天使の囀り (角川ホラー文庫)

著者 :
制作 : 酒井 和男 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.84
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本棚登録 : 4628
レビュー : 530
  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979051

作品紹介・あらすじ

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて楽しい内容ではないのに
    なぜかページを捲る手が止まらないという
    貴志ホラーの典型。

    『新世界より』のときもそうだったけど
    怖いというよりおぞましいというような
    生理的嫌悪感を感じながらも
    強烈に読者を引き込んでいくのは
    この作家の持つ稀有な才能だと思う。

    こういうバイオホラー系のお話の場合、
    実際にあるかもしれない、本当に起こりうるかもしれない、
    そうなったときはどうしようと思わせられるかが
    勝負なところがあって、ありそうにないと思ったら
    面白さが半減してしまうのだけど、
    作中披露される専門知識の描写を退屈と思わせず
    リアリティを感じさせる小道具にしてしまうところに
    並の作家との筆力の違いを感じさせる。

  • 貴志祐介さんの本で初めて読んだのがこれでした。
    読んだあと、何度もネットで、それが本当にあるのかどうか調べたのは、私だけではないはず。
    初めて読んだ作品ですが、いまのところ、彼の作品では一番気に入っている(好きと言うにはちょっと語弊がある感じ)作品でもあります。

    先入観無しに読んでぐいぐい読み進めていって、ぞっとしてほしいです。

  • ホスピスに勤務し終末医療に携わる精神科医の北島早苗。彼女の恋人で作家の高梨は、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加し、その様子を彼女にメールで送ってきていた。帰国後、彼が異常なまでに食欲と性欲を抑えきれない様子に早苗は違和感を覚える。しかも、極端に死を恐れる「死恐怖症(タナトフォビア)」だったはずの彼が、なぜか薬を大量に服用して自殺をはかった。その後、同じ調査に行ったメンバーが次々に不審な死を遂げていることに疑問をもち、調べるうちに恐ろしい推測に辿り着く…。

    貴志祐介の中では『黒い家』が最も好きだったが、本作はそれを上回る面白さだった。タイトルと、天使を描いた(改訂前の)カバーデザインから、こんなグロテスクな話だとは思いもよらなかったが、大抵のグロが大丈夫な私でも、本作ではうすら寒く感じるような場面がいくつかあった。クライマックス近く、早苗と依田が施設に乗り込むところも大変気持ち悪くてよかったが、最も恐ろしかったのは、早苗が依田の部屋で2人きりになり悪夢を見た後の展開だ。物語に入り込んで鼓動が速くなるほど怖かった。

    ひとしきり怖がらせた後で、まさかと思うようなオチを最後につけてくれるのも驚いた。寄生虫への感染、それがもたらす快楽は絶対に人を幸せになどしないと思った後に、早苗があんな行動に出るとは……。

    内容の細かい部分に関しても、ともすれば見落としがちな何気ない描写に、真相に繋がる数々の伏線が散りばめられていたり、お見事としか言いようがない。

    生命の神秘と怖さ、死の恐怖と尊厳死、様々な問題を突きつけられたように思う。

  • こわいこわいと思いながらも途中でやめることができずに最後まで読み進めてしまった。とても引き込まれるストーリーだけど、映像化されたら絶対見たくない。苦手だと思ってた分野なのに怖いもの見たさについつい読んでしまう自分が、この本のストーリーと重なってちょっと怖くなった…。

  • ちょっと気持ち悪いシーンが多く、そのときの人物の感情がしっかり書かれているので、グロさが半端ない。

    全体的には面白かったが。

  • 久々に読み返した本ですが・・・。
    読んでいて気持ち悪くなりました。
    頭が重たい。
    描写が詳細で文章力があるため、はっきりとイメージしてしまいました。

    アマゾン調査隊に参加した小説家の高梨は帰国後、人が変わったようになってしまった。
    死恐怖症だった彼は死を恐れなくなっていたのだ。
    高梨の恋人で、精神科医の早苗はその原因を探っていく。
    それと別に、フリーターの青年の話が進んでいく。
    彼は参加したオフ会で得体の知れない肉を食してから人格が変わってしまった。
    高梨と同じく、それまで恐れていたものを恐れなくなった彼。
    もうひとつ、二人に共通するのは「天使の囀り」を聞くようになったこと・・・。
    そして調査隊に参加していた他のメンバーも次々と不審な死を遂げていく。

    恐怖というより、ただひたすら気持ち悪い!と感じました。
    人の死に方もそうだし、皮をはいだ猿を食べるとか、蜘蛛とか、蛇とか、線虫だとか、想像しているとどんどんしんどくなりました。
    ただ話自体は面白い。
    これほどという位に、線虫について詳しく説明してあり、他の細々とした事も専門的な知識を感じました。
    また主人公が精神科医だけに心理学についての記載もチラホラありそれも楽しめました。
    猛禽類の羽をもつ天使と癒しの象徴でもある蛇。
    イメージの全く異なるもので、心の葛藤を表しているのかなと思いました。
    私は恐怖というものは生きていく上で必要なものなのだと思います。
    恐怖は危険を教えてくれる無意識からのサイン。
    それが必要なくなった時が「天使の囀り」を聞く時なのかもしれない。

    それにしても綿虫って、はかなくて美しいものだと思っていたのに、これを読んでガックリきました。
    あまりに知りすぎるというのも夢がないな・・・と思います。

  • 傑作でしょう!読んでる時は気分が最悪だったけど・・・(苦笑)これでもかと襲ってくる気持ち悪さに中盤以降はもういいもう沢山だと思い本を閉じるが、すぐにまた続きが読みたくてたまらなくなるという。上手い!かなりSF寄りでマニアックな説明があるので読み応えも十分だった。単なるホラーではなく色々な要素をたっぷり含んだストーリー。時代に関係なく楽しめるだろうが、この救いようのないダークなノリは何となく90年代という感じがした。映像化不可能というか絶対止めてほしい。面白いけど人にはちょっと勧められないな・・・(苦笑)

  • H30.09.16 読了。

    うわー、面白い。
    貴志先生の頭の中はどうなってるのか。もうね、本当天才。天才だよこれは。

    何書いてもネタバレになってしまうネタが、とにかく気持ち悪い。
    吐き気を催す程。
    読んでいる途中で、そのネタだよね、とは薄々感づいてはいたが、想像以上に気持ち悪くてビックリ。

    グロいっちゃグロいんだけど、グロいなんてレベルじゃない気持ち悪さ。
    なのに面白い。
    最後もすっきりしていて、死角ゼロってくらいまとまっている。

    ただ、あえて悪い点を挙げるとすれば、パソコン・インターネット関連の用語の書き方が拙い。
    確かに分からない読者もいるだろうから分かり易くする為の配慮は必要なことかもしれないが、何か違和感。

  • 気味が悪い描写が多かったですが、アマゾンのこと、猿のこと、医学のこと、生物のこと等よく調べられていて、とても為になりましたし、よくできた物語だなぁと思いました。現実にあってもおかしくないほどリアルでした。

  • 角川ホラー文庫に入っているのはなぜ、と思いながら読み始め、ぞくぞくする恐怖感を感じながら読み進めた。
    ホラーといっても「貞子」のような超常的なホラーではなく、本当にこういう線虫っているかもしれない、と思え、それが脳を這い回る感覚まで想像できるところが余計に怖い。
    一般的に、病原菌や病原虫は種の保存に最適な行動をとるという。貴志さんは本当によく勉強している。病原虫のことを調べながら、本人は怖くならなかったのだろうか。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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