ブラック・ティー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2587
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970041

作品紹介・あらすじ

結婚して子どももいるはずだった。皆と同じように生きてきたつもりだった、なのにどこで歯車が狂ったのか。賢くもなく善良でもない、心に問題を抱えた寂しがりたちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • ふと出来心でしてしまった、人には言えない自分の小さな罪(大罪ではない)。正直読むのが恐かったです。
    過去にした些細なそれら、年月が経っても、その時の心情は甦り、胸が痛むと思ったから。
    地道な日常に潜むささやかな罪を引っ張り出し、心の闇に入り込む10話の短編。頭ではやってはいけないと認識していても、少しくらいならとか、誰も見ていないからとか。歯車が狂って意図的にしてしまうものまで。きっかけがあり、一歩間違えば、大罪になりかねない危うさを含んでいる。「はずみ」ってのは恐い。
    例えば自分が理不尽な(辛いことが)目にあったりすると、あの時のあれが返ってきたのか…なんて後悔に苛まれることがあるから、やはり真面目に、できることは精一杯するのがいちばんだと思いました。
    あとがきを読みどれだけ救われたかわからない。
    おそらく(大抵の人は)そういう思いを抱えてますよね。と、一安心…。
    「百年の恋」この男女は全てをさらけ出し、結果とても幸せそうで、素敵。
    「誘拐犯」と「夏風邪」は何とも後味が良くはないが、少しぞくっとする感じが結構すき。

  • 上手いな〜どうして人の心の底にこんなに上手く入っていけるのだろう。
    短編集でどの話も身近にある事だったり似たような気持になった事あるよな〜と。
    でもそこはあまり触れられてほしくないとこなんだけどと思う場所。
    人が今まで犯した事のある軽犯罪にまつわるお話です。
    現実離れしていない誰にでも1つはありそうな軽犯罪の話にドキリとしてしまうかも。
    山本文緒さんらしいちょっとチクリと刺してみたり、暖かかったり、人ってそうだよねって思える小説でした。

  • 読みやすい短編集で良かった。
    内容は期待しすぎちゃったけど、身近にある小さい【罪】わかるわーと思いながら読んだ
    "ブラック·ティー"が1番好きかな

  • あなたは、自分が罪を犯さず真っ当に生きていると100%言えますか?

    本作は10人の10種類の小さな罪がテーマ。
    置引き、立ち小便、借りパク、盗聴。ちょっとした寂しさから、弱さから、気付かぬうちに、やってしまった罪。読んでるうちは常識とかけ離れた人たちの話と思ってたけれど、思えば殆どの人間が法の世界の全てを知らないし、私自身も軽犯罪法に違反してしまったことあるのかも...と怖くなった。
    明日は我が身。まずは借りたままになってるものがないか確認しようと思う。

  • 人間の重ねる「罪」の短編集…というと暗く聞こえるけれど、実際はなんだか読んでいて自分にも似たような経験があるなと思い出す身近なお話が多かったです。

    罪悪感や恥ずかしさ、後悔などもありありと蘇ってくるように感じましたが、それと同時にその時は特に悪いと思ってやってなかったんだなぁ…と思い出しました。誰にも言えないというか、言うほどでもない秘密がどこの誰にでも潜んでいると思うと少し気が楽になります。

  • いくつかの話で共通して感じた「明らかに汚い方が比較的汚くない(でも汚いところも確実にある)方の汚さを責める」感じが、やけにリアルで納得した。

  • 山本文緒さんの短編集
    この方の文章は読みやすいから、短編なら尚更あっという間に読み終わった軽犯罪だからこそ、余計に人間の悪意は怖いと思った。ちょっとした見栄や人間関係のトラブルで法を犯す可能生があると思うと怖い

  • そんなに面白くはなかったです。
    小さなしてはいけなかった事を、少しだけ忘れない。そんなお話の集まり。
    誰かを陥れたり、仕返しだったり復讐だったり、気持ちがわかるけれど、気持ちの沈む感想でした。

  • 初めての山本文緒さん。
    ポケベルが出てきて、そんなに古いお話なのかとびっくりしました笑
    表題のブラックティーのラストは希望がなさすぎて吐き気がしました。短編でよかった。
    吐き気がしそうになったり、これ自分もやっちゃってるかも…と少しドキドキしたり、ドン引きしたり、おもしろかったです。

  •  山本文緒「ブラック・ティー」、1997.12発行。テーマと展開が新鮮で味わい深い10話。ベスト3は「ブラック・ティー」「百年の恋」「ニワトリ」。面白いのは「寿」「ママ・ドント・クライ」「夏風邪」。いただけないのは「少女趣味」「誘拐犯」「留守番電話」。「水商売」は面白くなかったです。

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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