青の炎 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.87
  • (1764)
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本棚登録 : 15816
感想 : 1687
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979068

感想・レビュー・書評

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  • 貴志祐介さんの作品を読むのは、「新世界より」に次いで本作が2作目です。
    本作を読んでいて途中から、う~ん、ちょっとこれは・・・と思い始めたのは、主人公が2つ目の事件を実行しようとしていたときからです。
    彼をこんなふうに殺しても、最初の事件の証拠物が奪われている問題は何も解決しないのにと思ったら、案の定でした。
    罪を重ねるごとに増える苦しみ。
    もし仮に、2つ目の事件で警察の追及を逃れられたとしても、主人公はいつかは破滅の道に行ってしまったのではないかと思いました。

  • 面白かった。
    貴志祐介さんの作品は初めてだった。
    いわゆる倒叙形式で完全犯罪のシナリオが描かれていく。
    前半はなかなかのっていけなかったが、だんだん次がどうなるのか気になって引き込まれた。
    でも、ラストがなにかもっとひねりがあるのかと期待していたけど、わりとすんなりと終わったので拍子抜け感があった。

  • ブクログ入れる前に読んだ中で好きだった本

  • 20240321
    人としての正義
    社会の正義
    自分が出来る最も最善なことが
    社会ルールに即して正しくない場合

  • 主人公が殺人という沼に嵌っていく。
    今まで犯人は誰だ?系の小説を読んでいたからか、犯人視点の繰り広げられ方は初めてでした。
    人を呪わば穴二つなんだなと。
    家族思いな主人公が歓喜したり落胆したり
    一人目ができたから二人目も…とエスカレートしていく様は炎が燃え広がっていくことを表現しているようでした。そして最後は自分も燃え尽きてしまった。
    報われてほしい気持ちもあったけど、やはり自分を騙すことはできない。一番傷ついているのは自分自身でその状況に置かれて苦しそうで自分の首を自分で閉めてしまった切なく青い物語りでした。

  • 「一度火をつけてしまうと、瞋りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすことになる・・・・」
    人殺しは悪なのか、一概にしてそう言えるのか考えさせられた。
    今、この時代、日本に生きているからこその人殺しという悪が滅ぼされたようにもかんじる。

    紀子に対して好きだと言えない、いう資格を失ってしまった秀一の背負っているものにどうしても同情してしまう。

    作品の中でも出てきたが、パラレルワールドの中で生きている秀一と紀子を見てみたかった。

    心がギュッと苦しくなる作品。

  • 本当に好きな小説、数年ぶりに読み直してみた。やっぱ最高やった。でも最後のさ、死ぬ理由を刻々と心情と共に、つらねるとこはいらんのでは!?て思った。

  • ハッピーエンドにしてあげたいって思ってしまう。
    切ない。若者の思考。現実世界ではないけど、若い人に輝いてほしいって最近思うから。今より若い時に読んだ時はこんな風に感じなかったんだけど笑
    確か映画にもなりましたよね。名作には違いないと思います。青い炎、静かに、だけど高い温度を感じるタイトル最高です。

  • 面白かった。
    あとがきにもあったが、倒叙推理小説と最高峰だと思う。
    主人公の心理描写を細かく描くことで、主人公に感情移入し、深く共感していく。
    このままバレずに、殺人を完了できるのではないかというワクワクと、バレてしまうのではないかというドキドキがある。
    もしあのまま誰にもバレずに生きていても何かをするたびに、自分が殺人者であることに思い出し、殺した光景がフラッシュバックする。
    それを抱えたまま生きることは難しい。
    どんなにクズを殺しても、殺人は殺人。
    殺した事実からは逃れられない。

  • 悲しい殺人。

    殺人は自分(犯人)の為ではなく、全てが家族の為であり、
    その家族の幸せを脅かそうとするものを排除するために自分(犯人)が実行役となることを決意するという所から始まる。
    (犯人=本作の主人公)

    本作は倒叙推理小説という形を取っており、
    一般的な推理小説は、
    「事件発生→警察(探偵)側の視点で推理が進む→犯人に行き着き犯人から真相が語られる」
    というような流れだが、
    倒叙推理小説は逆で、
    「犯人側の視点でスタートし犯行を行う前、最中、行った後などの心情を深く掘り下げる→その後に警察(探偵)側の視点となり事件解決に向けて動く様とその際の犯人側の視点とを描く」
    というものとなっており、
    本作は犯人側の心情が非常に細部まで描かれており、読者側も感情移入しやすいものとなっている。

    主人公は高校生。
    鎌倉の海沿いが舞台で自転車で通学するシーンなどで非常に爽やかな光景が目に浮かぶ。
    家族と平凡な幸せの中で暮らし、学校でも友達と過ごすという普通の学生であったが、
    突如としてその幸せを脅かす存在が現れ、
    平穏を取り戻す為に心の中に青い炎を灯して変貌していく様が何とも言葉にし難く、歯痒く、悲しい。

    本作は短い期間の中で起こる事を描いているので、
    いわゆる「濃く狭く」という描写になっていて、
    最初から最後まで充分すぎるほどの主人公の葛藤があり、読者を引き込み一気に最後まで読ませる内容となっている。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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