密室―ミステリーアンソロジー (角川文庫 ん 17-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041997024

感想・レビュー・書評

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  • 複数の作家による、密室をテーマにした短編集。正直アンソロジーは好きな形態ではないのだが、これを購入したときは異常に密室にハマっていたようだ。おそらくミステリにハマった頃だったか…。

    感想だが…全体的に微妙と言わざるを得ない。20年ほど前の作品とはいえ、今でも密室ものはある。短編よりも長編のほうが密室は合っているのかもしれない。

    ただ、有栖川有栖の『開かずの間の怪』は「なるほどね」と感嘆させられた。知ってしまえばそういうことかで終わりだが、それまでは悩まされた。それに少しホラー要素もあって楽しめた。

    結果的に、一押しは『開かずの間の怪』。有栖川有栖は本作の作家8人の中では恐らく1、2を争う腕前ではないだろうか(この頃は特に好きな作家ではなかった)。

    反対によく解らなかったのは、こちらも大御所である法月綸太郎の『ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?』という短編。途中までせっかく真面目に推理していたのに、最後付近で意味不明になってしまった。

    何回読み直しても意味が解らないのでネタバレをググってみたところ、どうやら書いてある文の意味をそのまま受け取っていいとある。まぁいわゆるバカミスというやつらしい。

    バカミスというのは「おバカなミステリ」や「バカバカしいミステリ」の略で、ミステリのひとつのジャンル。バカと付いているが、決して誹謗中傷する意味のバカではない。ただし真面目に推理していて結末がアレだと、頭に来る読者も居ないとは限らない。この時はオレがそうだった…。

    ちなみに調べたところ、この短編はパロディ作品だったようだ。今ならタイトルでわかるが、当時のオレは知識もなく全然解らなかったものだ…。
    まぁこういうパロディものもアリかな。個人的にはあまり好みではないが…。

    他の作品は、地の文の説明が足りなかったり、そもそも章ごとの構成を理解するのが難解だったりと、散々だった。地の文を蔑ろにすると解けるものも解けなくなってしまうので、作る側も注意が必要だと思わされた。

  • 2014.3.13処分

    姉小路祐『消えた背番号11』
    有栖川有栖『開かずの間の怪』
    岩崎正吾『うば捨て伝説』
    折原一『傾いた密室』
    二階堂黎人『密室のユリ』
    法月綸太郎『ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?』
    山口雅也『靴の中の死体』
    若竹七海『声たち』

    密室をテーマにしたアンソロジー。
    『開かずの間の怪』は学生アリスシリーズ。(『江神二郎の洞察』東京創元社にも収録)
    悪い意味で1番インパクトがあったのは法月さんの作品。
    アメリカの作家ロス・マクドナルドのオマージュ作品らしいけれど、ラスト2行の真相?で唖然とした。

  • 有栖川目当てで買ったけど他作家も面白かった。法月氏のはちょっと人物関係がくどすぎる上にオチがわからんかったが。折原氏のは面白かったけど「私の体を先生にあげます」「処女です」とかゆーのが。しかももらってるあたりどうなのよ(笑)。二階堂氏のは詰めが甘い。追い詰められた犯人の間抜けさがなかったら白を切れるんでは。有栖川氏のは学生編で。江神さんがスッポン構えてる図を想像すると笑える。あれ、私もスッポンて呼んでましたよ。正式名称はラバーカップ。

  •  ちゃんと、『密室』というテーマに沿ったお話が収録されてはいますが、正直ピンとくる作品は少なかった。


    ○きえた背番号11(姉小路祐)【-----】
     サッカーのこと知らなすぎて(何人で試合するのか分からないレベル)、1ページだけ読んで断念。
     おもしろいとかおもしろくないとかは分かんないです。

    ○開かずの間の怪(有栖川有栖)【★ ★ ★】
     学生アリスシリーズ。
     トリックは分かんなかったけど、真相は分かりやすいし、ラストも想像できた。
     
    ○うば捨て伝説(岩崎正吾)【★】
     何か…よく分かんない話だった。
     文章の雰囲気とか、キャラが嫌とかそういうことはないけど、純粋におもしろくなかった。

    ○傾いた密室(折原一)【★】
     感じが悪い。

    ○密室のユリ(二階堂黎人)【★ ★ ★ ★】
     マンガ版で読んだことがありました。
     蘭子さんステキ。

    ○ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?(法月綸太郎)【★ ★ ★ ★】
     おもしろかったけど、元ネタを知らないと十分に楽しめないかも。

    ○靴の中の死体【★】
     キッド・ピストルズのシリーズ。
     お話が全然頭に入って来ませんでした。

    ○声たち(若竹七海)【★】
     若竹さんの作品には何回か挑戦していますが、今回も敗れました…。
     どうしてもページが進まない。

  • 3+

  • 密室をテーマにしたアンソロジー。
    王道のテーマなので、目新しいトリックやあまりインパクトのあるものはなかったけど、そこをどう読ませるかが作家の腕の見せ所だなぁと思いました。
    姥捨て山と山姥伝説を絡ませた岩崎正吾の「うば捨て伝説」は、なるほどこれも密室なのかーとシチュエーションにうなりました。読後感も爽やかでいい。
    有栖川有栖「開かずの間の怪」は期待通りの面白さ。江神さんすてき。
    法月綸太郎「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」のオチがよくわかりませんでした。後書きを見ると何かのパロディ作品だとか。元ねたを知らないと意味不明というのは…どうなんだろう?

  • 鍵の掛かった部屋だけが密室ではない―。衆目に晒されたサッカースタジアム。お化け屋敷と噂の廃屋病院。説話の舞台のうば捨て山など、あらゆる場所が密室状況になる…。世界最初のミステリー小説から謎ときの王道として追求され続けてきた究極のテーマ“密室”。いまだに色褪せることのない永遠のテーマに「ニューウエイヴ・ミステリ」の旗手八人が挑む!ファン必読、趣向をこらした八つの密室による傑作アンソロジー。(「BOOK」データベースより)

    消えた背番号11(姉小路祐)
    開かずの間の怪(有栖川有栖)
    うば捨て伝説(岩崎正吾)
    傾いた密室(折原一)
    密室のユリ(二階堂黎人)
    ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?(法月綸太郎)
    靴の中の死体―クリスマスの密室(山口雅也)
    声たち(若竹七海)

    「開かずの間の怪」有栖川有栖
    正しい怪談といった趣の結末が快感

    「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」法月綸太郎
    ブラッドリーがアーチャーに対して言った「ちょっと体を横にするだけで――」
    の意味がイマイチよくわからない。
    存在感・影が薄いから、気づかれないって事?

    「声たち」若竹七海
    犯行時刻は9時10分とあるのに、次のページに「犯行時刻が9時だってどうやってわかったの」
    とか、「叫び声で、近所の人がすぐに110番通報をしたんだ。それが9時丁度」とある。
    なんかすっきりしない。

  • 鍵の掛かった部屋だけが密室ではない―。衆目に晒されたサッカースタジアム。お化け屋敷と噂の廃屋病院。説話の舞台のうば捨て山など、あらゆる場所が密室状況になる...。世界最初のミステリー小説から謎ときの王道として追求され続けてきた究極のテーマ“密室”。いまだに色褪せることのない永遠のテーマに「ニューウエイヴ・ミステリ」の旗手八人が挑む!ファン必読、趣向をこらした八つの密室による傑作アンソロジー。

  • 密室をテーマに、8人の作家さんが書かれてます。正直、中に納得できないのがあったりしますが・・。一度に色んな作家さんの作品が読めて楽しいです。有栖川先生の作品は、EMCメンバーです☆

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著者プロフィール

京都府生まれ。1991年『動く不動産』で横溝正史賞受賞。弁護士・朝日岳之助シリーズ、刑事長シリーズ、署長刑事シリーズなど社会派警察小説の雄として一世を風靡。テレビドラマ化された作品も数多い。本シリーズも第一作から第四作まで、新刊即ドラマ化という快進撃が続いている。本書も刊行前からドラマ化の企画が進もうとしている。

「2022年 『再雇用警察官 究極の完全犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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