動物農場 (角川文庫クラシックス オ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042334019

感想・レビュー・書評

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  • 権力機構の普遍的どうしようもなさを面白おかしく描いた一冊。“なにかおかしい”と思いながらも“そういうものだったかもな”と思ってしまう動物の愚かしさも、可愛いんだけど笑えない…。ラストシーンがとても印象的。表題作のみならず『象を射つ』は逆側からのポストコロニアリズムと言えるのではないか。巻末付録がとっても充実していて、角川さんGJ!と思った(笑)オーウェルがパリで浮浪生活した時に言ったという「落ちぶれてしまえば案外何とでもない」というような旨の言葉がとても印象的。華やかな表の顔だけじゃないパリが観たい。

  • オーウェルらしく、なんとなく慈悲も無いずーんとくる絶望感の強い物語。革命を興してリーダーが変わったとしても、堕落へと流れる性は結局は変わらず、深い淀みへと沈んでしまう。そういう話。ヤギのじいさんの諦観、ボクサーの盲目的ながんばり、その頑張りに対した最期の仕打ち、大切な物事を徐々に忘れていってしまう愚かな動物達。思いっきり自分達へ訴えかけてくるすごい小説でした。

  • オーウェルという作家は、自己の実体験に基づいて得られた思想を小説にしたそうだ。「動物農場」は面白いが、社会(共産主義?、全体主義?)に対する完全な寓話だ。いや、現代の管理社会にも通じるかもしれない。権力は握ったものは、必ず腐敗し次のものにとって代わられる。エンドレスなのだな。

  • 人間に支配されるのは嫌だ,動物たちだけの社会を作るのだ!と,支配人を追放して自治を始めた動物たち.
    なのに.先導する豚は徐々に暴君となり,最後には人間に支配されていた頃よりも苦しい生活になってしまう.
    社会主義を風刺しており,次第に搾取されていく動物たちを見ていたたまれなくなった.

    勤勉だったボクサーが死にそうになり,屠殺場へと送られていくシーンは本当に胸が痛んだ.これはもう,何という酷いことを.
    でも,社会主義ってこんな感じなのかなぁ.

  • 「『胸糞悪くなる物語』そうとだけ書くとまるで貶しているかのようになってしまうが、本作についてはまったく逆。賛辞であるつもり。痛烈な社会風刺に皮肉がきいている。こうして童話風に物語が展開すると悍ましさがわかる。現実に起こったことのよくできた縮図のよう」との感想。

  • なかなかheavyな内容。人間支配から脱却したはずの動物たちが、終盤ではもっと悲惨な支配社会へと変貌している。豚たちが指揮をとる描写から、随分ときな臭くなっていったわけだが、終いには「四本脚は良い!二本脚悪い!」までも上書きされるとは。

    後半の短編、「象を射つ」「絞首刑」「貧しい者の最期」には、21世紀では考えられないような差別的、残酷、無知を目の当たりにする。

    とにかく読んでいて嫌になってくる、悲哀に満ちた作品だが、これが人間社会と重なってしまうのがとても悲しい。

  • 登場する動物を誰に当てはめるかは、解説で推理がされている。この時代だからこそかけたのか、イデオロギーを揶揄した傑作。しかし、個人的には動物を擬人化した創作に生理的な嫌悪感があり、また、物事を糊塗しながら表現する手法に面倒臭さを感じる性格なので、中々感情移入がしにくかった。動物農場以外にも、読み応えのある短編、自叙伝?あり、特に支配者側である白人の立場で描く植民地における心理描写は珍しく、興味深い。

  • 4つの短編集。表題作のみ読了。
    農場で家畜として管理されていた動物たちは、自由を勝ち取るために飲んだくれの農場主を相手に反旗を翻す。人間を追い出し、動物たちは遂に自分たちの楽園を手にした。人間たちを反面教師に、動物たちが皆公平・平等に過ごせるよう動物主義の「七戒」を設けてバランスを取ろうとするも、徐々にほころびを見せ始める。

    読み進めていくと背筋がぞわりとする怖さ…この理由は逃れられない社会の負の連鎖でした。知識に長けた者たちによって都合よく「七戒」(=法律)は歪曲されていき、下層部は無知を無知のままにしているために捻じ曲げられた情報が正となって君臨していきます。
    狡猾な君主、暴力と過度な主張で人と意見をねじ伏せる取りまき、ただただ酷使と搾取の対象となる住民たち。全体主義やスターリン主義への痛烈な批判をベースに描かれた作品ですが、現代でも大小さまざまなコミュニティでこの世界と同じことが当然のように繰り返されていると気付きます。
    70年以上前にオーウェルが感じた世界は哀しいかな普遍的。読む価値があります。

  • 1945年作とのこと。まったく古さを感じない。

  • 中学生の頃に一度読んで再び読み返しましたが、キツい。ひたすら内容がキツい。
    生と死の境目にある、薄皮のような断絶。それをわからずに読んでいたから、当時は子供だったんでしょうね。
    「象を射つ」致命傷を負わせた直後の、体の線が違って見えたとか壊れたという表現が秀逸に思えました。
    何かが死ぬ時って有機的に滅していくというより、本当におもちゃが壊れたか何かのように見えるので…
    鬱な気分の時にはあまりお勧めしません。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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