眠れるラプンツェル (角川文庫)

著者 :
制作 : 片岡 忠彦 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1729
レビュー : 235
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970133

作品紹介・あらすじ

昨日も暇だった。明日もたぶん暇だろう。結婚6年目、専業主婦。子どもはいない。退屈でない暮らしなど、考えただけでゾッとする。多忙な夫は今夜も家に帰らない。この緩やかな生活に、猫と隣家の息子が飛び込んできてから、何かが崩れ始めた。封印したはずの衝動。少年との、二人だけの秘密。嘘は次第に周囲を巻き込んで-。マンション住まいの主婦の平凡な生活が一変する様を、ドラマティックに描いた傑作恋愛長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • いろんなところで胸がしめつけられます。

    「はっ・・・私のことだ」

    と、胸が苦しくなります。

    「今日も暇ですなー」
    と言いながら、

    現実から目をそらして
    自分の世界に逃げ込む。

    困ったときに
    「難しくて、わからんねー」
    と逃げる自分のようです(笑)

    そんな彼女も
    現実から目をそらせなくなり
    歩き出さざるを得ない。

    最後、

    彼女が自分の気持ちを爆発させ、
    そこから一歩踏み出すまでの姿を読むたびに

    いつも

    「私も頑張ろう」

    と思うのです。

  •  毎日暇に浸りきっている汐美。仕事が好きで滅多に家に帰ってこない夫。娘を劇団に入れステージママとして走り回っている隣人、箕輪。愛らしい外見をしているがプライドが高くいけすかない箕輪の娘、樹里。よく学校や塾をさぼっている、エリート中学に通う箕輪の息子、蕗巳(ルフィオ)。小柄で太っていて髪が薄く、しかし常識のある箕輪の夫ダニー。
     暇であること、何もないことがこれ以上ない幸せで、そんな生活に波風は立てたくなかった。でも、彼女は外を眺めてしまった。



     なんと、女性の感性で描かれた小説だろう、という感じ。なんとなく分かるような、分からないような、それとも分かりたくないのか、ああはなりたくないけどなんとなく理解できる感じ。男性には書けないだろうな。
     人は、本能を捨てて生きることはできないのだろうか。人は、他の生物にはない知能を持っていることで生々しい本能を薄めることはできないのか。それは対極にあるものではなく、全く別の質なのかな。
     でも、やっぱり中学生を好きになる気持ちは分からない。いいなぁ、青々しくて、キラキラしてて、触れてみたい、と憧れる気持ちは分かるけれども、いざ触れてしまえばどうしたらいいか分からなくなるのが普通じゃないか? 触れたところで、自分はもうそこには戻ることはできないのだから。それは決して恋焦がれる気持ちではなく、羨ましさに他ならないのだから。
     彼女がこれからどのようにして生きるのか、全く想像できない。田舎でなら女を忘れることができる、はずもないし、本人同士が認識しているように、数年後もお互いが想い合っている確率など恐ろしく低いのだし。
     べたべたに救いのあるエンドも確かにリアリティに欠けるという点では難があるけれども、この本の終わりはその先が想像がつかなくて、確かにそういう意味では非常に現実的で、なんだか、音もなく息を吐き出してしまった。自分がそういう確かな“先”への検討がつけられない毎日を思う時のように。

  • なんだかタイトルも好き。
    本編とは関係ないあとがきの一言。
    「猫の恋、というのは春の季語だそうだが・・・」ってところがなんだかどきゅんときた。
    それはあたしが猫を飼っているからだろう。
    「慣れの恐ろしさ」についての例えが鉛筆の先の話で、分かり易い例えをする人だなと思った。
    あたしは好きな話。寂しくて愛おしいけど。
    6年過ぎて、2人が一緒に暮らせるといいなと心から願った。

  • 久しぶりに1日で一気に読んでしまった本。
    山本さんの書く女性はなんか生生しいく生きていると言う感じがする。
    人生何がきっかけで動き出すか分からない、それが悪い方へなのか良いほうへなのかはもっと分からない。
    でも、そのどちらでも人は歩き出せる、そんな風に感じた本でした。

  • 棟に幽閉され、長い髪を垂らして王子を待つラプンツェルの童話と専業主婦でマンションの一室で日々を過ごす女性を重ね合わせた作品。『あなたには帰る家がある』の作品ででた緑が丘グリーンヒルズが舞台。二作品を続けて読むとより一層おもしろい。
    CMディレクターを夫に持つ主人公はほとんど家に帰らない夫を心のどこかで待ちながら、一人マンションで自由気ままに過ごす。働く気持ちなどさらさらない。そんな姿にどこか自分自身と重ね合わせながら読み進めた。
    空虚な気持ちをごまかしながら自分のペースで過ごす。社会とのつながりは週一回の生協の時。子どもはなし。28歳という年齢の割にぐっと年を重ねた中年女性のような雰囲気。読み進めれば読み進めるほど、どこか他人事とは思えなかった。最後は決してハッピーエンドとは言い切れないが、すがすがしい感覚。

  • 世の中 皆大体は、“一般的”な、“常識内”の生活を送ってるわけだけれど、何をどう感じるのか、考えるのか、に関しては本人も意図せず湧き上がってしまうこともあるから、よくないことは理性を以って人は内に抑えてる。
    だから人間ってのはなかなか底知れなくて、それを感じる時、なんだか薄ら寒い心地になる。
    それは自分も含めて。自分でもびっくりするようなことを考えてしまう時もある。ちょっとこわいよね。

    そんな心地の悪さが、この本にはずっとあった。登場してくる人、皆何かしら底知れない。脆い。それでも読み進める手は止まらず。恋愛ものというよりは、その関係を通して、壊れていき、そして解放されようとする様子を描いてるのではないかな。

    ただ主人公の女性は最後まで好きになれなかった。
    中1相手に、ということよりも、周りの全てのことに対して中途半端にしてる気がして。
    怠惰で、すこし甘美な(壊れかけな?)、繊細で鬱々とした雰囲気がこの本の味でもあるけど、それ以上に、もっと自分に、相手に、向き合って生きろよ、と思う気持ちがまさってしまった。
    そんな現実的な感想は、この本にはナンセンスなのかも知れないけれど。

  • 年下の男の子が好きな女として、ひどく共感するところがあった

  • 汐美は浅はかだったんだろうか、それとも自己制御できない部分が脆かったのか。全てを客観視しているようで、自分を分かってない感じがする。だから、禁じられた恋愛に走ってしまったのかな。
    6年後はどうなってるんだろう。

  • 大人の女性と年下男性の恋愛モノは数多くありますが、相手が中学一年生とは…。
    冷静になって考えて、ヤバイっすよ。笑
    色々と現実的ではないと思ったものの、やっぱり山本さんの描く物語、面白いですね

    色々なことを溜め込んでしまう主人公に、分かるなぁ~と思う部分もあったし
    心配してしまう部分もあった。猫が無事で本当に何よりでした。

  • 感情

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著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2016年 『カウントダウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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