審判 (角川文庫クラシックス)

制作 : 本野 亨一 
  • 角川書店
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本棚登録 : 317
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042083023

感想・レビュー・書評

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  • カフカの未完の長編。同じく未完の長編『城』と同じように、Kという銀行員が理由もわからぬまま逮捕され審判にかけられる不条理を描いたストーリー。Kが何を犯し、逮捕されたのかもわからないし、その辺は『城』と似たような感じ。カフカの小説を読むといつも出口がわからなくて抜け出せない。2012/701

  • 不条理小説と言われているけど、えっ!こんなん当たり前だなぁ~マジありそうな感じがした。
    すごくリアル。

    まぁ…これもわたしが引退しちゃったせいなのかも知れないんだけど…

    Mahalo

  • 再読。Kの罪は最後まで明かされない。誰も理由など分かっていない。ただシステムがあって動いてるだけ。あっけない最期に呆然ショック。人間の尊厳などあったものじゃない。この不条理は現実にも存在するから。恐ろしい。裏返しの暗黒寓話。カフカすごい。

  • 不条理サスペンス劇場



     ここ最近、カフカの迷宮小説について随分書いてて、またしてもカフカで、今回は『審判』なのです。

     最も人口に膾炙した作品『変身』とよく似た構成で、特に出だしがそっくりなことはもういろんな人に気づかれていそうで、わざわざ書くのも痛いかなと知りつつも、自分の言葉で表します。

     『変身』も『審判』も、「ある朝、目が醒めたら○○になっていた」というパターンで書かれてる★

     ある朝、目が醒めたら虫になっていた話が『変身』。
     ある朝、目が醒めたら容疑者(?)になっていた話が『審判』。
     変身はちょっとホラーっぽくて、審判はちょっとサスペンスっぽい。

     しかし、なぜ。誰が自分に対する中傷を言ったのか、自分は何のかどで逮捕されたのか、ヨーゼフ・Kには一切説明されません。
     仮にも自分のことでありながら、自分が何したことになってるか分からない。周囲は自分を理解しようとはしないし、自分も周囲を理解できないのです。

     ヨーゼフ・Kが陥ったこの状況は確かに異常で異様だけど、その不条理きわまりない感覚は、実はおなじみのもの。
     放置される問い、得られぬ返答。話が通じない苛立ち、伝わらないことの虚しさ。他者への嫌悪感、徒労感……。この果てなき繰り返しが日常を構成しているのです。周りが追いつめるより先にヨーゼフ=Kは自滅しかかっている節があるのも、ああ日常だと思います。

     なんか身につまされる。だからかな、読んでて胃のあたりがむかむかしてくるのは。
     この世はきっと、繊細な人を胃潰瘍にするために回ってる。

     それでも、時には彼のように
    「ある朝、目が醒めたら自分の中に抵抗する力が満ちているような気がした」
    なんてことが起きるかも。

     そういえば、「ある朝、目が醒めたら○○になっていた」がこんな風にポジティブに使われたことには少し驚きました。いいじゃん。やるじゃん。と思いました。

  • 誰もが持っている感覚を、さも特別なことかのように長々と書いたお話

  • 逮捕された男が追い詰められていく過程がスリリング。

    一市民である銀行員のK。
    ある朝、犯した罪もわからずに逮捕されるが、拘束されることもない。今までと同じく自由に暮らす毎日。しかし、それも表面上のことであった…

    逮捕されながら、自由に暮らす男の不自由さ。
    牢獄に繋がれた方が、却って自由であるようだ。
    身体は自由なのに次第に追い詰められていくKの焦燥感に、読者も追い詰められていく。

    ところどころ抜けがあるものの、一応完結した物語なので最後は一安心。

  • たちの悪い夢。人生は恐ろしい冗談の連続だ。『城』のイメージとごちゃまぜになる。同じ世界なんじゃないか。

  • 未完の作品と聞いてはいたけれど、結末はちゃんとあるのね。結末は。彼の著作は『変身』、『城』に次いで3作目ですが、作家性・テイスト、筆のクセを感じずにはいられません。著者名を隠されても世界観・世界構造から推察できそう。苦悩に満ちたストーリー展開であっても、それを著しているカフカ自身は書くことで満たされている感があるなあ。それが楽しくもある。
    本作は、タイトルからも分かる通り、法律・裁判、その辺りの話題が多く、法学に通じている人ならより楽しめるのかもしれませんね。
    ☆は三つにします。どうしても既読の同氏著作と比較してしまいましてね。

    未完であるとか、完結しているとか、ということにこだわったりしますが、実のところあまり意味を成さないかもしれないなあ。ゴールを重視するか否かの問題です。

  • 裁判は不安感の言い換えであって、なんとかしたいと思っているのに正体すらわからないもの、改善が進んでいるのかいないのかわからないもの、それは人間ならばある程度誰でも持っている感覚であって、僕たちは全員裁判にかけられている、と言えなくもない。

    みたいな内容だろうと思って読んだら、こんな陳腐な解釈はまったく通用しない深さというか不条理さでした。

    掟という章が印象に残ります。カラマーゾフの兄弟の『大審問官』みたいなわけのわからなさが好き。

  • カフカの作品を初めて読みました。個人的にはコナン・ドイルのような書き方だなと思いましたが、彼の作品よりもかなり読みやすかったです。


    物語はある日銀行員Kが無実のまま突然逮捕されることから始まります。Kは何故自分が逮捕されたのか罪名は何かも分からない、まさに不条理の世界に突き落とされます。次第にKの周りに変化が起き、最終的にKは数々の尋問の後極刑に処せられてしまいます。こんな展開はまさかあり得ないだろうと思うのですが、実はあり得るかもしれないという恐怖がこの作品から感じれます(物語の内容から後のナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺を予見した?)


    読んだ感想としては「序盤からの大展開は驚き」です。なぜなら序盤の展開では女性との色々が出てきて、K自身もこんな訳の分からない罪名ではどうにもならないと言っていたし、最初にKを尋ねた人物もKを拘束するわけではないと言っていたからです。なので恐らくKも不条理から最終的には解放されると思っていました。しかし・・・


    自由が不条理に奪われる。

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著者プロフィール

1883〜1924。チェコのプラハ生まれ。プラハ大学で法学を専攻。ジョイス、プルーストとならぶ現代世界文学の最も重要な作家。著書に「失踪者」「城」「審判」など。

「2013年 『ミレナへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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