紙婚式 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.31
  • (52)
  • (165)
  • (452)
  • (43)
  • (2)
本棚登録 : 1764
感想 : 164
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970096

作品紹介・あらすじ

一緒に暮らして十年、こぎれいなマンションに住み、互いの生活に干渉せず、家計も別々。傍目には羨ましがられる夫婦関係は、夫の何気ない一言で砕けた。結婚のなかで手探りしあう男女の機微を描いた短篇集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 紙婚式 山本文緒 著

    山本さんの購読は初めまして。
    寄贈してくださった方の本の一冊です。

    描かれているのは、複数組の夫婦の姿です。
    いずれも、決して良好な関係ではなく、すれ違いの姿です。

    初版は1989年。
    そう、バブルが終わる時期です。

    ------------
    さて、厚生労働者の人口動態統計/平成27年の離婚率は、

    1975年 12.7%
    1990年 21.8%
    2015年 35.6%

    です。

    ------------
    2015年の方が、小説執筆時期よりも、遙かに高い割合です。

    紙婚式の小説で描かれている夫婦像は、現代の令和の時代にこそ共通事項が多いのかも、、、と考える機会となりました。


  • 色んな道筋で深まる夫婦の溝の、その複雑で不可逆なもつれと、その発端の幼稚さが描かれている。


  • 一見うまくいっているように見える夫婦たちの問題点。
    どの夫婦も共通して、関係や生活に違和感を持ち始めても、正面からぶつかろうとしない。
    そして後戻りできないところまできてやっと気付く。それが日本の夫婦の形なのか?と思ってしまうくらい。
    その点、唯一正面からぶつかった「秋茄子」の話が一番好きだった。

    これから一生一緒に過ごしていくと決めた結婚だから、何でも思ったことをお互い口にできる仲でいたい。

  • ハマっている山本文緒繋がりで読みました。
    相変わらずちょっと暗い、閉塞感を感じる作品の数々。今回は結婚後の夫婦について

    自分が上手くやれてる方なのかなと思うくらい上手くやれてない人達が多数出てきます。これはそういう作品なので仕方ないですが、誰かと一緒に暮らすというのはどこか我慢したり諦めたり、そして何よりそれがずっと続くという閉塞感。変化がないことに対する退屈。手放すのは簡単だが繋ぎ続けることは難しい。このような言葉が沁みました。

    最初は終わりに向かっていく作品がおおいですが、最後の方は希望もあったり
    おすすめは秋茄子 なんとか家族になっていきたいという気持ちが見えて安心 表題作の紙婚式もそもそもが破綻している夫婦関係から修復?とも見えるラスト。夫婦の在り方も自由になった今だからこそ、皆悩み、どうにかして生き続けるしかないのですね。

  • 前に読んだのは20代の前半。
    この本に出てくる男女はめちゃくちゃ格好良いと思っていた。今読むと「考え方甘いなぁ」という印象のお話しばかり。
    今の生活が現実的すぎてこの90年ころの本を読み進めのは難しかった。
    でも「自転しながら公転する」を読むのが楽しみである。残念ながら山本さんは亡くなってしまったが、この本は今がやはり旬なのかなと思う。

  • 大恋愛の末結婚したわけでもなく、激しく憎しみあって別れたわけでもない。そんな夫婦像がリアルに感じる。
    ただ結婚したら専業主婦になって家を守るという概念が今や古く感じる。

  • 答えの出ない人生の色々
    作者から投げかけられ
    考える自分がいること
    それが心地よく読み進めることが出来る

  • まず、この本が1998年、今から20年以上前に出ていたことに驚いた。確かに、それぞれの物語に出てくる生活用品(固定電話とかFAXとか)に時代を感じ、「いつの本だ?最近のものではなかったっけ?」と思って奥付を見たからこそ刊行年が分かったのだが、いつまでも、男女間、あるいは夫婦間のすれ違いや虚しさや思い違いは似たようなものだと思った。

    「ますお」に特に心を抉られた。まるで今の自分のことのようだった。主人に対する不満を抱き、それを口にするかどうか悩んでいる。私が黙って耐えていればいいのかもしれない。でも、浮気されていることに気が付いてる時点で私の心はどんどん削られていく。そんなの耐えられない。
    しかし、私は主人も我慢をしているかもしれない、とは考えられていなかった。穏やかで家事も進んでしてくれる主人が何を思っているかを考えていなかった。自分の居心地の良さや自分の思い通りに進まないことだけに目を向けるのではなく、取り返しのつかなくなる前に主人の不満や不安にも思いを巡らせようと考え直した。


  •  屈折した夫婦だらけ。なんだかなあと思うけど、よくあることことかも、自分にも似たようなことがあるようなと思うと引きずられるように読んでしまう。
     もっと、カラッと明るくいきたいもんだけどなあ。

  • どこにでもありそうな、
    でもコワい夫婦模様であったり

    どこにでもありそうな、
    今度はちょっぴりほっこりする話であったり

    山本文緒さんの巧さに舌を巻く傑作短編集。

全164件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本文緒の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
宮部 みゆき
江國 香織
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×