黒い家 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 1282
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979020

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んだ中で、一番怖かった作品。

    この人は、追いかけられる恐怖を描くのが本当に上手だと思います。
    非人間が産む恐怖より、人間が醸し出す異常性の方がやはり圧倒的に恐ろしい、
    という事です。

  • 紹介でひっさびさに本を読みました。
    ホラーという未経験のジャンルで戸惑いましたがこれがまた最高に面白かった!!

    本を読むことの楽しさを久々に思い出させてくれました 笑

    ホラーといえば幽霊がどうのこうのだと思っていましたが、違うんですね。
    僕のジャンル分けではサスペンスに該当するような感覚です。

    同じ金融勤め、近畿在住だと言うこともあり、細かい描写がスッと入ってきて、共感する部分が多く、何よりリアルに感じました!

    推理が当たっていたのでそれもまた楽しかったです 笑

  • 保険詐欺を目的にしたサイコパスのはなし。
    現実的に起こってそうなことなので、余計にこわい

  • 第4回日本ホラー小説大賞受賞。

    生命保険会社で、保険金支払いの査定を担当する若槻。
    ある日、心当たりのない顧客から、名指しで苦情の電話を受けた若槻は、事情を聞くべく顧客の家を訪ねる事に。
    そしてその家で、子供の首吊り死体を発見。
    後日、保険金の請求が提出されるも、他殺を疑う若槻は、本社案件として支払いを保留にし、調査会社を入れつつ、警察の捜査待ちとするが…。

    <以下、ネタバレです。>

    とにかく怖かった!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
    怖いけど、続きが気になるよ!! と、終盤は一気読み。
    クレーム電話以前に、自殺の場合の保険金についての問い合わせ電話を受けた際、良かれと思って、不用意な発言をしたのが運の尽き。
    話の中盤、いかにも旦那が怪しいという展開だったけど、「いやコレ、奥さんなんじゃ…?」と思っていたら。
    まぁ、想像以上のバケモノでしたけど(滝汗)。
    若槻が気に病んでいた兄の自殺についても、実は事故だったと判明し、一応、良かったね、という話なんですが。

    若槻さんについて、妙に気になる所が2ヶ所。
    序盤、入院給付金詐欺の案件が、契約解除になった時。
    "ふと鏡に目をやると、自分の片頬には見たことのないような歪んだ笑みがはりついていた。笑みはゆっくりと引いていき、ついには消えてしまった。
     若槻は何度もポンプを押して、べたべたする緑の石鹸水を振りかけると、長い時間をかけて両手を洗った。"(P74)
    これはねー、理不尽な出来事が無事片付いたんだから、分からなくもないですが。

    そして、終盤、うっかり自転車で蝉の死骸を踏んでしまい、でも、実は死骸じゃなくて、もがく蝉を見て、このままの方が残酷と思い、轢き(以下省略)。

    何というか、別に異常者じゃなくても(若槻のように普通に真面目と思われる人間でも)こういう一面はあり、実は紙一重っていう事なんでしょうかね…。

    心理学の話とかも面白かったんだけど、ちょっと気分が悪くなるというか、病みそうな気がするので、次はほのぼの系で気分転換をしたい(笑)。

  •  心理学的に分析すると心に問題があるといえる容疑者たちは、本当に完全なる悪なのか。生まれながらにして、犯罪に走る傾向の強い者など存在するのか。真に非道で心のない人間というのは、存在するのか。生育環境等に問題があった故に心に問題を抱えた者たちを、単純に吐き捨てて除外していいものか。
     恐ろしいホラーミステリーの物語に、心理学的要素が混じることにより、ただの推理小説、ただの恐怖小説、という色から一歩、深みを増している。小説を小説たらしめていた、恐ろしく猟奇的な殺人、その犯人が明らかになり、その犯人が到底理解できないような執念深さやあるいは無頓着さを含んだ動機を吐いたとき、“あぁ、常人には理解できないような殺人を行った人物は、やっぱり常人とは違う、問題のある人物だったんだな”と、簡単に納得してしまうのを防いでいる、重要な深みだと思う。
     彼らが常軌を逸した理由が幼い頃の生育環境にあったとすれば、社会は、わたしたちは、彼らをどこまで本質的に責めるべきなのだろう。


     サイコパスとは、「精神病質(その人格のために本人や社会が悩む、正常とされる人格から逸脱したもの)である人」(大辞林)とある。確かにこれを、生まれつきのもので、遺伝性であるとするのは、恐ろしすぎる。
     近年の一人ひとりの個性を大事にするといった風潮や、現に、人と違ったことをする人が格好良く見えてしまうことがあることから考えると、最近の通常では考えられない動機・方法での事件の多発や、モラルの低下、これらはそういった社会の流れから発生した面もあるのではないかと思っていたが、精神病質である人が増えているという金石氏のいう現象が本当に起きているからなのだろうか。恵を信じる若槻同様、わたしも恵の論を支持したい。
     確かに、少数の精神病質的な人は存在するだろう。菰田幸子の振る舞いを読んでいて、こんな人存在し得ない、と感じなかったのは、現にどこかでそんな人を知っている気がするからなのだろう。しかし、わたしの脳裏に薄っすらと浮かぶサイコパスらしき人々は皆、おじちゃんやおばちゃんである。生来的に、遺伝によってサイコパスらしき性質を帯びているようには思えない。それまで歩んできた人生、環境や出会う人々など様々な不運な要因によってそのような性質になってしまったのだろうと解していた。そして、この本を読んでもそれは変わらない。サイコパスとは生来的、遺伝的なものでは決してない。本の中の人物ながら、恵のような考えの研究者をぜひとも支持したい。

     そんな恵が本当に恐れるべき人物として、病的ペシミズムの人間を挙げる。ペシミズムとは、「物事を悲観的に考える傾向。悲観主義。厭世主義。厭世観。」(大辞林)とある。確かに、病的なまでに悲観的であれば、周りにいる人々の温かさなどは信じられず、この世にすら絶望して生きるのだろう。恵のその論は、理解はできる。ただ、そういう人々がサイコパス以上に恐ろしいとはどういうことなのだろうか。
     サイコパスも後天的なら、ペシミズムこそ後天的なものだろうと思う。周りの環境や人々などの要因により、そういった思考を持ってしまうのだろうと。それが病的な場合、周りの人々にも世界にも絶望しているのは、一種の精神病質的なものではないだろうか。恵の両親が病的ペシミズムで現に娘である恵が胸を痛めているとしても、一般の人に隠れている両親のような人物が実は本当は怖いのだ、という論にはやや首をかしげる。サイコパスだって、一般の人と一緒に生きているのだ。その点は両者変わらないのだから。他者すべてに愛情を抱かないサイコパスと、他者すべてに絶望しているペシミズム、大した違いはないものの、前者が積極性を、後者が消極性を帯びているように思えるのは誤りなのだろうか。
     どちらにしろ、サイコパスよりペシミズム、とする論にはいささか疑問が残る。


     非常に考えさせられる内容で、とても興味深かった。
     若いのに暗そうな本を書く人、という印象だったが、他の本も読んでみようかと思う。その分、読むのにいささか体力が必要ではあるのだが。

  • 「黒い家」を先に読んでいたらかなり怖かったのだけど、
    同作者の他作品を読んでしまった後なので、
    ちょっと物足りなかったです。
    かなり最初に黒幕が分かってしまったので、
    最後もう少しあっと驚く展開があってもよかったかも…
    相変わらずの読みだすと止まらなくなる
    スピード感のあるストーリー展開、
    映画を見ているような臨場感でした。
    今まで読んだ作品全部に「虫」が出てくるので、
    そろそろ「虫」が出ないの読んでみたいです。

  • 「人はここまで悪になりきれるのか?」

    読み始めたらページをめくる手が止まらない。
    下手な同情や、悲しい過去など何もない。ただただ、利己的で理不尽な悪と向かい合う物語。
    今にも包丁を磨ぐ音が聞こえてきそうで、睡眠不足は間違いなし。

  • 古本で購入。

    「幽霊よりモンスターより、人間が一番怖い」
    これを地で行くどころか驀進するのがこの小説。

    保険金殺人をネタにした作品なのだけど、作者が元生命保険会社員だけあってその仕組みの説明、抱えている歪み、逆手にとった詐欺行為など、ディテールがものすごくしっかりしてる。
    それでいて読む手を止めがたいほどに読ませるのだからすごい。カード社会の闇を描いた宮部みゆき『火車』と並ぶ。
    夜通しぶっ通しで読むのに最適な1冊。

    貴志祐介の作品を読むのはこれが初。
    こりゃ相当なもんです。別のも読もう。

    以下、ちょっとした(そしてしょうもない)ネタバレ。

    事件の中心にいる「本物の化け物」の姿がジワジワ明かされていくあたり、緊迫感と言い恐怖感と言い抜群なのだけど、読む前からそれが誰かわかってたのが残念。
    と言っても誰かにバラされたとか、書評の類を見てしまったとか、そういうのではない。

    犯人はそう、明石家さんま。

    映画『黒い家』の公開当時からしばらくの間、大竹しのぶとの結婚生活をネタにするたび、大竹がこの映画に出演していることに引っかけて
    「俺の家がホンマの黒い家」
    みたいなことをよく言っていたのだ。

    まさか10年以上の時を超えてネタバレになるとは…

  • こんな怖い作品は珍しい。
    映像が自然とアタマに浮かんでくる。
    なんでだろう?暗く、どんよりした闇からこの作品を読んでる私を誰かにひっそり見られているみたいな感覚になる。
    霊とかモンスターとかジェイソンのような殺人鬼が出てくるわけではない。
    普通のオバサンが狂った殺人者になる、そのどこか身近にありそうな狂気が恐ろしい。

    何度読んでも恐ろしさを楽しめる作品

  • ものすごく怖いです。

    何度も家の鍵がかかっているか、
    確認せずにはいられない。

    でもあまりに面白くてほぼ徹夜で読み切った。

    貴志さんは『悪の教典』でも感じたけれど、
    「社会秩序を守るために
    整備されたルールや規範を
    簡単に破る存在のリスク」に
    興味が強いのかな、と思いました。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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