美女と野獣 (角川文庫)

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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042289012

作品紹介・あらすじ

父の旅のみやげに一輪のバラの花を頼んだため心優しいベルは恐ろしい野獣の住む城へ……野獣が彼女に求めたものは――。詩人ジャン・コクトーが絶賛した美しく幻想的な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 『美女と野獣』コクトー版映画を久しぶりに見たら原作にも興味が沸き読むことに。作者のボーモン夫人は1711年生まれ。女性作家の少ない時代のこと、解説によるとかなり教養のある女性だったようで、晩年は子女の教育に力を尽した人物とのこと。この童話集も子供たちに対する教育、教訓的なニュアンスが強かったです。ほとんどの童話は、美女と野獣はじめ、古くからの民話を彼女の時代に合わせてアレンジ、創作したものだと思われます。

    まず、お目当ての「美女と野獣」から。お父さんが裕福な商人だったけど貧乏になり…という基本設定は各種映画と共通ながら、姉二人(ベルを含めて三人姉妹)、兄三人の大家族。兄たちは影薄く、兵役に行った設定でほぼ出てこない。姉二人はもちろん意地悪で高慢。姉については、二人ともベルが野獣のお城に行って不在の間に結婚しているけど、ベルの一次帰省時に彼女が幸福そうなのを見て嫉妬し、ベルが野獣のもとに戻るのを邪魔しようと引き留める。

    魔法アイテムとしては、おなじみの鏡のほか、ベルの帰省時は、野獣に貰った指輪をテーブルに置くと野獣の元に戻れる、となっていました。そして野獣が野獣にされてしまった理由はとくになく、単に「意地悪な仙女」によって、というだけ。終盤ベルを助ける仙女がこの意地悪な仙女と同一人物なのかは不明。仙女は、ベルと王子に戻った野獣を祝福し王子の国へ送り届け、姉二人は石像にされて、二人の幸福を眺めながら反省しなさいという罰を与える。ベルと王子がハッピーエンドなだけでなく、勧善懲悪な終わり方。

    その他印象に残った「怪物になった王子さま」は、善良な父王が亡くなり王位を継いだ王子が性格破綻者で悪行三昧、父王から王子のことを頼まれていた仙女は、王子を教育するため醜い怪物の姿に変えてしまう。王子が善行をするたびに、怪物→犬→小鳥と姿を変えていき、最終的に意中の女の子の愛を得たところで人間に戻れるという、「美女と野獣」と概要は同じパターン。

    注目すべきは、「美女と野獣」にはなかった、この怪物の姿の描写と、怪物にされた理由が明確なこと。怪物は「ライオンのような頭で、雄牛と同じ二本の角を生やし、オオカミのような足に、尻尾はヘビのよう」な姿で(これ、映画版の「美女と野獣」の野獣の姿とほぼ一致しますね)仙女は「その癇癪持ちのところからライオンの姿に、意地きたない性質のおかげでオオカミの姿に、そしておまえの第二の父ともいうひとを手荒く扱ったのでヘビの姿に、その乱暴な性質から雄牛の姿に」なったと説明する。ある意味「美女と野獣」の補足的な話になっているのかも。

    ルッキズムに関する話が多かったのも印象的。もちろん「美女と野獣」自体もそうなのだけれど、ベタながら「外見だけで人を判断してはいけない、大事なのは中身」的な教訓ものですね。

    「醜い王子さまと美しいお姫さま」では、悪い仙女の呪いで醜い姿に生れてしまった王子様(もちろん性格は良く教養がある)は両親からも疎まれ、好きになった美しいお姫様からも怖がられるが、お姫様のほうで頭空っぽのイケメンよりも醜くても教養がある男性と話しているうが楽しいわと気づき、ハッピーエンド。呪いがとけてイケメンになる等のエピソードはなく、お姫様はそのままの王子を受け入れる。

    「美しい娘と醜い娘」はこれの男女逆パターン。美しい姉娘と醜い妹娘。妹は美貌では姉に勝てないことに気づき、勉強して教養を磨き知的な女性となる。美しい姉と結婚した王子様は、自分の妻にすぐ飽きてしまう。なぜなら彼女は美しい以外に取り柄がなく「妻がわたしにしゃべることといったら、翌日着るつもりの新しいドレスのはなし、だれそれさんのスリッパのはなし、べつのだれそれさんのダイヤモンドのはなしばかり」だから。才気煥発な妹娘と話しているほうが楽しいと王子は言う。結果一度は離婚するも、姉娘は妹のアドバイスを受け奮起、教養ある女性に生まれ変わって再び王子に愛される。

    王子様もお姫様も出てこない「どれいの島」は、ある意味衝撃的な内容。高慢な女主人に仕えていた奴隷の娘、二人の乗った船が難破し流れついた島では、主従が逆転する法律がある。1週間、女主人と奴隷の娘は立場を逆転して生活し、女主人は自分が今までいかに理不尽な仕打ちを彼女にしていたか気づき…。身分差別についての話で、正直完全にスカッとはしない(彼らの身分自体は変わらない)あたりは当時の時代背景や生活様式から限界だったのかなとは思いつつ、身分が違っても人は平等である、という考えを教育に取り入れたのはとても革新的だったのかもと思う。

    ※収録
    美女と野獣/二人の王子さま/怪物になった王子さま/王妃になった娘と農婦になった娘/不運つづきの娘/告げ口の好きな少女/虐げられた王子さま/醜い王子さまと美しいお姫さま/美しい娘と醜い娘/幽霊屋敷/どれいの島/二人の王妃/鼻の高すぎる王子さま/三つの願い/漁師と旅人

  • 日本昔話みたいな。
    昔、偉い人と偉くない人が
    美しい娘と醜い娘が
    など、最初は設定から。
    だんだんコロコロ展開の変わる興味深い話、というような構成。
    300年前の物語。面白いものです。

  • 原作の方を読んでみたくて借りてみた。
    この野獣、結構いいやつでは?毎晩会話しているうちに親しくなるという展開もなかなかすてき。
    (こっちの方がディズニーの実写映画の「Evermore」の曲にふさわしいという気すらする)
    ベルが野獣を夫にする宣言をすると、宮殿に明かりがついて花火が上がるのはアニメーション映画的だと思った。

    不幸になる王子様のモチーフ、こないだのチュツオーラの小説にも出てきたけど案外普遍的なのね。あまり聞いたことないイメージだったが。

    見た目が醜いのは慣れてしまう、そんなことより勉強しろ。っていう教訓が多いところに元気づけられる(笑)

    パワー系幽霊。18世紀の人にバッサリ否定される幽霊ばなしに草

    オリジナルがそうなのか、訳のせいか不明だが話のつながりがよく分からないところがある。まあこれが童話というものか。

  • 非常に道徳的・教育的で、10代のうちに読んでおきたかった。読み進めると自分の欠点はどんなところだろう、どうすれば直せるだろうか、まだ間に合うかなと考えるようになる。
    プライドばかり高くて子供な自分にはぴったりの本だった。まだ間に合うかわからないが、人生これから先も長いので、迷った時にはこの本を読みたいと思う。

  • 本家本元の美女と野獣を楽しみたいならこの本だと思います♪何度読んでも訳が美しくて感動できます。
    挿絵もその時代をきちんと反映していて正確です。
    ベルも野獣も性格が穏やかでとてもお似合いです。
    ディズニーとは出てくる人物も城の様子もいろいろまったく違うので好き嫌いは分かれるかもしれません。
    (わたしは美女と野獣作品だったらなんでも大好きです^^)

  • ディズニー映画

  • 美女と野獣は、短編だったんだっていう驚き。
    そして最後のほうに載っていた「3つの願い」は、ちいさいときに読んだマザーグースに 豚ちゃんのイラストで入ってました。意外でした。

  • この本は短編集で、王子、王女、王様、王女などが主人公になった話が沢山ある。とてもためになる本で、づ徳の本である。日本の昔話みたいに教訓が書いてある。教育、自己啓発にはとても役に立ちとても読みやすい。
    美しい女性は、目先のきれいさにとらわれて、知恵を得るド六をお子達勝ち。幸せ、不幸せは本人の気持ち次第。自尊心を捨てて自分の欠点を治す。
    不幸に見えることが幸せの種になることがある。

  •  姉の旦那酷いなーというのと、なんで野獣になったのかさっぱりである。
     しかし1か月間毎晩野獣から結婚してくれって言われるのって……かなりなトラウマになりそうな体験だよね。想像すると怖い。

  • 青空文庫でヴィルヌーヴ夫人著『ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)』を。映画を見て原作を確認したかった。クリストフ・ガンズ監督の『美女と野獣』は概ねこの原作通りだったが、呪いをかけたのは意地悪な妖女ではなく森の神にしてあった。娘である森の精が人間に姿を変え王子と結婚し、鹿の姿の時に王子に射殺されたのを怒って王子を野獣の姿に変えたというストーリーはなかなか良かったが、その後ベルと心を通わせる過程が唐突だったように思う。
    このお話は「人は姿より内面だ」と説いているように見えるが、どっこいベルは美し姫と呼ばれる絶世の美女なので、やはり女は美しさ第一のようであるよ。まあ心も素直で善い娘と書いてはあるけどね。

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著者プロフィール

ボーモン夫人(1711年~1780年)●
フランスの童話作家。ボーモン氏と離婚したのちイギリスに渡り、教師をつとめてから、帰国して作家となる。生涯70を超える児童文学の作品を書いた。文体は教科書になるような正しく素直で品のある表現を心がけ、教育的な内容のものが多い。「美女と野獣」は、古くからある言いつたえや先行する作品をもとに、近代童話のさきがけとして1756年に出版されたもので、今日まで人気の作品となった。

「2017年 『美女と野獣 七つの美しいお姫さま物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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