夜はやさし 全二巻セット (角川文庫)

  • 角川書店 (1989年10月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (568ページ) / ISBN・EAN: 9784042155003

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  • 上下巻読了。舞台は20世紀初頭。将来を嘱望された有能な精神科医ディック・ダイヴァーは、精神を病んだ美貌の富豪令嬢ニコルと結婚し、パーティーや社交に満ちたある面狂躁的ではなやかな生活を送る。ディックに恋する若き新進女優ローズメリー、そのときどきで彼らの生活に出入りする紳士淑女と、「自分にはなんの役にもたたない人間に対しても交渉をもち好意を示し続けずにはいられない」と描かれるディックとの関係。多くの人を魅了し、惹きつけてきたディックだったが、ニコルとの関係、病状の一進一退、「あなたはあたしたちが買ったものよ、いずれはあなたもおわかりになるでしょうがね。独立してるようなふりをつづけるのばかばかしいわ」という義姉からのプレッシャー、たちどまって「人間の身だしなみのABCを金持ちに教えて、九年間も棒にふってしまった」と独語する空しさ。夫婦関係の冷却から、過度の飲酒、旅先の警察との大乱闘、気がつけば、輝きを失い、抜け殻となり、かつて惹きつけられてきた人もつぎつぎと離れていき、ニコルさえ失って、やがて消息すら…と。一度も輝いたことのなかった者とはちがい、一度でも輝いていた者が見るも無惨に輝きを失い、それを受け入れられない時の悲哀が痛切。ただ、ディックがまったくの公明正大、清廉潔白だなんていうつもりはないけれど、それにしも、ディックならずとも「そりゃないよ」といいたくなる成行き。「あたしはディックを愛していたし、これからもけっして彼を忘れてしまうことはないわ」というニコルのつぶやきが救いといえば救いなのか。

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著者プロフィール

F.スコット・フィッツジェラルド
Francis Scott (Key) Fitzgerald 1896-1940
ミネソタ州生まれ。第一次世界大戦後の「ロスト・ジェネレーション」の旗手。デビュー作『楽園のこちら側』で一躍時代の寵児となり、妻ゼルダとの派手やかな暮らしは、狂騒の1920年代「ジャズ・エイジ」の象徴。1925年、20世紀最高のアメリカ文学と称される『グレート・ギャツビー』発表。世界恐慌に潮目が変わり、アルコール依存症、またゼルダの発病などに生活は破綻。短篇執筆、ハリウッドのシナリオ書きで糊口を凌ぐも、44歳心臓発作で急逝。


「2016年 『パット・ホビー物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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