雨の朝パリに死す 改版 (角川文庫 赤 155-2)

  • KADOKAWA
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042155027

感想・レビュー・書評

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  • 「カットグラスの鉢」
    「冬の夢」
    「罪の赦し」
    「金持ちの青年(リッチ・ボーイ)」
    「雨の朝 パリに死す(バビロンに帰る)」
    の5篇を収録した短編集。

    全体を通して、どこか寂しさが漂う物語。
    個人的には「冬の夢」「金持ちの青年」が感慨深い。
    どちらも金持ちと恋人の関係が焦点の物語だが、どちらも時の過ぎた悲しみといざとなった時の金の無力さをよく表しているように思えた。
    以下「金持ちの青年」より引用。
    『晩餐までブリッジをやり、それから誰かの部屋で生のカクテルを四、五杯やって、愉快にでたらめな一晩をすごす。』(中略)『女をそばにひきつけておく手、邪魔になれば追っ払う手を心得ていたし、おれたちの利口な快楽主義からすれば、どの女にはどの程度の考慮を払ってやればいいかぐらいは心得たものだ。パーティーなんてものはほどほどにしておくものだ――しかじかの女をしかじかの場所へ連つれていき、楽しい思いをしただけの金を使えばいいのだ。酒も、たくさんはいけないが、まあころあいだと思う量よりちょっとよけいにやって、午前をまわった適当な時刻を見計らって立ち上がり、もう家へ帰ると言えばいい。学生、大酒飲み、将来の約束、喧嘩、一時の感傷、無分別などは避けること。そういうのが上手なやり方というものだ。それ以外はすべて浪費というものだ。』
    禁酒法などがあった当時の時代背景を意識しながらのこういう金持ちの日常の一瞬というのは、今とは確かに大きく異なるところもあるだろうが、最後の上手なやり方、それ以外は浪費、という流れには、巧い言葉が見つからないが、身につまされた様な、そういう風に思わされたことに、とても驚いた。
    本書は解説部分もとても面白い記述があり、いい読書だった。村上春樹も幾つかの翻訳本を出しているみたいなので、いつか比較して読んでみたい。

  • フィツジェラルドってやつは、読んでて胸の真ん中に穴を開けられるようだよ

  • フィッツジェラルドの自叙伝的な短編5本。読後感としては、少し暗くなるものだった。かろうじて最後の雨の朝パリに死すで持ち直せた。
    いかに希望を見出すか、愛する娘と幸せな暮らしを送ろうかと苦闘する内容で、今大切なものは何か、自分にとって何が大切なのか考えさせられると言うよりはわからせられるというものだった。
    フィッツジェラルドはグレート・ギャツビーを以前挫折したが、なぜ途中で諦めたかわかった。自分の生活を改めて始めてからじゃないと読めないなと思った。

  • 2009/3/5購入

  • ▼2008/02購入。

  • フィッツジェラルドの短編の中でも優れたものだけを集めたものだとかでそのせいかめっちゃ面白い短編集になってます。とくに雨の朝パリに死すは心に残る一編。悲しいメロディーが聞こえてきそうな雰囲気すら漂ってます。フィッツジェラルドは本当に雰囲気のある作品を残していると思う。

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