どうにかなるか 静と理恵子の血みどろ絵日誌 (角川文庫 い 39-10)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041973295

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  • 静と理恵子の血みどろ絵日誌第5弾。どんな状況に追い込まれても、どうにかなると思わせてくれる一冊。

  • 『伊集院先生。はっきり言って、負けすぎです』と帯の文章に書かれてあるとおり、その負けっぷりはハンパじゃありません。そんな伊集院静と西原理恵子の凹凸コンビが織り成す第5弾。

    「どうにかなるか…」
    「いいえ、どうにもなりません」

    そんな言葉のやり取りが聞こえてくるような凹凸コンビによるエッセイ集。第5弾です。僕はギャンブルの話は正直、門外漢ですので、横浜時代の『飲む・打つ・買う』三拍子そろった大学時代の伊集院先生の行き方が若干、自分と重なるところがあって、それでこの人の書くエッセイを僕はずっと読んできたのかもしれません。

    読んでいて思わず笑ってしまったところは、麻雀の負けを払うの払わないのというまさに修羅場の場面で当事者の『ペンキ職人』がひとこと
    「歌でも歌いましょうか?」
    という場面で、吹き出してしまいました。伊集院先生はこう述懐しております。
    『それにしても、職人というのは、いまも昔も大胆というか、素人には明らかに違ったものの考え方をする連中である』
    読んでいて
    「こういうところは鋭いなぁ」
    とうなずかざるを得ませんでした。

    他にも、現在収監されている鈴木宗男とそれをかばい続ける松山千春についてや、競輪への愛情の裏返しとも取れる手厳しい批判。ギャンブルまみれの日々の中で獲得されていく珠玉の言葉の数々に到底自分には到底まねのできない、男の美学と哀愁を帯びた矜持が行間に滲んでいます。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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