カポネ 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 97
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042365044

作品紹介・あらすじ

20世紀初頭のニューヨーク。青年アル・カポネは地元ギャングのボスに見込まれ、クラブのバーテンになった。組織の一員として、みずからの手で初めて殺人を犯すカポネ。やがて、シカゴで闇酒業に手を染めたカポネは頭角を現し、ライバルを次々に殺害。さらにマスコミ、警察、市の上層部をも賄賂で買収し、若くして暗黒街の帝王にのし上がる。だが、絶頂を極めたのもつかの間、彼にFBIの魔手が迫っていた…。

感想・レビュー・書評

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  •  はいっ!ということでシブがき隊の楽曲を文字ってタイトルとしたわけですが、この『カポネ(上)』という作品、渋い表紙とは裏腹に、どこか滑稽で人情に厚い一人の若者が、禁酒法時代のアメリカはシカゴでギャングスターへの階段を駆け上っていくサクセスストーリーとして読むことができるご機嫌な作品です。

     人を押しのけて生きるより、ひっそり慎ましく生きたいとか、ナンバー1にならなくてもいい、もともと特別なオンリー1だからと、努力するまえにあきらめる癖のついちゃった人に是非読んでもらいたい、とびきりの1冊です。


     この本を読めば、人生は強引にいかないと切り開けないという教訓を得られること請け合いです。


     では、どうぞ、お読みください!


    …ということで完全にふざけて書いてますが、作者もたぶん、カポネに対して愛着を持ってこの小説を書いていると思う。
     
     確かにカポネは犯罪に手を染めていくわけだが、自分のためというよりは「ファミリー」を守るためという大義のために行動している。なんか国家に盾突いている義賊のようなところがある。まともな仕事の斡旋とか教育支援とか、食糧支援とかも積極的に行うし、悪いことして稼いだ金だけど、良いことにも使っている。どこまで本気だったかわからないが、シカゴにカポネを頂点とする治外法権国家を夢見ていたんじゃなかろうか。将門みたいな奴かな…


     そう考えると、下巻であきらかになるが、カポネの最期はちょっと可哀そうに思える。悪行の報いと言えばそれまでだけど。
     

  • 暗黒街の帝王、アル・カポネの成り上がっていくさまを描いていて、上巻では青年時代からファミリィを率いてシカゴを制覇するところまでが書かれている。

    個人的に、この手の話の序盤は「我慢して読んでいく」ものだという印象があるのだけど、この小説では冒頭から面白い。話の構成から進めかたにいたるまで、巧妙で惹きつけられる。名の知れた人、モノを題材としているから、などではなく純粋に物語として楽しめる。ただ、緻密さは望めない。しかしこれはあくまでも小説なのだから、これでいいと思う。

    ピカレスクということで「政府はクズだ」「警察はゴミだ」といったように作者が主張したり、あるいはカリカチュアライズされていたりといったこともなく、語り手は常に冷静であるところも非常にいい点だと思う。確かに読んでいると政府はクズで警察はゴミであるのだけど、それを声高に唱えず、事実を事実として書いているだけなので、読者は余計なことを考えずに読み進めることができる。

    ここまで読んでいて気持ちのいい小説は久しぶりだった。

  • 自分が史実とか歴史書などを読むのが好きなため小説仕立てにされてしまうと実在の人物の事なのに非常に薄っぺらく感じてしまいました。つまり虚構と現実の境がわからなくなってしまうので全てフィクションだと思ってしまうという…
    こればっかりは好みだと思います。
    セリフの書き方とか心情の書き方が私に合わなかったのも合ってですが。
    カポネのノンフィクションを読んでみたいな、と思いました。

  • カポネってあのお酒禁止令の時に暗躍(?)していた
    あのカポネ? と思ったらそうでした。

    スカウトされた小さい頃から、ボスである上司を失うまで。
    それが上巻でした。
    お酒禁止令で捕まって、それに対して母親が
    「うちの子はいい子です」と言っていた。
    それくらいしか知識になかったので、これからどうなるかは
    ちょっと興味がありますが…それほど楽しくもないです。

  • 「アンタッチャブル」のカポネ像とは、違ったカポネが見られた。デ・ニーロのカポネは、40-50歳くらいに見えたけど、本当は30ちょっとくらいだったとは驚きでした。佐藤賢一さんの本を読むといつも、その時代についてもっと知りたい!と思わせられます。

  •  佐藤賢一さんの文体や文章が好きなので、文庫化されたのを見たときから買おうと決めていました。内容についても、あの禁酒法の時代を描いていることがおもしろいと思います。

     私は、アル・カポネについては名前程度しか知らなかったので、シカゴギャングが成り立つ大まかな歴史も知ることができて、知的好奇心も刺激されながら読むことができました。

     そして、しばらく文章を書いていなかったので、どうやって書いたらいいのかわからなくなりました。

    2009.02.26 23:50 寝床にて読了

  • 上巻では青年期からシカゴに君臨するまでのアル・カポネの軌跡をたどります。
    読み始めたらとまらないので本好きな方は上下揃えて買うといいかもしれません。
    カポネの台詞がいちいちかっこいいです。

  • 予想外に面白い。
    ギャング映画は今時流行りではないかも知れないが、昔のはらはらどきどきが蘇ってくる。
    アンタッチャブルの一方の主役である。

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著者プロフィール

佐藤 賢一(さとう けんいち)
1968年山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院文学研究科西洋史学専攻博士課程単位取得満期退学、以降作家活動に専念。1993年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞、1999年『王妃の離婚』で第121回直木賞、2014年『小説フランス革命』で第68回毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。
作品はほかに『傭兵ピエール』『オクシタニア』『小説フランス革命』(以上、集英社)、『二人のガスコン』(講談社)、『双頭の鷲』(新潮社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』(文藝春秋)など多数。またノンフィクションに『ダルタニャンの生涯──史実の「三銃士」』(岩波新書)、『英仏百年戦争』(集英社新書)がある。

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