いだろうけれど、それは選ばなかったから輝いて見えるのかもしれない。結果を知り得ないからこそ。
    隣の芝生は青い、ってよく言うけれど、その芝生を自分のものにしてみたら、そんなに青くもないことに気づくのかもしれない。

    読み方や感性によって感じることも変わりそうな気がするけど、私は怖かった。欲望というのは際限がなく、自分の望みを叶えるためなら誰かが犠牲になっても構わないと思ってしまうこともあるということが。そういう恐ろしさが、自分の中にも眠っていることを否定出来ない。

    万事うまく進んで、何もかもが自分の思う通りになる人生なんて存在しない、ということかな。どんな道を選択したとしても。

  • 広告代理店勤務のスマートな男と結婚した佐々木蒼子。
    けれど夫婦仲はあっという間に冷え切り、互いによそで恋人をつくるようになってしまった。
    そんな折に蒼子は自分とそっくりの女〈蒼子B〉と遭遇する。
    ドッペルゲンガーそのものの彼女は、かつて自分が佐々木と迷った末に捨てた男と結婚し、真面目で幸福な主婦生活を送っていた。
    まったくちがう性格ながらも、過去の記憶をも共有する二人はすっかり意気投合する。
    慎ましいながら夫に求められ愛されている蒼子B。
    しがらみもなく悠々自適に都会で暮らす蒼子A。
    互いの真逆の生活にあこがれた二人は、一ヶ月間の入れ替わりを決意する。

    というストーリー。
    どたばたラブコメみたいな印象で読みましたが見事に裏切られました。
    スリリングなサスペンス展開で、寝るのも忘れ一気読み。
    「もしあのとき別の道を選んでいたら」という、誰もが思い描いてしまうだらしなく甘やかな妄想に真正面から挑んだ小説でした。
    結局、どちらを選んでも自分は自分なんだ。
    何を持っていても何を失ったとしても、行き着くところは変わらない。
    現実をつきつけられました。あぁ怖かった…。

  • もうひとりの自分がいたら。
    むむ、あたしは会いたくないな。すべてを見透かされているようで居心地悪そうやもん。
    あの時、別の選択をしていたら別の人生があったのかもと思う気持ちはわからなくもないが、たいして変わらないもんじゃないかな。
    いつも自分は正しい選択をしているのだから。

  • 山本文緒さん好きだなあと再確認。現状に不満を抱いてばかりのちょっと性格の悪い女性の描き方が今作でも秀逸。自分の分身に出会い、理想の結婚生活を夢見て入れ替わるという筋書き自体面白いが、それで互いの苦労に気づいておしまい、という単純な話ではなく、自分の分身にしてやられたり、殺意が芽生えたり、影と本体が入れ替わったり、「愛されたい」という心の奥の欲望に気づいたり……と決して長くない作品なのにドラマがたくさん詰まっている。素晴らしい。どちらかが消えるのかと思えば、そんなことはなく、両方の主人公が存在し続けるラストもなんだか不気味で良い。自分の人生を愛せないすべての人に読んで欲しいと思います。
    ちなみに、他の山本文緒作品と比べたらちょっと衝撃が薄かったので星をひとつ減らしましたが気持ちは星4.5。

  • 山本文緒初読み。その昔NHKでドラマがやっていたような。あの時違う未来を選んでいればと思う時が誰にでもあると思う。自分の選ばなかった未来を生きている自分のドッペルゲンガーと出会い、お互いの生活を入れ替え、その内それまでわからなかった相手の本性に気付いていく。最後が怖かった!自分の人生を誰かに乗っ取られるかもしれないと思うのって本当に怖い。わりあい読みやすかったので他の作品も読んでみようかなと思う。2012/420

  • 面白かった。山本文緒さんの作品は、女の狡さや醜さをさらけ出しているのがいい。
    もしもあの時ああしていたら、こうしていたら。今の自分や環境に不満があれば、過去に違う選択をしていれば、幸せな生活をしていたに違いないと思ってしまう。でもそれは間違いだ。たとえ違う道を選んだとしても幸せになれる保障なんてものはなく、同様に、この先もずっと不幸であるとは限らない。過去に捕らわれず、自分の力で幸せを掴みたいと思った。
    それにしても、自分そっくりのドッペルゲンガーに出会うことを考えるとぞっとする。もし本当にいるとしても、これからも会うことなく、地球のどこかで幸せに暮らしてくれることを願います。

  • 久しぶりに読んだけど、自分の今生きてる環境とかもろもろ別の人生選んでたらって妄想しちゃう。

    また何年後かに読みたくなる本。

  • 何が本当の幸せなんだろう。

    心が重い。
    幸せな生き方とは、なんなんだろう。

    疲れた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「マイナスなところがたくさん見えて」
      選んだ生き方でベストを尽くせってコトなのかな?
      「マイナスなところがたくさん見えて」
      選んだ生き方でベストを尽くせってコトなのかな?
      2012/05/17
    • imamooさん
      たぶん「慣れる」と大切なことや小さな幸せに気付けずに不満がたくさん出てきてしまうけれど、よく考えればそこらじゅうに小さな幸せ・喜びがみつかる...
      たぶん「慣れる」と大切なことや小さな幸せに気付けずに不満がたくさん出てきてしまうけれど、よく考えればそこらじゅうに小さな幸せ・喜びがみつかるよ!という事なのでしょうが、それを「まぁ、他を羨んで実際体験しても自分よりいいわけじゃないでしょ、諦めなさいよ」っていうふうに表現しているように取れました。私は!私は!ですよ!nyankomaruさんが読むとまた他の捉え方をするかもしれない。聞きたいです。
      2012/05/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「私は!私は!ですよ!」
      積読だらけなのに購入しちゃいました。。。
      「私は!私は!ですよ!」
      積読だらけなのに購入しちゃいました。。。
      2012/06/04
  • 人生の岐路でもしも違う方を選んでいたら‥。
    そんな後悔の中、その「違う方」を生きるもう一人の自分に出会い入れ替わっての生活を提案する蒼子。
    思いやりの欠片もなく自己中、冷酷な蒼子A。
    自分は努力せず、不幸せはすべて人のせい。
    ファンタジーと思って読んだら、サスペンスホラーのようで読んでいて鬱々した気分になりました。

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著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2016年 『カウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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