マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042082071

感想・レビュー・書評

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  • 歴史書と物語の中間の書き方。歴史書よりは面白く、物語よりは退屈。革命の始まりまでが上巻。下巻は暗いのがわかっているので読み始める気がしない…

  •  創作資料としてのレビューです。

     ツヴァイクのマリー・アントワネットは、マリーアントワネットの人生を俯瞰しながら一つ一つの事件を取り上げてゆくという形です。そのため、小説形式に慣れている人は、最初面食らうかもしれません。

     何より、根拠となる資料についての言及が多く、しっかりと足に着いた記述という感触が得られます。マリーアントワネットの平凡性や、事件一つ一つの原因と結果の結びつけが明確で、読んでいて小気味良いです。

     創作の資料としては、やはり参照した資料が単なる参照に留まらず、引用が多いなど、時代を肌で感じられる点でとてもお薦めです。

  • 『ベルサイユのばら』で、彼女に興味を持って読んだ

    世界史の授業では、お決まりの否定的なイメージが強かった
    けれど、問題のある振る舞いは、彼女なりの葛藤の末のことだったのだろうと思うと、やるせない気持ちになる
    物事には必ず理由がある、ということを強く感じた

  • どうせ説教臭い昔のインテリ野郎が書いた伝記物だろうと、期待0で読み始めたのに、「はじめに」で示された視点/観点に吸い込まれてしまった。ツヴァイクは「こうとらえ てこのように描写する」と丁寧に、ほどよくあらかじめ断って進める。読み手はそれにたいしてみずからの態度をその都度決定することを意識化できるので、読みやすい。ファルゼンに愛されることに救いを見いだすのを、許してあげよう。

  • 201208読了
    ツヴァイクの巧みな文章力が半端ない。
    表現の力はかくも大きいのか、と思わされる。

  • 2008年の5月ころ読んだのですが、昨日DVD版「マリー・アントワネット」(出演: キルスティン・ダンスト, ジェイソン・シュワルツマン 監督: ソフィア・コッポラ)見て、この本の面白さを思い出しました。
    DVD版へのAmazonの口コミはかなりボロかす書かれていましたが、私個人としては「マリー・アントワネットの心象を適切に描いた作品」(ほけんがかりさんの口コミ)という印象でした。それもこのシュテファン・ツヴァイク版「マリー・アントワネット」を読んでいたからと言えます。
    DVD版はセリフが極端に少なくて、その分見る側がそのシーンにおけるマリー・アントワネットの気持ちを理解できるかどうかで映画の印象が全然違って来ちゃうんじゃないかと感じました。私はいちいち切なくなってしまって、大いに共感してしまいました。
    そんなわけで書評というよりDVD評になっちゃってますが、書籍版「マリー・アントワネット(シュテファン・ツヴァイク)」もとっても面白いです。特に下巻の革命後の変転の中でのマリー・アントワネットに圧倒されます。
    books123

  • マリーアントワネットというとどうしても華やかで派手な印象が浮かび、革命後はただ断頭台に上がるのを待つだけだったんだと思ってました。この作品では上巻で革命が起きてしまうため、下巻は途中で内容が尽きてしまうのでは?と疑問でしたがとんでもない。若く軽率でとにかく楽しみを追い求めていたマリーが、「風と共に去りぬ」のスカーレットのような強さを持った女性に変貌し、歴史と戦っていくのです。親しい人との別れ、脱出計画の失敗を繰り返しても、最後まで王妃としての矜持を捨てず、生に固執し自由を求める。そりゃあ引き付けられずにいられません。ベルサイユ時代も、自分では御しきれないほどの地位と権力を握ってしまった女の子が柵から解放されて破目を外しすぎた感があり、そうなってくるとソフィア・コッポラ監督の映画での描かれ方も早々外れてはいなかったのかな、と。当時の手紙や残された資料も取り上げられるので、かなり史実に近い小説になっていると思われるし、この時代そのものや脇役にも興味がわいてきます。神話や古代ギリシャの例を引いてドラマチックに表現する文章にも引き込まれ、一気に読みきりました。

  • 面白い。

    ――「民衆」という不思議な存在は、擬人的にしか、ものを考えられない。彼らの理解力が及ぶのは、概念に対してではなく、刑姿に対してだ。そのため彼らは罪が存在していると感じれば、罪人を見ようとする。

    表現が分かりやすく、それでいて美しい。
    役者が揃ってドラマティックすぎる展開の中、最高の役者フェルゼンが出てくるところで上巻終わり。下巻が楽しみ。

  • ベルばらファンにとって、これは外せない作品。オスカルが登場しないのが不思議になるほどベルばらそのものです。理代子先生はこの伝記小説を読んでベルばらを描いたんだから当たり前か。ツヴァイクのしつこい文体も好きです。中野京子さんの訳も良いです。

  • 37歳の若さで断頭台に消えた彼女の人生を見ることはもちろんフランス革命についても知ることができる。
    無知すぎるということは、それだけで罪である、なんて聞いたことがあるが、マリーアントワネットは無知すぎたのか。と考えてしまう。大変革の時代にたまたま居合わせたマリーアントワネットの生涯に興味のある人やフランス革命の全体像に興味がある人はおすすめの本。

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著者プロフィール

シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig 1881–1942) 
1881年ウィーンのユダヤ系の裕福な家庭に生まれる。ウィーン大学で学びつつ、作家として活動を始める。第一次世界大戦中はロマン・ロランとともに反戦活動を展開。戦後は伝記小説等で人気を博しながら、ヨーロッパの人々の連帯を説く。ヒトラー政権の樹立後、ロンドンに亡命し、さらにアメリカ、ブラジルへと転居。1942年2月22日、妻とともに自殺。亡命下で執筆された自伝『昨日の世界』と、死の直前に完成された『チェス奇譚』(本作)が死後に刊行された。

「2021年 『過去への旅 チェス奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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