青の炎 (角川文庫)

著者 :
制作 : 角川書店装丁室 
  • KADOKAWA
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レビュー : 1377
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979068

感想・レビュー・書評

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  • 2016.8/13〜19。およそ10年ぶりの再読。内容はすっかり失念。すべては家族を守るため、秀一は完全犯罪を計画する。自分を完璧だと思い、周囲を俯瞰して見ながらもやはり中身は高校生。ひとりで背負うには重すぎただろうと思う。

  • 完全犯罪を目論む高校生のお話。
    読んでいくうちにある程度予測できる結末へと向かうが、
    心理の変化や描写が巧みで引き込まれる。
    そして衝撃のラスト。ここも描き方、終わり方が絶妙。
    映画化は知っていたので、途中から主人公を二宮に当てはめながら読んでいたが、イメージがぴったり。
    映画も見ねば。
    ★4.5

  • こんなに切なくて
    哀しい完全犯罪があるなんて…

  • 映画は観たような気もするけど、録画じゃなくて、たまたまやっていたのを流し見程度に、だったかもしれないw

    そんな訳で。
    話は何となく知っているようで、ほとんど覚えていない状態だったので、どうなるんだろう? と引き込まれるように読みました。

    秀一のやった事は、勿論、許される事ではないけれど、同情はする。
    曾根に対しては嫌悪感しかない。さんざん好き勝手にしていたろくでなしのくせに、自分の事情だけで、櫛森家に居座り、更に迷惑をかけるとか、本当に屑すぎる。
    もう少しだけ我慢できたら、秀一は手を汚さずに済んだのにね、というお話。

  • 貴志祐介作品が好きなのでストーリーとしては楽しく読めました。

    でも主人公の少年にあまり魅力を感じない。

    「青の炎」というのも、孤独の中に高温で燃える清閑の怒りではなく、まだまだ青い少年の義憤って印象。
    家族のためだという行動の全てが、その実、相手の想いをまったく慮れてないというか。

    そしてツメが甘すぎる。小難しいことを色々と謀略したわりに浅いところで緩すぎる。

    なので、最後のオチも(これまた家族のためと言いつつ、全く見当違いに感じる)ツメの甘さゆえに、彼の思い通りにはいかなかったんじゃないかな。と都合よく考えています。

  • 若さや衝動性と、完全犯罪の緻密な計画のギャップに違和感を覚えながら読んだ。
    最終的には、やはり若すぎたんだ、と胸が痛くなった。
    脆くて、危うくて、純粋なかんじ。
    名作だけど、陰鬱で読み返すには勇気がいる。

  • 倒叙物のミステリーなので、最初から犯人は主人公である櫛森秀一とわかる。
    ごく普通の高校生が、なぜ殺人を犯さねばならないのか。
    ここが重要であるために、倒叙物のミステリーとしては比較的犯行に及ぶまでが長い。

    母の元夫、つまり自分の元義理の父親をなんとかして排除しなければならないと思う理由はわかる。
    酔って、暴力を振るって、家から金を持ち出して…。
    家族全員が恐怖におびえながら生活しているのだ。

    秀一自身は曾根から殴られることがあったが、それだけなら我慢できたはずだ。
    曾根が母や妹に暴力、それも性的な暴力をふるうのではないかという脅えが、秀一を犯行に走らせた。

    『切ない』
    この作品が映画化されたときのコピーに、この言葉が使われていた。
    『切ない』
    確かに。
    秀一はあくまで家族を守るために犯罪を犯した。
    曾根さえいなければ、こんな犯罪を犯す必要はなかった。
    確かに。

    でも、私はちょっといらっとしちゃったんだよね。
    母親の、何もしなさぶりに。

    秀一がわざわざ弁護士に相談して、家に来てもらうことまでしているのに、それでも何もしなかった。

    なぜこういうことになったのか。
    いつまで我慢することになるのか。
    今後の見通し。
    このどれか一つでも、母が秀一に打ち明けていたら、この殺人は起こらなかった。

    秀一は家族の中のたった一人の男性だったかもしれないけど、家族の安心を守るのは、母親である友子の義務だ。
    曾根の事情を知っていて、秀一の思い詰めた様子を知っていて、そのうえで何もしなかった友子の罪は重いと思う。

    あと、金銭感覚がちょっと違和感。
    曾根と離婚するにあたって、秀一の祖父は老後の蓄えのほとんどを差し出したという。
    だから家族旅行などしたことがない、と。

    その割に、秀一のお金の使いっぷりが高校生離れしていると思うのだ。
    車が3台入るような広さのガレージを、自分の部屋とは別に持っていて、そこでパソコンをしたり、絵を描いたり、金属加工したり…。
    粗大ゴミから拾ってきて、自分で手直しして使っているということだが、それにしても貧乏臭さはない。
    隠れて飲んでいる酒は、バーボンだし。
    コーヒーもインスタントじゃないし。
    通学に使っている自転車だって、フレームとフォークだけとはいえ、高級品だし。

    殺人を犯すための先行投資だってなかなかの金額だ。
    私書箱を借りたり、大人のふりをするためにスーツやらワイシャツやらネクタイやらムースやら…。
    法医学の本を買い集めること、数万円分。
    週1~2回のコンビニの深夜バイトで、どれだけ稼いでいるのよ。

    そんな感じで、ちょっと引き気味に読んでいたのだけど、曾根を殺してからが俄然面白く読めた。
    誰にも知られていなくても、まず自分が事実を知っている。
    自分は犯罪を犯したかもしれないけれど、ほかにどうしようもなかったのだ。
    何度自分を説得しても、見る夢は悪夢。

    一度転がしてしまった玉が、どこまでも落ちていくように、秀一の運命も止めようもなく転がってしまう。

    秀一は曾根に対して恐怖だけを感じていたわけではないと思う。
    曾根のような(自分の欲望だけで生きている)人間に対する、生理的な嫌悪があったのではないか。
    そして、衝動的な犯罪に対する忌避の感情。
    それらのことから秀一は、理性的な人間として犯罪を犯し、隠ぺいしようとしたのだ。
    本当は衝動的な犯罪の方が、計画的な犯罪より罪は軽いのだけど。
    理性でそれを無いことにできると思ってしまった。
    その幼さが切ないと言えば、言える。

    理性だけではどうにもできない、どんどん追い詰められていく秀一の感情描写が秀逸。

  • 兎角切なく悲しい小説。
    悪の教典と同著だったとは!驚き!

    櫛森くんが考えていたようなパラレルワールドだったらどんなによかったか。

    本編がそのような雰囲気だった為、あとがきを読んで少しほっとしました。

  • 追い詰められていく感じの本は苦手……

    貴志さんの本は、善人と悪人がはっきりしているのがいいというか、客観的な描写がほの暗さを誘うというか。

  • 孤独とか悲しみとか完全犯罪とか、胸が熱くなるキーワードが散りばめられていますが、キーワード自体にそれほどの深みはありませんでした。

    ヒリヒリの精神状態とか、胸が張り裂けそうな悲しみとか、絶望のどん底というようなものではなく、一般的な高校生の悩みの延長という感じです。高校生の稚拙さを表現するためにわざとそうしているのかもしれませんが、高校生がバーボンを常飲してるとか、アングラサイトで薬物購入とか、中二病表現が多すぎのような気もします。

    黒い家や悪の教典、天使の囀りに比べると胸くそ悪い感が足りませんでしたが、一気読みできる青春サスペンスとして楽しめました。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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