恋愛中毒 (角川文庫)

著者 : 山本文緒
  • 角川書店 (2002年6月1日発売)
3.49
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970102

作品紹介

もう神様にお願いするのはやめよう。-どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

恋愛中毒 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2度目読了
    痛いくらい分かる。
    もちろん、こんな事にはならない人がほとんどなんだけど…
    山本文緒さんの本はこれをきっかけに全て読んだけど、これが一番

  • ほぼホラー

  • 初、山本文緒作品。本作は吉川英治文学新人賞を受賞したこともあり、存在は前々から知っていて、やっと読めた。タイトルからして、若い男女の甘すぎる恋愛話だと半ば鷹をくくって読み始めたら、見事にいい意味で期待を裏切られた。「他人を愛しすぎないように」なんてバカバカしい文句だと思っていたけど、読んでいくうちにどこか水無月にのめり込んでしまう自分がいた。この世の女性はすべて、自分のなかのどこかに水無月の部分をもって生きているのだと思う。それをうまく昇華させたら幸せな結婚に結びつくだろうし、消化できずにいたら愛ゆえに相手を傷つけストーカーに至ることもあるのだろう。人を好きになる感情は、言葉とすごく似ていて、使い方や出し方次第で救うこともできるし傷つけることもできるのだと、実感させられた。井口視点の三人称から入って、最後は水無月の一人称で終わるという形式も見事だ。

  • 先が気になってあっという間に読みきったけど
    とりあえず自分的にはノルウェイの森以来の重さです
    たぶんもう二度と読めません

    内容を一言で表しとタイトル通り「恋愛中毒」

    恐ろしいけど、まったく遠い世界の話じゃない
    むしろ日常のどこかで、まるで氷河の裂け目のように
    存在しているのだろう

    この本はすごく理解できる部分があって怖くなる人と
    まったく理解できない人に二分されそうな気がします

    下は一番有名なフレーズ
    この言葉の真意とは一体

    「どうか、どうか、私。
    これからの人生、他人を愛しすぎないように。
    愛しすぎて、相手も自分もがんじがらめにしないように。
    私は好きな人の手を強く握りすぎる。
    相手が痛がっていることにすら気がつかない。
    だからもう二度と誰の手も握らないように。」

  • 共感しすぎて死にたくなった。
    人が人を求める姿は滑稽で哀しくて純粋だ。
    ホラー染みているということさえ
    恋愛中に吹き出す自己嫌悪をよく描いてる。

    恋をすると自分を抑えてしまう。

    だけど、自分を発揮しないとどんどんおかしくなる。

    醜くても汚くても
    良い恋がしたい。
    そう思わせるリアリティを追及した尖った作品。
    人間だ。

  • 読み始めは様々な人のオムニバス作品かと思いましたが、そのような安直な物では無かった。
    あちこちに"???"な部分があり、少しずつそれらが明らかになる。
    最後の最後まで飽きさせない。
    程度の違いこそあれ、誰にでも恋愛中毒になる可能性があるのだろう。
    ストーカー被害が社会問題になっている今にあって、ますます現実的にあり得る事だと言える。
    心情描写、物語の発展性、どれをとっても文句のつけようがない。
    まったく非の打ち所がない、完全無欠な作品だと思いました。

  • おそらく男性には共感されないであろう、女性の怖い一面が描かれている。重いんだよな~。これでは嫌われても仕方ない。
    山本文緒氏の文章は時々どきっとする表現が出てくる。「とっくに女を捨ててしまったように見える中年女性の、女だった頃の話なんか聞きたくなかった」「とりあえず世間の常識通り一度結婚してみたものの、その馬鹿馬鹿しさに呆れ、男という生き物に自分の人生を搾取されるぐらいなら一人で生きていくほうがよっぽどマシだと感じているように見えるのだろうか」「捨てたものをごみ箱をあさって探している」「なのに、つらいこともあったけど、今は幸せだったことばっかり思い出すなんて言うんだぞ」「掻かない方がいいことは分かっているのに、私は絶対それを我慢できないことを知っている」
    冴えなくて生真面目な女性が、少々強引な男に、警戒しつつも気づけばのめり込み、見失って狂気の状態に陥るというのも、分からなくはない。でも自分の経験上、しつこくしてうまくいったことなんかない。
    終盤、予期せずミステリータッチに。
    作者は骨の髄まで女性だな・・・と思いました。

  • 『どうか、どうか、私。
     これから先の人生、他人を愛しすぎないように。』

    この主人公の独白のみで、
    心を激しく揺さぶられた人は多いのではないでしょうか。

    恋愛には不安が付きまとう。
    だから私たちは、自分そのものを彼に捧げたりはしないのだろう。
    心にたくさんの隙間を作っておき、
    彼を失っても人生まで失わずに済むように。
    世界の中心に、彼をおいてはいけないのだ。

    それができなかった主人公。
    他人を愛しすぎて、彼が自分の一部にまでなってしまっている。
    彼が離れていくということは、両足をもぎ取られるほどの痛手なのだろう、
    彼女は未来へ向かって歩いていけないのだ。

    だけどそれって、自分もじゃないのか。
    彼女の狂気を遠まわしに見ていることにふと気づき、
    寒気すら覚えてしまう。

    どうか私、他人を愛しすぎないように。
    読後、主人公と同じことを願ってしまっている。

    ちなみに、恋愛小説という名のミステリーです。

  • ビビらせる気満々の安っぽいホラーより、よっぽどリアルで怖い。

    解説にもあるように、構成が巧み。
    物語は新人社員の男からの視点で始まる。そこで彼はいかにも恋愛とか無縁っぽい、無愛想な事務員のおばさんと出会う。ひょんなことから彼はそのおばさんの“過去”を聞くことに。

    気付けば物語は彼女の過去へとのめりこむ。まるで冒頭から彼女が主観で彼女が主人公の物語だったと錯覚するほど。

    主人公の女性は、
    一見、図太くて賢くてひとりでも生きていけそうだが、一度恋愛にのめり込むともうその底なし沼から抜けられない
    という印象を受けた。その豹変っぷりがリアルで怖かった。

  • 「なぎさ」きっかけで山本文緒を読み直してみようシリーズ第二弾。ああ、なんだか最近自分の本棚がキラキラしてきた。笑

    誰が言ったのか忘れましたが、「本や映画を見るのは少しずつ人生の予行練習をするようなものだ」というようなことを言っていた人がいまして、この小説を読んでいて何故かその言葉を思い出しました。いや、別に自分が水無月みたいな恋愛体質なわけではないんですけどね。恋愛って大なり小なり狂気的な側面を孕んでいるんではないかと。

    水無月がなんで暴走してしまうかというと、本のタイトルになっている通り水無月は本当に「恋愛体質」な女性なのかなと思います。友人もいない、趣味もなく、仕事もパッとしない。だから、恋愛が人生の中心に座ってしまう。もちろん、それは育った環境や色々な人生経験にもよるんでしょうけど、こと水無月に関しては男性に愛され、それを捉えて逃さないことが人生の目的になってしまっている。

    かの上野千鶴子さんも言っていますし、これは実体験としてもそうなんですが、男女の関係ってそれだけで完結してはダメなんです。お互いに何か打ち込むものがあって、それを支え合って愛は育まれていく。だから、“子育て”という目標い、それ以外に社会資本を持たない夫婦は険悪になっていく…(これは千鶴子先生いわく)。

    とまぁ、そんなことはみんな分かってるんですけどね。最近読んだ町山智浩さんの「トラウマ恋愛映画入門」にも書かれていましたが、僕より何倍も経験を積んでいる世界の巨匠たちだって、恋愛に踊らされている。どんなに本や映画を見て、覚えたつもりでもコントロールができないからこそ恋愛は難しいし、また面白いのだと思います。

    あぁ、何かこの本とは関係ない感想になってしまいました(お恥ずかしい)。

    最後にこの本の内容に関して2点だけ苦言を。
    僕は水無月がなぜあんなにも卑屈な性格になってしまったのか、よく理解できませんでした。本人のモノローグだと、幼少時代に負った心の傷が原因のようですが、読んでる限りそんなかなぁ。むしろ両親に愛されて幸せだと思いましたが。
    あと、何と言っても“創路センセー”ですよね。どっからどう考えても悪人にしか思えないんですが、ああいう男性に惹かれる女性って何なんでしょうね…。自分の周囲にはいないタイプなので、ちょっとピンと来ませんでした。嫌なヤツー。

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