ジョニーは戦場へ行った (角川文庫)

制作 : 信太 英男 
  • 角川書店
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本棚登録 : 385
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042292012

感想・レビュー・書評

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  • 死ぬ事すら出来ない主人公。読んでいながら、「死は生命の最高の発明」と言った起業家の言葉を思い出した。
    そういう話なのかと思っていたが、どうやら予備知識を持って読めば戦争を起こそうという勢力や政府に対する皮肉が満載らしいという事らしい。
    何度も読み返したくなるわけではないが、忘れさられてはいけない作品だと思う。

  •  私が私であるということは一体何によって規定されるのだろうか。更に言うのであれば、人間が人間であるということは一体何をもってして規定することができるというのだろうか。遠い昔に読んだ本を引っ張り出してきたのだが、この話はいつまでたっても私に疑問を投げかける。
     手足を失い、めくらになり、つんぼになり、舌さえ失い、自らの意志で呼吸を止めることもできず、ただかすかな感覚を頼りに百年の孤独に囚われるジョーは、果たして人間と呼べるのだろうか。いや、はたして人間としての生を全うできているのだろうか。
     高校生の時、倫理を教えてくれた先生からのこの疑問がずっと忘れられずにいる。尊厳死の授業だった。声のいい先生で、気づかぬうちに教室じゅうの生徒を眠りに誘うことで有名な先生だ。
    「村木さんは全然寝ないねえ、本読んでばっかりで僕の話聞かないけど」
     そう言われたことも覚えている。彼はいっとう大事であると思ったときに必ず生徒たちを全員起こし、それから話をした。この話がそれにあたった。
     痛い話を聞くのが嫌いな生徒たちは顔をしかめて話を聞かないように首を振ったし、苦手ではないがという人たちも嫌悪の表情を浮かべたことさえありありと思い出せる。当時私は教室の廊下側真ん前の席に座り、読書をやめなさいという先生の声に従って話を聞いていた。誰も話をまともに聞けないことはとうに知っていたのか、先生はただひたすら目をそらさない私に向かって話を続けていた。先生から見て左端の私はどんな顔をしていたのだろう。それだけが思い出せない。ただ一瞬、目の焦点がぶれたことだけ、それだけなら思い出せるのだが。先生のいつになく真面目な瞳に見据えられ、人間とは何なのかについて限りなく考えさせられたのは、間違いなく私だった。
     その後教職を修め、教師にはならず倫理学の道に進み、人としてのあり方を考えながら倫理学とは全く縁のない仕事をしている私だが、人から言わせると途方も無いことばかりを考えているやばいひと、らしい。中学高校大学と変な哲学者に目をつけられ脳をかき混ぜられてきた人間であるからこそなのかもしれないが、ずっとずっと考えている。
     私は一体何をもってして私と呼べるのか。
     私が私を失うのはいつなのか。

     あなたが答えられなくていい、答えられてもいい。
     ひとつの回答がここにある。

  • 新書文庫

  • 高校生の時に1度読んで、衝撃を受けた本。
    当時は想像が追いつかず、イメージできないところも多々あった。
    先日スカパーで放映してた映画を見て、再読した。

    正義とか、国のため、愛する人のためといっても、
    戦争はただ理不尽な暴力と破壊活動以外の何ものでもないと思った。

    それと、これは戦争で負傷した人の話だけど、
    命さえあればと願う延命治療も似たような残酷なものじゃないかなと感じた。

    認知症でわかってないと思われる人や植物人間状態の人も、
    体が壊れただけで魂は別ということを言っておられる方もいて、
    言おうとしていることがいまいちよくわからなかったけど、
    この小説で表現されてることと同じようなことかなと思った。

    心あるナースの看護に、読んでいて気持ちが救われた

  • 戦場で砲弾にあたり、目、鼻、口、耳をそぎとられ、両脚、両腕まで切断された青年ジョニーが過去から現在、現在から未来へとめぐらす想念。
    その状態でもモールス信号で会話を試みるなど、懸命に生きている。

  • 「主義を守るため」とか、「国を守るため」とか、たとえどんなに偉大な目的があっても、一般市民は戦争の被害者であり、決して救われません。(総合経営学科 室谷先生)

  • #ブクログ #感想 ネタバレだけど反戦モノがハッピーエンドしたら反戦じゃなくなるから仕方ない。持ち上げて落とす夢も希望もない話。引き込まれる話術はあるもののところどころ熱がこもり過ぎて抽象的かつ冗長的になって覚めてしまう。戦争で目も耳も口も手も足も失って肌の感覚だけを頼りに孤独と戦う人間が生きる希望を求めながらあがくシチュエーションスリラーとしては傑作なのかも

  • 反戦映画の傑作として名高い洋画の原作小説。
    まだ序盤なのだが、平凡な日常の夢から現実に引き戻される主人公。五体不満足、感覚異常な世界。戦争のみならず、事故でも病気でも、誰にでも起こりうることと考えたら、決してフィクションのなかと片づけるわけにはいかない。


    反戦文学であるのみならず、障害者として人間の尊厳を奪われた者の叫びであるともいえる。

  • 途中楽しかった思い出の描写が延々と続いて、あまりに何気ない日常過ぎて、退屈でしかたなかったです…。
    戦争の悲惨さを訴えた作品だった気がしますが、現実の戦争とは温度差があるのではないでしょうか。
    フィクションで作り出された悲劇だしなぁ。と思ってしまいます。
    戦争の悲惨さを知りたかったら、フィクションでは意味がないと思いますよ。
    作り話で泣いたり怒ったりして、ごまんといる本当に悲惨な目にあった人々には目を向けていないんじゃないでしょうか。

  • ああ、売らなければよかったんだ、もう一度読みたい

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