怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1))

制作 : 東郷 青児 
  • 角川書店
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レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042047018

感想・レビュー・書評

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  • ジャン・コクトーの詩小説ということで、詩的な文章が映像的に映えていて、物語のハチャメチャ度からいっても(笑)、映画で観ても面白いかもしれない。永遠の「子供」らが繰り広げる、規律や倫理を無視した戯れに興じる姿が痛々しいと感じるのは自分が「大人」視線故か。
    弟ポールの同級生ダルジェロへの恋慕が怪我を呼び込むという死への序曲の象徴は、その後繰り広げられる「部屋」=遊び場での児戯への囲いとなり、母の死、姉エリザベートの夫の死は絶えず「子供」に留めようとする姉弟への象徴的な出来事であった。ダルジェロに面影の似たアガートやポールを心配しエリザベートに魅かれるジェラールは最初、姉弟と行動を共にするが、「大人」へと向かう彼らから弟ポールを手許に置きたい姉エリザベートのとった行動は「永遠」を保つための死への道であった・・・。
    将来のみえない混乱と精神の暗黒が、死への象徴と詩的文章の美しさを対称として、上手く表現された作品であったと思う。

  • 「小説詩」と呼ばれるだけあって少々読みにくいが、恍惚とした引き込まれる魅力がある作品。

  • 子供時代にのみ存在する、陶酔。それを丹念に描き出している。ただ美しいものに心惹かれ、破滅を恐れず、甘美な毒に酔う。子供時代は、死への執着に満ちている。そして、生へ向かう決意を持った時、人は大人になるのかもしれない、と思った。
    東郷青児訳は、いまいちだった。

  • 巻末の解説にもあったが、白い玉(雪玉)で始まり黒い玉(毒薬)で終わる悲劇と表現するとすっきりするか。白い玉は主人公ポールを子供部屋へと閉じこめるためのもの、そして黒い玉は彼を永遠にそこから出させないためのもので、いずれも投げつけたのはポールが少年時代に信奉していたダルジェロという友達である。とすると、陶酔は人の心を、大人のー秩序立てられたー世界から遠ざけ、子供のー混沌としたー世界へ繋ぎとめ、その心のまま大人になったポールは死ななければならなかった...ということだろうか。いずれにしても、全編を通して子供時代を混沌・無秩序と、大人(世間?)を理性・秩序と結びつける考えが支配しているのは確か。1929年の小説、にしては幼少心理の解釈に乏しすぎないか。いや、ギリシャ的な悲劇を志向しているのだったか。あるいは現代が子供を重く扱いすぎているのであって、本来こういうものであったのか。ーーー子供の心に空想に耽りがちな不可解さは確かにあると思う。しかしそれを大人のルールに当てはめて無秩序とみなすのは違う気がしてならない。彼らには彼らなりのルールが、秩序があるはずなのだ。あったはずなのだ、僕らにも。

  • 成熟を拒否し、通常の大人の世界に背を向けて、
    小さな「城」に引き籠もる子供たち。
    彼らは「外」へ出ていく代わりに、
    遙かな夢幻境へと旅立ってしまう……。

  • ・・・・ああ、これを読んだ15の頃(爆)
    私は彼らになりたかった。

  • 何と言って良いかわからない。とにかくすごい。タイトルそのまま。大人になる前に破滅に向かうしかない、子供の衝動と情熱と無邪気さ。衝撃的だった。

  • 昔読んだ時も、何が面白いのかがわからなかった。
    そして、20年以上たった今も、いまいちよさがわからない。
    登場人物に感情移入もできない。
    荒廃と狂気を感じる。
    「詩」っていうことなので、その混沌は伝わる。でも、中身は比較的浅い気がする。
    残念ながら、私は好きではないかな。

  • 購入したのは10年以上前だろう。再読だが、一度読み通したきりなのでほぼ記憶になし。巻末の年譜を見ると、執筆した年齢が当方の実年齢と一致していた。若くして時代の寵児となったフランスの鬼才が、不惑の年に物した美しくも攻撃的な〈物語の詩〉。

  • 夏フェア本消化の巻。タイトルがこれ以上なく最適。最強で無敵な少年少女たちの物語。外の世界を知ってしまえばただの人。「誰も知らない」を彷彿させる。「芝居が永遠の新しさを持っているのは、この原始的な無意識のためなのだ。」彼らは夢の世界を生きているようで現実感がなく、「芝居小屋」という表現がまさしくな、閉塞したアパートの一室でその日の気分で役を演じている。観客としての立場を確立してしまったアガート。彼が持ち込む「現実」が「非現実」に見えるほどポールとエリザベスの世界観は確固たるもので幼く儚い。

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