トワイライト・アイズ 下 (角川ホラー文庫 502-3)

  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042461029

感想・レビュー・書評

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  • クーンツおじさんにしてはサワヤカで、そうか、こういうのも書けるのかと驚いた記憶がある。

  • <薄明眼(トワイライト・アイズ)>を持つ17歳の少年スリム。彼の能力は人間社会に紛れ込む悪鬼(ゴブリン)を見分けられることだった。ゴブリンは一見人間と変わらないが、人間を苦しめ殺戮し、恐怖や絶望、悲しみを得ることに執念を燃やす怪物だった。義伯父に化けたゴブリンを倒して逃亡したスリムは身分を隠してカーニバルに逃げ込む。暖かな周囲の人々に一時の安息を得た彼だったが、やがてある町がゴブリンの巣窟となっていることを知る……。

    分厚い、しかも上下巻からなるこの長編は2部構成となっていて、1部と2部では発表時期に1年の間があるらしい。この間にクーンツ自身の心境や考え方にも変化があったらしく、作風はかなり異なっている(ここら辺は瀬名秀明氏による解説に詳しい)。1部がカーニバルを舞台にしたノスタルジックな雰囲気なのに比べ、2部は同じく特殊能力を持つ妻ライアと共にゴブリンの巣窟へ乗り込んでいくアクション活劇になっている。そのつなぎがうまくいっているかというと、?マークをつけざるを得ない。何となくちぐはぐな感を受けてしまうのだ。

    しかしそれより何より、この作品を駄作という印象にさせているのは翻訳の惨さ。スリムの第一人称で物語は進むのだが、ただでさえ少々晦渋な描写が、翻訳の稚拙さによってさらにむちゃくちゃなものになってしまっていた。
    角川ホラー文庫で海外作品が刊行されなくなってしまったのは、こんなところに理由があるのかな、なんて勘繰ってしまったり。

    【感想は読了当時のもの】

  • (上巻の感想からの続き)
    そしてやっぱりやってくれたよ、クーンツは。上下巻合わせて770ページあまりを費やして最終的に物語を放り出してしまったのだ。
    下巻で登場する前の悪役ライル・ケルスコに代わって街を牛耳っているクラウス・オーケンウォルドなる新任の警察本部長が出てくるのだが、これがライルを上回る悪役ぶりなのに、結局スリムとの直接対決はなく、しかもゴブリンを根絶やしにするどころか、ゴブリンの人間撲滅の基地である炭鉱を壊滅するに留まるのだ。しかもあれほどゴブリンを全滅させるのにこだわった主人公がなにか吹っ切れたかのようにゴブリン退治を諦めるのだ。
    この180度転換した意趣変更は正直面食らった。作者は炭坑で繰り広げられる洞窟探検譚に似た襲撃場面に筆とエネルギーを費やしすぎて燃え尽きてしまったのだろう。

    しかしこのような結末を迎えるのなら、あえて2部構成にする必要はないのではないか。1部のみで十二分にゴブリンとスリム含めたカーニバル一行との全面戦争を語ることに専念すれば、中途半端な物語にならなかったように思うのだが。

    しかし、この内容を是として出版したクーンツもすごいと思うが、版元もすごいと思うわ。

  • 199/3/10

  • 99mmdd以前読了

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